新型コロナウイルス感染症の影響で、国境を越えた移動がなかなかできない時代が続いています。
海外旅行もコロナ禍以前と比べて自由にできないわけですが、そのような時代であっても地球上には大陸を越え、海を渡り、国境など関係なく、驚くほどの長距離を移動する生き物たちが存在するとご存じですか?
そこで今回は、なかなか海外へ行けない時代だからこそ注目したい、脅威の「旅好き」な生き物たちを紹介します。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
日本イチの距離を移動する「アサギマダラ」
長距離を移動する生き物のなかで「アサギマダラ」というチョウの存在は外せません。『くらべて見る地図帳 2巻 日本と世界をくらべる地図』(学研教育出版)によると、アサギマダラが越冬のために日本と台湾を往復しているらしく、長距離を移動するチョウとしては日本で唯一の存在なのだとか。
その渡りの様子は1980年代に鹿児島昆虫同好会によって立証され、筆者の暮らす富山で放したアサギマダラが台湾で実際に捕獲された研究も過去にあると知りました。
だいたい日本の真ん中(中部地方)から台湾までの距離は2,000km程度です。はかなく弱そうなチョウが、その距離を東シナ海を越えて往復していると想像すると驚きですよね。
ちなみにチョウとしては、世界で2番目に長い距離を移動する生き物なのだとか。日本の上空は陸地があるからいいとしても、沖縄や奄美などの南西諸島が点在しているだけで、九州から台湾までの東シナ海は広大です。
アサギマダラは沖縄でも確認されますから、島々を中継しながら移動していると分かりますが、それにしても島と島の距離は尋常ではありません。
では、海を渡るときにどのように休んでいるのでしょうか。この点に関してはNHK『ダーウィンが来た』で映像が公開されています。シンプルに海面に降り立って、水をはじく羽で海に浮かび、休息をとるみたいですね。
番組内では海面に浮かび、再度飛び立つアサギマダラを目撃した漁師の声も放送されていました。