温泉の魅力を語るにおいて切り口はいくつでも思い浮かびますが、秋だけのお楽しみといえば「紅葉×温泉」です。

温泉の湧き出るところは山林エリアが多いので、自ずと温泉地がそのまま紅葉の名所であることも珍しくありません。狙っていなくとも温泉と一緒に紅葉を楽しめてしまった経験を持つ人も多いでしょう。湯につかりながら美しい紅葉を愛でるのもまた、日本人に生まれてよかったとしみじみ思う瞬間です。

ということで、今回は温泉に浸かりながら紅葉狩りができてしまう素晴らしき紅葉温泉宿を紹介したいと思います。

蒸ノ湯温泉 源泉・秘湯の宿 ふけの湯／秋田県

見ごろ：10月上旬〜中旬

標高1100mのブナの原生林に囲まれ、およそ400年も前からこんこんと湧く蒸ノ湯温泉は八幡平を代表する紅葉名所で、絶景露天風呂で有名な「源泉・秘湯の宿 ふけの湯」はこの時期まさにドラマティックな紅葉狩りの舞台となります。

ワイルドさでもよく知られる野天風呂からは360度の大パノラマで温泉と紅葉が楽しめ、目の前でもうもうと立ち上る湯けむりと紅葉とを同時に望む風景は「ふけの湯」ならでは！

野天風呂は混浴ですが男女別の露天もあり、また女性用に湯浴み着レンタルもあるので（宿泊者限定500円）気兼ねせず温泉と紅葉を楽しめます。高台から温泉全体と紅葉を一望できる「蒸ノ湯展望台」からの眺めも必見です！

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栖川温泉 栗駒山荘／秋田県

見ごろ：10月上旬〜中旬

日本屈指の紅葉とうたわれる栗駒山は、秋田・宮城、岩手の三県にまたがる標高1626mの山。この栗駒山の紅葉を温泉に浸かりながら堪能できるのが「栗駒山荘」です。

中腹に広がる須川高原のブナやカエデ、ナナカマドなどの黄色や赤、そして常緑樹の緑が美しいコントラストを描き、紅葉の絨毯の向こうに姿を見せる鳥海山の大パノラマを一望。圧巻の美しさで旅人を迎えてくれます。

毎年紅葉シーズンには日本全国から大勢の人が訪れるというのも納得。温泉だけを目当てに訪れるのもありですが、余力があればあわせて紅葉ハイキングも楽しんでみて。

二岐温泉 大丸あすなろ荘／福島県

見ごろ：11月上旬

二岐温泉　大丸あすなろ荘

建物
紅葉も綺麗で落ち着いた佇まい。 pic.twitter.com/Jm6kOOVYbs

— ふー (@fmiiidom) November 1, 2020

福島、南会津の山奥にある足元から温泉が湧く「自噴泉甌穴岩風呂」で知られる秘境の温泉宿「二岐温泉 大丸あすなろ荘」。

“空気に触れることなく生まれたての源泉が湯船を満たしていく多幸感がたまらない”と温泉ファンに人気の宿で、どの季節に訪れても自然に包まれて静寂な時間が過ごせるのが魅力ですが、特におすすめしたいのが紅葉のタイミング。

二岐温泉大丸あすなろ荘にドボン。渓流の混浴露天風呂も、足元湧出の自噴泉岩風呂もどちらも風情抜群で最高に良かった！ pic.twitter.com/7te1QaBPFe

— DAI (@DAI_3) October 23, 2021

川べりに浮かぶ「渓流露天風呂」から眺める赤やオレンジの紅葉が素晴らしく、秘湯の名にぴったりの鄙びた風情にどっぷりと浸かることができます。

誰にも邪魔されることなく、清らかな渓流の水音に耳を澄ませながら紅葉に染まった森を眺める至福の時間は、ここまで足を運んだ人だけが体験できる究極のリラクゼーション！

入口をくぐり建物へと続くアプローチの紅葉も必見で、一際鮮やかに燃えるモミジの赤が山の秋に奥行きを与える様子がフォトジェニック。

幕川温泉 水戸屋旅館／福島県

見ごろ：10月10日ごろ

おはようございます。
本日11月7日
今シーズン最後の営業になります。
10時から15時30分まで受付になります。

また来シーズン福島においでの際、機会がありましたら
お越し頂けたら幸いでございます。
（写真は10月20日のものです。） pic.twitter.com/nQItYFWss1

