直行便より安い「乗継便」で注意すべきことは?知っておくと役に立つ便利な使い分け方

image by:Chanawat Jaiya/Shutterstock.com

飛行機で目的地へ向かうのに、乗っている時間が短い「直行便」は、運賃が高い傾向にあります。一方、時間は多少かかるものの、途中で乗り継ぎする「乗継便」は、直行便がある路線だと安いことが多いです。結局のところ「時間を取るか、お金を取るか」という選択になります。

世界最大の乗り継ぎ空港で知られるカタール・ドーハ空港 image by:シカマアキ

その乗り継ぎをする際、乗り継ぎに便利な空港とそうでない空港も存在します。直行便と乗継便の上手な使いわけ、日本人にとって便利な乗り継ぎ空港はどこかなど、日本そして世界の航空旅行、空港事情に精通する筆者が詳しく紹介します。

直行便のメリットとデメリット

トルコ・イスタンブール空港。乗継が多い空港の1つ image by:Best smile studio/Shutterstock.com

出発地から目的地まで、飛行機を途中で一度も降りることなく直行で行けるのが「直行便」です。はるか昔は、飛行機が今ほど進化しておらず、例えば、日本とヨーロッパの行き来では、アラスカでの「アンカレッジ乗り継ぎ」が定番でした。

直行便のメリットは「飛行機に乗っている時間が短い」「現地にいち早く到着できる」ことです。この便利さは、旅行では重要ポイント。一方、便利なだけあって「運賃が高い」のがデメリットです。

国際線の場合、東京=ソウルなど2~3時間程度のフライトなら、直行便が定番。一方、東京=バンコクなど中長距離便になると、直行便か乗継便か、という選択肢が出てきます。

直行便の運賃、FSCとLCCで違う

タイ国際航空は東京や大阪などの日本便を運航する image by:シカマアキ

東京=バンコクは、毎日多くの直行便があります。JALやANA、タイ国際航空などの大手航空会社(FSC)をはじめ、ZIPAIRやエアージャパン、タイエアアジアXやタイ・ライオンエアなどの格安航空会社(LCC)も。

運賃(往復)は、同じ直行便でも航空会社ごとに異なります。日系FSCで12~13万円、タイ国際航空で10万円ほど、日系LCCで6~7万円、外資系LCCで4~5万円というのが、おおよその相場です(2024年10月半ば)。

タイ・バンコクのスワンナプーム空港、国際線出発エリア image by:シカマアキ

FSCはフルサービスなので、空港のカウンターで預ける手荷物が2個まで無料だったり、機内食やドリンクが無料で提供されたりします。

一方、LCCでは受託手荷物は1個から有料、事前座席指定や機内食なども有料です。運賃が安くてもオプションを追加すると、FSCと変わらなくなることもあるので注意しましょう。


飛行時間、つまり飛行機に乗っている時間は、FSCもLCCも同じです。ただ空港内でカウンターが遠い、搭乗ゲートが遠いなど「歩く距離が違う」などの差はあります。

乗継便で激安も。注意すべき点は?

中国東方航空は日本をはじめ世界中に路線ネットワークを持つ image by:シカマアキ

一方、東京=バンコクだと、乗継便という選択肢もあります。乗継便で検索すると、中国本土が往復3万円台から、マレーシアやフィリピンが往復6万円台、香港が7万円台などで出てきます。

しかも、いずれもFSCです。特に、中国国際航空や中国東方航空などの3万円台は魅力的に見えるでしょう。

飛行機の搭乗待ちは短いほうがいいがリスクもあるimage by:Stas Makes Content/Shutterstock.com

乗継便の利用にはいくつか注意が必要です。乗継時間が短いと「人も荷物もちゃんと乗り継げるのか」という心配が出てきます。逆に乗継時間が長い場合は「空港での待ち時間がヒマ」「日をまたいで宿泊する羽目になって余計な出費」というケースも。

結局のところ、乗り継ぎは「日中で3~4時間程度」が無難です。それほど大きな空港でなく、飛行機が遅れるリスクが少なければ「2~3時間」でも大丈夫な場合もあります。


乗り継ぎ利用でおすすめの空港は?

