大島観光の原点。歴史、絶景、お土産で「アンコさん」の面影をたどる-PR-
東京にある、美しき11の離島。島ごとにそれぞれの魅力をもちますが、都心から最も距離が近く、東京の竹芝桟橋から高速ジェット船で1時間45分、調布飛行場からは25分で訪れることができるのが「大島」です。
豊かな自然や絶景がそろい、三原山トレッキングやダイビングスポットなど体験型アクティビティが楽しめると人気の大島ですが、実は島独自の興味深いカルチャーも目白押し。
そのなかでも特に個性的なカルチャーが、「アンコさん」と呼ばれる女性たちの活躍です。大島の大自然の中で、独特な衣装に身を包むアンコさんとは、一体どういった存在なのでしょうか?
今回は「伊豆大島アンコ文化保存会」にアンコさんの歴史や文化を伺いながら、いまもなお色濃く残るアンコさんの面影を求め、大島の元町エリアを中心に、アンコさんにちなんだスポットを巡ることに。
その興味深い歴史と文化をたどると、大島の魅力が詰まった景色や、さまざまなお土産にたどり着きました。ぜひ、大島観光の参考にしてみてくださいね。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
大島の暮らしを支えた女性たち「アンコさん」
今回お話を伺ったのは「伊豆大島アンコ文化保存会」の副代表を務める清水勝子(しみず・かつこ)さん。
アンコとは、もともと島の言葉で「お姉さん・年上の女性」をさす言葉として広く使われてきました。
アンコさんたちは、家の中の仕事はもちろん、飼牛の世話から畑仕事、井戸への水汲みのほか、無償で帆船に薪などを積み下ろす「手間仕事」と呼ばれる作業までを行う働き者だったそうです。
「時代によってアンコさんの服装は変化してきましたが、当初は労働時の作業服だったんですよね」と語る清水さん。
現在では、絣(かすり)の着物に、帯代わりの「前垂れ」を巻き、頭には手ぬぐいという特徴的なスタイルの彼女たち。
大正時代にはカジュアルな絣の着物である銘仙(めいせん)が流行するなど、時代が流れるに連れ伝統的なアンコさん姿は見られなくなったといわれています。
しかし、大島の観光ブームの際に当時の東京湾汽船がアンコさんを活用した島のPRを検討したことで、状況は一変。島の女性に対して一千反もの木綿絣を配布したことでアンコさん姿が復活。
さらに島外の人々に“紺絣のアンコさん”が紹介されたことで、アンコさんブームが起きたのだそう。
美意識の高いアンコさんは“元祖アイドル”だった!?
大島が観光地として最盛期だったころ、お土産屋さんなどで観光客をもてなしていたアンコさん。
「清楚なアンコさんは、観光客の方々に大人気でサイン入りのブロマイドなんかが飛ぶように売れたんですって!そういう意味で言うと、アンコさんは日本の“元祖アイドル”なのかもしれませんね」と清水さん。
「アンコさんの衣装を着ると10歳若く見える」と言われたことに加え、大島の名産品である椿油で手入れされた長く美しい黒髪も相まって、アイドル的な人気を誇ったのかもしれません。
アンコさん文化を継承していくための取り組み「ANKO BOOK 2021」
大島の独特な文化であるアンコさんですが、古くから伝わるこのカルチャーを後世に伝えるべく取り組んでいる活動のひとつが、アンコさんに関する情報をまとめた冊子「ANKO BOOK 2021」です。
スタイリッシュでポップなイラストを全面に用いているこの冊子は、アンコさんの歴史的背景を正確に記すにあたり、「伊豆大島アンコ文化保存会」の皆さんも制作に協力しています。