— (公式) 土湯峠温泉郷 幕川温泉 水戸屋旅館 (@makugawamitoya) November 6, 2022

毎年、紅葉シーズンには多くの観光客で賑わう磐梯吾妻スカイランは、周辺にいくつもの魅惑的な温泉が点在する温泉ベルト地帯でもあります。その中で、湯船に浸かりながらの紅葉狩りとしておすすめしたいのが「幕川温泉 水戸屋旅館」。

この「水戸屋旅館」は推定樹齢800年の大きな檜の輪切りをくり抜き二つ繋げて作られた「展望露天風呂」のフォトジェニックな湯船が有名で、特に紅葉時期に赤く染まった森を背景にした湯船の佇まいは圧巻の一言に尽きます。

混浴ですが、脱衣所は男女別。湯浴み着のレンタルもあるので女性でも大丈夫。宿泊すれば女性専用時間帯も設けられているのでなお安心して楽しめそうです。

 

 

 

 

 

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もうひとつ、渓流を眺める「渓流野天風呂」からも紅葉を望め、こちらは泉質の異なるミルキーなにごり湯。男女別の内湯もあり、宿の周辺を散策しながらも紅葉狩りが楽しめるので、ぜひとも宿泊をおすすめしたい宿です。雪深い場所に位置する秘湯ゆえ、毎年GW開けから11月中旬までの営業となっているので、紅葉タイミングにぜひ！

宝川温泉 汪泉閣／群馬県

例年の見ごろ：10月下旬〜11月上旬

大露天風呂で知られる水上温泉郷の「宝川温泉 汪泉閣」は、四季を通して野趣あふれる温泉が楽しめる宿で、秋の紅葉シーズンももちろん期待を裏切らない素晴らしさです。

宝川に沿って露天が点在しますが、すべての露天からツタ、ブナ、ナラなどの木々の黄葉・紅葉が眺められ、中でも一番大きな「摩訶の湯」から眺める真っ赤なモミジが秀逸。

露天に浸かりながら遠くに紅葉に染まった山を、視線の近くには宝川や湯船に枝を伸ばす木々のグラデーションを眺めるなんとも風光明媚な湯浴みタイムが過ごせます。

施設内を歩きながらも紅葉に染まる宝川を眺めるビュースポットが多数あり、絶好の紅葉狩り温泉であることは間違いありません。

稀に紅葉のピーク中に積雪があることもあるので、ドライブで訪れる際はスタッドレスタイヤまたはチェーン装備の用意をお忘れなく。

ちなみに4つある露天のうち3つは混浴ですが、男女ともに湯浴み着着用が義務付けられていて、海外客含む女性の方々もみなさん臆することなく露天を楽しんでいるので、恥ずかしい雰囲気はゼロかと思われます。

四万温泉 四万やまぐち館／群馬県

例年の見ごろ：10月中旬〜11月上旬

 

 

 

 

 

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群馬県の北西部に位置し上信越高原国立公園内にある四万温泉もまた、周辺全体が紅葉スポットと言える場所。四万川に沿って温泉宿が点在するので、多くの宿では部屋にいながら紅葉が眺められるのが魅力です。

そんな中で、川のほとりに浮かびながら風光明媚な紅葉を楽しめるのが「四万やまぐち館」の露天風呂。渓流との一体感が視覚で楽しめる「お題目大露天風呂」と障子に床の間が配された「渓流露天風呂 四万川の湯」、どちらも甲乙つけ難い佇まいのふたつの趣の異なる露天風呂を有し、時間帯による男女入れ替え制で楽しめるようになっています。

