突然ですが、あなたは好きな人に思いを伝えますか?気になる相手がいれば、「好きです。付き合ってください」と思いを伝える方は少なくないでしょう。ですが、このような日本の「告白文化」は海外では当たり前のことではないのだそう。
メルマガ『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』の著者である伊東 森さんが、日本と海外の恋愛文化の違いについてお話してくれています。どのような違いがあるのか?どのようにして日本の「告白文化」が生まれたのか?早速チェックしてみましょう。
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告白文化の独自性。キリスト教文化からの派生の可能性も

日本の恋愛文化において「告白」は、恋人関係を始めるための明確な儀礼として根付いており、その重視のされ方は国際的に見ても特異であります。
たとえば、キリスト教においては、「告解(Confession)」という言葉があります。信者が神に対して罪を告白し、赦しを請う重要な儀式であり、内面の自覚と反省を伴う行為です。この「内面を言語化する」思想は、明治期以降の日本文学、特に自然主義文学に影響を与えました。
明治期以降、日本は西洋文化の受容を通じて個人主義や内面の自覚を重視するようになりました。特に、島崎藤村や田山花袋といった自然主義文学者たちは、自己の内面を赤裸々に表現する手法を確立し、「内面の告白」を日本語表現の中核に据えました。こうした潮流が、恋愛の文脈でも「本心を言葉にすること」の価値を高める土壌を形成した可能性が。
一方、欧米ではこのような「儀式」としての告白は一般的ではありません。代わりに「デーティング文化」が根付いており、恋人関係に入る前に複数回のカジュアルなデートを通じて相性や感情を確かめるスタイルが主流です。そこでは、交際開始を明言するよりも、関係性の自然な進行が重視されることでしょう(参照)。
このように、「恋人関係を始めるとはどういうことか」に対する価値観は、文化によって大きく異なります。
(参照)博士論文審査報告『「恋愛コミュニケーションプロセスに関する日本的研究」-現代の日本人男女はどのようにして交際相手と出会い、「付き合う関係」を構築するのか-』/友池梨紗
「付き合う」の国際比較。欧米では複数の相手と付き合う“デーティング”も

恋愛関係における「付き合う」という行為も、実は国や文化によってそのプロセスや意味合いが大きく異なります。
日本では「好きです、付き合ってください」といった明確な告白を経て、関係を始めるのが一般的。一方、欧米諸国では、複数回のデートを通じて関係が徐々に深まり、自然な流れで恋人になるケースが多いです(ただし、フランスやイタリアなど一部地域では情熱的な「愛の表明」が重視される傾向も)。
この違いの背景には、社会構造や価値観の差があります。欧米では個人主義が根付いており、恋愛はあくまで当事者同士の自由な選択に委ねられるため、関係の定義も柔軟です。
対して、日本や東アジアでは集団主義的な傾向が強く、関係を明確に定義し、周囲に説明できる形をとることが重視されます。そのため、「告白」という儀式が恋愛関係の起点として重要視されるということです。
また欧米には「デーティング」という文化があり、正式な恋人になる前に複数回のデートを通じて相性を見極める期間があります。この段階では、複数の相手と付き合ってみることも。
しかし、日本ではこうした行動に対して否定的な意見が根強く、デーティング文化そのものが広く受け入れられているとは言いがたいですよね。
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