例えばアンコさんのトレードマークである「手ぬぐい」が、なぜ被られるようになったのかを丁寧に解説するだけでなく、島外の有名クリエイターが新しい時代のデザインの手ぬぐいを考案して紹介するなど、若い人世代の方々がより興味を持ってくれるような工夫も随所に見られます。
「文化を伝える上で、興味をもってもらうのが一番大切だと思います。そのためにまずは、冊子を手にとってもらうことでアンコさんというカルチャーに触れていただきたいです。また、今後は衣装をきてもらうなどの特別な体験をできる機会も積極的に設けたいですね」と、清水さんは話します。
「ANKO BOOK」内では、アンコさんの文化に付随した大島のカルチャーや魅力、名産品についても描かれているほか、プロバーテンダーが考案した大島の特産品を使ったカクテルレシピの紹介や、街歩きに役立つマップなどさまざま。
観光時のガイドブックとしても大活躍間違いなし。島内の「一般社団法人大島観光協会」などに置いてあるので、大島に訪れた際はぜひ手にとってみてくださいね。
- 一般社団法人大島観光協会
- 東京都大島町元町1-3−3
- 04992-2-2177
- 8:30〜17:00
- 大島観光協会公式サイト
アンコさんの面影が残る「元町」エリアを巡る
アンコさんにまつわるスポットが多数ある、元町港周辺。現在では近代的に整備されているエリアですが、1965(昭和40)年の大火災を逃れた南側のエリアでは現在でも古き時代の面影を確認できます。
黒い外壁が目立つ昔ながらの古民家を横目に眺めながら、当時のアンコさんがどのような暮らしをしていたのかわかる、スポットを巡っていきます。
貴重な水汲み井戸「ハマンカー」
「アンコさん達の仕事の1つだった『水汲み』。火山島故に、真水はほとんどなく非常に貴重な存在でした。そんな貴重な水を汲んでいたのが『ハマンカー』と呼ばれる深い井戸です」と清水さん。
貴重な生活用水の供給所として重宝されていたハマンカー。アンコさん達が特徴的な装束に身を包み、水を汲んだ後に頭に桶を載せて運ぶ姿は大島の代表的な風景の1つだったそう。
現在ではそのすべてが閉鎖されてしまい、中をのぞくことができませんが、当時の生活を知る上でぜひとも訪れておきたい場所です。
- ハマンカー
- 東京都大島町元町2-6-4
- ※ハマンカー跡は島内各所にあります。
石畳の道をたどり「吉谷神社」へ
前述のハマンカーからほど近く、ゆるい坂道を上る石畳の道は、「吉谷神社」への参道です。
ほかの場所とは少し雰囲気の異なるこの道に使われている敷石は、1964(昭和39)年に開催された東京オリンピックの道路整備の際に、都心で撤去された都電の敷石が使われています。
大山祗尊と三原大明神が祭神である吉谷神社は、火山の噴火を神の仕業とした島民が鎮めるために建てられたのが始まりだといいます。
お正月に行われている正月祭は、1958(昭和33)年に東京都の無形文化財にも指定されています。
「吉谷神社の近くの広場にある記念碑は、林甚之丞(はやし・じんのじょう)氏のもの。林さんは大島を観光地として栄えさせるために尽力した人です」と清水さん。
当時失われかけていたアンコさん文化に感銘を受け、大島のシンボルとして観光に活かそうと、さまざまな取り組みを行った林氏。
彼の功績がなければ、現在まで受け継がれているアンコさん文化は途絶えてしまっていたかもしれないのだとか。
- 吉谷神社
