信じられる?地球と月を3往復分って。脅威の「旅好き」な生き物たち
世界で最も長い距離を移動する「オオカバマダラ」
アサギマダラと同じチョウでも、もっと長い距離を移動する種類もいます。それが「オオカバマダラ」です。日本にはいないチョウで、北米から中南米で見られる生き物です。ただし、
<日本でも台風などに運ばれたものが、稀に採集される>(岩波書店『広辞苑』より引用)
ケースもあるみたいですね。別名で「帝王蝶」とも呼ぶそう。
その渡りの距離は、カナダとアメリカの国境に点在する五大湖のあたりから、アメリカ東部を越えメキシコ湾に面したメキシコまで約3,000~4,000kmを越える長さに達します。
新宮晋『旅する蝶』の絵本には、ニューヨークと思われる大都会の上空をチョウが飛ぶ様子も描かれていました。
アサギマダラと同じく秋になると南下を開始して南で越冬し、メキシコの森にたどり着きます。しかも帰りは、南下したチョウが生んだ2代目が担います。
2代目もアメリカ中部で産卵し、その卵から羽化した3代目が祖先の土地、五大湖周辺のカナダまで戻るのだとか。その後に秋が来るとまた南下を開始するのですね。
その移動サイクルは4年に達するといいます。メキシコとアメリカの国境の高さはいうまでもなく、北米の2カ国は、伝統的に関係が良好で国境の壁が低かったですが、新型コロナウイルス感染症の影響で国境が高くなりました。
しかし、オオカバマダラは国境を自由に行き来しているのですね。うらやましい限りです。
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