夜はライトアップされた紅葉がそれは鮮やかに川面に浮かび、時間帯によって異なる景色が望めるのも魅力。四万湖や奥四万湖の紅葉散策と合わせてお出かけください。

七味温泉 紅葉館／長野県

例年の見ごろ：10月中旬〜下旬

日本紅葉100選にも選ばれる松川渓谷は、標高2000mの笠岳から標高900mの山田温泉まで、なんと標高差1100m全長15kmにも及ぶ見どころ豊富な一大紅葉エリアです。

渓谷沿いにいくつもの温泉が点在する湯街道でもありどこに宿をとるか迷いますが、おすすめは最奥の奥山田温泉の手前に位置する「七味温泉 紅葉館」です。その名前のとおり露天風呂から眺める紅葉が絶景！とファンの多い宿で、静かに温泉を楽しみたい人に訪れて欲しい場所。

その日の気温によって色を変えるにごり湯は2本の源泉を混ぜ合わせたもので、黒い湯のはなが浮かぶのが特徴。この効能豊かな硫黄泉に浸かりながら色とりどりに染まった紅葉を眺める幸せといったらありません。川と山と雑木林以外辺りには何もなく、遊びにやってくるタヌキたちの姿にホッと癒されます。

長閑な山間の宿で心ゆくまで湯と紅葉を楽しみ、行きと帰りには松川渓谷のドラマティックな紅葉ドライブを堪能。温泉好きなら絶対に満足なコースですよ！

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日光・奥鬼怒温泉郷 八丁の湯／栃木県

例年の見ごろ：10月20日ごろ

 

 

 

 

 

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素晴らしい紅葉とお湯に恵まれながら、関東最後の秘境とも呼ばれる奥鬼怒温泉は混雑とは無縁という嬉しい温泉地。温泉郷には4の温泉宿が点在しますが、温泉に浸かりながらの紅葉狩りなら一番のおすすめは「八丁の湯」です。

宿自体が紅葉の森に囲まれて佇み、名物の露天風呂は山肌にしげる木々の紅葉を目に前に眺める絶好のロケーション。

 

 

 

 

 

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「雪見の湯」「滝見の湯」「石楠花の湯」の3つの混浴露天風呂と、女性専用の「滝見露天風呂」があり、どの露天からも紅葉と滝を眺める贅沢な造りです。混浴はバスタオル巻きOKなので、多くの女性が臆することなく湯を楽しんでいます。

最寄りの女夫渕駐車場から宿までは1時間強のハイクとなりますが、もちろん道中も絶好の紅葉スポット。宿泊者はバス送迎も利用できるので、車窓から楽しむのもあり。紅葉時の日光の混雑具合に辟易した経験がある人はこちらへどうぞ。

湯ヶ島温泉 湯本館／静岡県

例年の見ごろ：11月中旬〜12月上旬

比較的遅いタイミングに紅葉を楽しめる伊豆は都内から訪れる格好の紅葉スポットです。紅葉露天風呂目当てなら、しっとりとした温泉情緒にあふれる湯ヶ島の「湯本館」はいかがでしょう。

本日の秘湯は伊豆湯ヶ島温泉の湯本館。
川端康成が長期逗留し「伊豆の踊子」を執筆した宿としても有名です。

お風呂は内湯と川縁の露天があり、どちらも雰囲気抜群。幸いなことに客は私だけだったので、手足を伸ばして存分に名湯を堪能しました。
マイベスト10に入る露天だなぁ。
超オススメです😊 pic.twitter.com/IDu2C0AD1t

— kirucine🏍レブル250 (@kirucine) December 4, 2021

文豪 川端康成が『伊豆の踊り子』を執筆したことで知られる「湯本館」は、現在も当時の面影を残す純和風旅館の造りで、狩野川のほとりに水面を眺めるように造られた「貸切露天風呂」が実に情緒にあふれる佇まい。

紅葉時には真っ赤に染まった枝先が水面に揺れ川面を赤く染めあげます。貸切なので、このロマンティックな風景と温泉を独りじめで楽しめることもポイント。周辺にはプライベート感を押し出した高級宿も多くありますが、川面の近さでは「湯本館」に軍配が上がります。