- 東京都大島町元町4-2-9
アンコさんと大島の文化が描かれた文学作品を知る「長根浜公園」と「長根岬」
江戸時代の中頃まで、流刑地として罪人たちを島流しにする場所とされていた大島。この歴史的な背景も、大島やアンコさん文化に大きな影響を与えているのです。
「長根浜公園」にある文学碑は、大島を訪れた小説家・藤森成吉(ふじもり・せいきち)が、島で働いているアンコさんについても描写した小説『若き日の悩み』のものです。
公園を訪れたら、ぜひとも見ておきたいのが「長根岬」。これは1338(暦応元)年の噴火の際に流れてきた溶岩が海岸に流れた痕跡です。
長い年月をかけ波に削られ、硬質な溶岩部分が残ったことでこのような特徴的な岬になったのだそう。火山島・大島の歴史を感じさせる、象徴的なスポットです。
- 長根浜公園
- 東京都大島町元町字トンチ畑
アンコさんとも縁深い、大島の「椿油」たち
大島の特産品として、最も有名なのが「椿油」ではないでしょうか。大島では、なんと一万年ほど前には椿があったそう。
島内に多く自生している椿の種から取れる椿油は、古くから灯・整髪・食用として活用されており、明治以降には機械油や整髪油としての生産が増加。アンコさんの美しい黒髪の一助にもなっていたのです。
現在でも、大島の椿油はお土産品として大人気!元町エリアのお土産屋さんはもちろん、製油所では搾りたての椿油を購入できることも。
高田製油所
「高田製油所」は、大正時代から続く伝統的な製法を守り、ゆっくりと手間ひまをかけて作る椿油が大人気。
古くから使用しているという歴史ある粉砕機や、圧搾機が並ぶ製油所横にある売店では、搾りたての椿油を購入することができます。
長時間じっくりと濾過する化粧用の椿油のほか、食用として使用する椿油も大人気。
天ぷらなどの揚げ物やアヒージョを作ってみると、普通のオリーブオイルやサラダ油とは違う甘みや風味を感じられます。とても美味しいので、試して見る価値ありですよ!
- 高田製油所
- 東京都大島町元町1-21-1
- 04992-2-1125
- 公式サイト
阿部森売店(阿部製油所)
大島の人気椿油のひとつとして知られている「阿部製油所」の椿油を販売しているのが、「阿部森売店」。
椿油の品質はもちろん、創業当時からのデザインを忠実に再現したパッケージや瓶が大人気。中身を使用した後も大切に持っておきたくなる、レトロモダンの可愛らしいデザインは、いまでは貴重な存在です。
売店では、レトロモダンなパッケージをモチーフにしたTシャツやトートバックなどのオリジナルグッズも多数販売されており、こちらもお土産として人気を博しています。
- 阿部森売店(阿部製油所)
- 東京都大島町元町1-9-5
- 04992-2-1288
- 定休日:なし
- 9:00~17:00
大島椿製油所
1927(昭和2)年創業の「大島椿製油所」は、「大島椿」を全国的なブランドへ確立させた、歴史ある製油所です。
独自技術で精製した椿油のほか、椿油を配合したスキンケアソープやシャンプーなどオリジナル商品を多数取り扱っています。
大島でしか取り扱いのない限定商品は、お土産として最適。アンコさんのような美しい黒髪を手に入れたい方は、ぜひゲットしてみてください。
- 大島椿製油所
- 東京都大島町元町2-19-7
- 04992-2-2511
- 定休日:火・水
- 9:00~17:00
- 公式サイト
オリジナルグッズも!アンコさんにまつわる大島のお土産はいかが?
