アマビエ、塗壁、山男…地元で語り継がれる伝説の妖怪たち
妖怪が生き続けてきた中国・四国地方
『ゲゲゲの鬼太郎』の生みの親である日本の漫画家、水木しげる氏の故郷や、広島県三次市の藩士である稲生武太夫が体験した『稲生物怪録』など、中国・四国は独自の妖怪文化が育まれてきたエリアともいえます。
代表的な妖怪では、「ぬらりひょん」や「おとろし」などがいます。
ぬらりひょん/岡山
江戸時代の妖怪絵に登場する「ぬらりひょん」は、「坊主の老人説」と「海坊主説」のふたつの説が浮上しています。
前者の「坊主の老人説」は、袈裟をまとった大きな坊主頭の老人の妖怪で、どこからともなく出現し、家に上がり込み、お茶を飲んだりするそうです。鳥山石燕(とりやませきえん)の『画図百鬼夜行(がずひゃっきやこう)』などでもその姿が描かれています。
後者の「海坊主説」は、岡山県の瀬戸内海に出没。水中にそのつるつる頭を出したり、沈めたりなどして、人々を驚かせたといわれています。どちらの「ぬらりひょん」も人を驚かせるのが大好きなようです。
牛鬼/西日本
愛媛県や高知県などの西日本で古くから伝わる妖怪が「牛鬼」です。名前そのままの、牛と鬼、あるいは蜘蛛が合体したような姿をしており、水のある滝や海辺などに現れては、人や家畜を襲うといわれています。
愛媛県の宇和島(うわじま)や高知県の宿毛(すくも)では、「牛鬼祭り」が毎年開催されており、地域に根付いた祭りのひとつでもあります。
豆狸/徳島・高知
「豆狸(まめだぬき)」は、狸の一種と知られる妖怪で、四国では徳島県や高知県、関西は兵庫県で有名です。豆がつくのは、犬や猫の大きさであったことから由来しています。
巨大な陰嚢(いんのう)が特徴で、これを広げて人を茶化したりするそうです。竹原春泉の『絵本百物語』(1842年の奇談集)では、大きい陰嚢を雨よけとしてかぶって、お出かけする様子が描かれています。
おとろし/鳥取県
『百怪図巻』や『画図百鬼夜行』など、江戸時代の妖怪図鑑に描かれる「おとろし」。怖いを意味する「おどろおどろしい」が名詞化した「おどろおどろ」から名前が由来しているそうです。
モサモサと生えた長い髪の毛と鋭い牙が特徴。これは「棘髪(おどろがみ)」と呼ばれ、名前にも込められているとか。
古い史料には詳しい解説文はないというミステリアスな妖怪ですが、基本的には神社にすみつく、神様を守る妖怪だそう。神社に悪いことを企んでる者がいれば、突然上から落ちてくるそうですよ。
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