白馬岳蓮華温泉 蓮華温泉ロッジ／新潟県

例年の見ごろ：10月上旬

糸魚川市でも屈指の紅葉の名所として知られる白馬岳蓮華温泉は、長野、新潟、富山、岐阜にまたがる中部山岳国立公園内の標高1475mの高原地帯に位置する温泉です。

積雪地帯のため、山小屋「蓮華温泉ロッジ」は毎年7月上旬から10月中旬の営業ですが、素晴らしい温泉を目当てにシーズン中は多くの人々で賑わいます。

山小屋から離れた山の中にそれぞれ源泉の異なる「三国一の湯」「仙気の湯」「薬師湯」「黄金湯」の4つの野天が点在。まさに大自然の中で温泉に浸かる文字通り開放的な野天は脱衣所もなく女性にとってはかなりハードルが高いと思われそうですが、大丈夫。4つのうちの1つ「薬師湯」は女性優先の湯で、「只今女性入浴中」の看板が掲げてある間は女性のみ入浴可というルールがあるのでご安心を。

何はともあれ、この天空から眺める紅葉の素晴らしさと温泉の素晴らしさは筆舌に尽くしがたく、一生で一回は行きたい紅葉温泉であることは間違いありません。

霧島温泉 旅行人山荘／鹿児島

例年の見ごろ：11月中旬～12月上旬

鹿児島空港から車で30分というアクセスのよさで極上の温泉に浸かれる霧島温泉もまた紅葉と温泉の宝庫。そんな中で紅葉の時期に訪ねたいのは、錦江湾と桜島を見渡す高台にあり、まわりを5万坪の自然林に囲まれる「旅行人山荘」。小鳥や野生の鹿が生息する森林が秋になるとそれは美しい紅葉の森となるのです。

この森林には趣向の異なる貸切風呂が点在し、特に絶景紅葉風呂として人気が高いのが「もみじの湯」と「赤松の湯」。湯船に浸かりながら眺める紅葉はそれだけで極楽ですが、それが360度を森に囲まれた環境で、しかも貸切とくれば他では体験できないほどのリラックス＆開放感！

しかも「もみじの湯」は無色透明の単純温泉、「赤松の湯」は白濁の単純硫黄泉と、異なる泉質であるのも嬉しいポイントです（貸切風呂は宿泊者のみの利用となっています）。何度訪れてもリピートしたくなる良質な宿なので、未訪の方は紅葉タイミングを狙ってみてはいかがでしょうか。

黒川温泉 旅館 奥の湯／熊本県

例年の見ごろ：10月中旬〜11月下旬

ドーンッ#黒川温泉 #奥の湯#紅葉2023 pic.twitter.com/sogkFz6lm8

— 黒川温泉　旅館　奥の湯 (@OkunoyuKurokawa) October 31, 2023

温泉手形を使っての外湯めぐりが定番の黒川温泉で、紅葉目当に訪れたいのが黒川温泉全体を流れる田の原川上流に位置する「旅館 奥の湯」です。こちらは2,000坪の敷地内に情緒あふれる数々の湯処が点在する湯めぐりの宿で、視覚を変えた紅葉が楽しめるのが魅力。

ドゥゥゥゥゥゥゥゥゥン pic.twitter.com/n8Aq75f9P1

— 黒川温泉　旅館　奥の湯 (@OkunoyuKurokawa) November 1, 2022

「混浴露天風呂」では黒川温泉らしい茅葺屋根を鮮やかに彩る紅葉の風景を眺め、貸切風呂「もみじの湯」ではその名のとおり赤く染まったもみじを愛でながらの湯浴みが叶います。

他にも眼下に田の原川を望む「川風呂」、男女別の露天「洞窟風呂」など趣向を変えた温泉をはじめサウナや蒸し風呂、温水熱プールまでがそろうので、敷地内の紅葉散策を楽しみながら逗留を決め込みたいところ。

秋本番を楽しむトピックとして「紅葉×温泉」に勝るものはないかもしれませんね。おひとりさまでもよし、カップルでもグループでもよし、今こそ湯けむりと紅葉を愛でる旅に出かけるチャンスです！

• image by:宝川温泉 汪泉閣
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