アマビエ、塗壁、山男…地元で語り継がれる伝説の妖怪たち

古くから妖怪は「人の理解を超えた不思議な現象や不気味な物体」とされていました。強面のだったり、鼻の長い天狗だったり、頭にお皿を乗せた河童だったり、全国にはさまざまな妖怪がいたと伝えられています。

実際に見たことはないけれど、時代を超えても私たちの好奇心をくすぐる妖怪たち。今回は古くからの伝承を交えて、全国各地のいろんな妖怪たちをご紹介します。なかにはその妖怪の伝説が根付くスポットも!

さっそくディープな地元の妖怪の世界を覗いてみましょう。

地元民と仲良し?九州地方の妖怪たち

水木しげる氏の『ゲゲゲの鬼太郎』でもよく登場して、知名度の高い「塗壁(ぬりかべ)」や「一反木綿(いったんもめん)」は、どちらも九州がご当地です。

また九州といっても、沖縄や奄美大島では、本州ではあまり聞かない、独特の南方系のご当地妖怪が存在します。

アマビエ/熊本県

江戸時代の新聞(瓦版)に乗ったアマビエimage by:Unknown author / Public domain

熊本では人魚の妖怪として知られている「アマビエその姿は、首から下は鱗で覆われて、三本足。尖ったくちばしがポイントです。

言い伝えによると1846年ごろから、海中から現れては豊作や疫病などを予言。さらに、「もし疫病が流行することがあれば、私の姿を描いた絵を人々に見せよ」と告げ、海の中へ帰っていったそう。

瓦版といわれる当時の新聞には、このときのアマビエの姿が描写され、人々にアマビエの存在が知らされました。

ケンムン(ケンモン・ヒーヌムン)/奄美大島

『南島雑話』(奄美博物館蔵)に描かれたケンモン。人間のような表情もimage by:Nagoya Sagenta (名越左源太時敏, Japanese, *1819, †1881) / Public domain

奄美大島で昔から言い伝えられている「ケンムン(ケンモンまたはヒーヌムンとも呼ばれる)は、名前は違いますが、河童と同じ種類の生き物といわれており、頭にはお皿のようなものが乗っています。


サルのような顔立ちで、赤毛、けむくじゃらといった見た目が特徴。噂によると、相撲が好きだけど体臭がきついので、人間は相手をできなかったとか。

いたずら好きですが、漁師の漁などを手伝ったり、島民からは親しまれた存在です。

また、実際に奄美大島出身の人に聞いたところ、小学校のころにはよく学校の先生からケンムンについて聞かされたそうで、島民なら誰もが知っているとか。ちなみに、タコが苦手だそうです。妖怪にも苦手なものがあるんですね!

さらに一説には、沖縄の幸せを呼ぶ妖精「キジムナー」にも似ているという情報も。

塗壁/福岡県

『稲生物怪録』に出てくる、塗壁のような妖怪image by:Unknown author / Public domain

『ゲゲゲの鬼太郎』でもおなじみの「塗壁」は福岡県遠賀郡の海岸で古くから伝えられる妖怪です。夜間に人間の歩行を阻む妖怪として知られています。行く手を塞がれたら、棒か何かで下のほうをたたくと消えるとか。

他の地域にも、徳島の「ついたて狸」、高知の「野襖」などのような、塗壁のように道を通せんぼする妖怪にまつわる言い伝えがあります。道が通れない!と思ったら、それは塗壁のせいかもしれませんよ。

一反木綿/鹿児島

土佐光信『百鬼夜行絵巻』image by:土佐光信 (Tosa Mitsunobu, Japanese, †1525) / Public domain

こちらも『ゲゲゲの鬼太郎』でおなじみですね。知名度抜群の「一反木綿」は、実は鹿児島県肝付町に伝わる妖怪です。長さ10.6mの白い木綿のようなものがヒラヒラと空中を浮遊し、人を襲ったりする妖怪として知られています。

見た目はソフトなのに、なかなかの強敵です。地元では、子どもが夜遅くまで遊んでいると、「一反木綿が出るよ」と否めることがよくあるそうです。

次は中国・四国の妖怪を紹介!「妖怪の総大将」といわれるぬらりひょんは、実は岡山県の妖怪でした!

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