シンガポールの空港に併設の大型商業施設「ジュエル」image by:シカマアキ

乗り継ぎの場合は、どの空港を利用するかも重要です。その乗り継ぎが便利な空港と便利でない空港が少なからず存在します。

日本人にとって便利な海外での乗り継ぎ空港は、例えば、韓国「ソウル・仁川」、台北「桃園」、「香港」「シンガポール」、タイ「バンコク・スワンナプーム」など。中近東の「ドバイ」「ドーハ」「イスタンブール」などもおすすめです。

カタール・ドーハ空港の乗継客向け観光ツアー(有料)image by:シカマアキ

上記の空港では、乗り継ぎ客向けに無料または有料のツアーを提供していたり、空港内やそばに楽しめるスポットが多くあったりします。また、ソウルや香港、シンガポールなどは、空港⇔市内の移動が便利で、乗継時間が4~5時間ほどあれば自力で市内へ行って戻ってくることも可能です。

なお、航空券が安い北京や上海、成都など中国本土で乗り継ぐ便は、海外旅行および中国本土に慣れた人向け。もしトラブルが起きなければ、スムーズな乗り継ぎで何の問題もありません。

しかし、いざトラブルが起きると日本語はもちろん英語も通じづらく、その場で中国人を相手に対処するのは、筆者も何度も経験した結果、なかなかハードと言わざるを得ません。

日本国内の「乗継便」「乗継空港」のリアル事情

沖縄・那覇空港は南西諸島への便の拠点空港でもある image by:シカマアキ

なお、日本国内線にも、乗継便が存在します。例えば、羽田=那覇=久米島、大阪(伊丹)=羽田=釧路など。航空会社によっては「乗継割引」もあります。

離島や地方などへ向かう便は、直行便が少ないか、ないことも多く、国内の空港で乗り継ぐ必要があります。この場合も、直行便が高くて乗継便が安いというケースも。

乗継便は当然ながら時間はかかりますが、1日1便もしくは週に数便という直行便より乗り継ぐほうが、選択肢が多くて安いなら乗継便が便利、という人も少なからずいます。

国内線を乗り継ぐのに便利な空港は、「羽田空港」「伊丹空港」「福岡空港」など。北海道内の移動なら「新千歳空港」、沖縄の離島なら「那覇空港」で、さらに「鹿児島空港」は奄美群島行きの拠点となっています。

大阪・関西空港は国内線、国際線が1つのターミナルで乗り継ぎできる image by:シカマアキ

一方、国際線では、日本国内では「羽田」「関西」など。羽田空港は地方からの乗り継ぎが便利な一方、成田空港だと国内線が少なく、羽田⇔成田の移動時間がかかるうえに交通費も安くないので不便。関西空港は第1ターミナルだと同じ空港内ですぐ移動できるのがメリットです。

「時間」を取るか「お金」を取るかは旅行次第

韓国の仁川空港。日本からの乗り継ぎ先として人気がある image by:2p2play/Shutterstock.com

直行便か乗継便か。どちらを選ぶかは「費用」「時間」の問題です。旅行費用に余裕がなければ、高い直行便より安い乗継便を選ぶ方が節約でき、航空券で浮いた分は現地での宿泊費や食費などに回せるメリットもあります。

また、限られた休暇であれば、リスクが少ないのは直行便です。乗継便だと少なくとも2つ以上の便を利用する、便が多いほどリスクは確実に増えます。

例えば、休暇が限られるサラリーマンだと、プライベートな旅行先でトラブルが起きて追加の休暇申請は会社や職場で気が引けるはず。旅行にかける費用や休暇などを考慮しつつ、自分にベストな手段を上手に選びましょう。

いま読まれてます
TRiP EDiTOR編集部 :TRiP EDiTORは、「旅と人生をもっと楽しく編集できる」をコンセプトに、旅のプロが語りつくす新しい旅行メディアです。