元町エリアには、帰り際に立ち寄りたいお土産屋さんも多数。お店ごとに個性的なオリジナル商品も発売しているので、旅の思い出にぜひとも購入してみてはいかがでしょうか。
みよし土産店
大島のお土産品が数多く取りそろえられている「みよし土産店」。人気の椿油や銘菓・牛乳煎餅のほか、アンコさんにまつわるオリジナルグッズもたくさんあります。
こちらはアンコさんの象徴的な装い「被り手ぬぐい」としても使われる、椿柄の手ぬぐい。美しい紺色で染め上げられた手ぬぐいは普段遣い用としても最適です。
また、アンコさんの伝統的な服装に身を包んだ可愛らしい猫「あんこ猫」のオリジナルグッズも多数。
大島を象徴するマスコットとしても定着しつつある「あんこ猫」のマグネットやシールは身近な友人たちへ配るためのお土産として購入していく方も多いのだそう。
- みよし土産店
- 東京都大島町元町1-16-1
- 04992-2-2168
- 定休日:なし
- 8:30~17:30
- 公式サイト
椿の花工房
椿を用いた焼き物やアクセサリー製作などを行う「椿の花工房」。こちらでは、椿油を絞った後の殻を焼いた「椿灰」を釉薬(ゆうやく)として使用した焼き物や、椿の実を使った特別なハンドメイド商品を制作。
すべてが1点ものという、貴重なグッズの数々は旅の思い出として、ぜひ手に入れておきたいお土産商品です。
ネックレスの赤い実の部分は、美しく磨き上げた「椿の種」を色付けしたもの。黒い小さな実は大島で多く自生している「大島桜(オオシマザクラ)の種」を使用しています。
アクセサリーのほかにも、キーホルダーなどの小物類や食器類もすべて一つずつ手作り。コーヒーカップのアクセントになっている黒い部分は、溶岩を粉にして塗り、自然で味わいのある色合いを表現しています。
実は「椿の花工房」で椿灰になる殻は、「高田製油所」で使用した残り殻を利用。椿は油になるだけでなく、残りのしぼり殻は釉薬に変身しているのです。
例年、早春ごろに行われる大島の一大イベント「椿まつり」のシーズンに出店し、椿の実のアクセサリーを販売しています(連絡要必須で店頭でも購入可能です)。
- 椿の花工房
- 東京都大島町元町北の山16-5
- 04992-2-3148
- 公式サイト
香り高いアンコブレンドやオリジナルグッズも!「観光喫茶もももも」
大島の玄関口、西の元町港から徒歩すぐの場所にある、「観光喫茶もももも (MOMOMOMO)」。同店は、大島に関する知識がない人でも、島の歴史や魅力をたっぷり知ることができる喫茶店です。
元町港に朝イチのバスが到着する時刻にあわせて早朝から営業しているため、船で早朝に到着して一息つきたいときにぴったり。ほかのお店がまだ開店していない時間でも、ゆったりとコーヒーを飲みながら大島について知ることができます。
同店の大きな窓から海を眺めながらぜひ堪能してほしいコーヒーが、「あんこブレンド」と「御神火(ごじんか)ブレンド」、そして「椿ブレンド」(各500円)です。
三原山を意味する御神火と椿、そしてアンコさんをイメージして、店主の柳瀬忠彦(やなせ・ただひこ)さんが全国のコーヒー豆からセレクト。
深煎りの御神火はガツンとくる風味、浅煎りの椿は酸味のあるすっきりとした風味、あんこブレンドはその間をイメージしたブレンドコーヒーです。
柳瀬さんは都内でも活躍するイラストレーターで、帽子やTシャツ、バッグなどアンコさんにまつわるグッズも販売しています。さらに同店をお手伝いしている柳瀬さんのお母さんは、かつてアンコさんとして島を盛り上げたひとり。
こだわりの一杯を楽しみながら大島の歴史やアンコさんの文化にも触れることができるので、島に到着した際は最初に訪れてみてもいいかもしれません。
- 観光喫茶もももも
- 東京都大島町元町1-17-2 旭売店2F
- 090-5319-3902
- 定休日:水曜
- 8:00〜6:00
- 公式Twitter
島独特のアンコ文化で、大島の歴史に触れる旅
本島から離れている地理だからこそ生まれる、離島の独特な文化の数々。現在でも大島には、古くから継承されてきた素敵な文化の息吹の数々が街の至るところに残されています。
今回お話を伺った「伊豆大島アンコ文化保存会」の清水さんは、アンコさんの文化とこれからについて、こう話してくれました。
「最初は地域商店の女性有志4人で細々と行っていた活動ですが、徐々に行政を巻き込む大きな試みになってきました。根底にあるのは、自分たちが楽しみながら発信するということ。自らが住む大島の文化を楽しみながら、後世にもしっかりと継承していきたいです」
大自然を求め訪れた土地で、その場所にしかない文化にも魅了される。実際に足を運ばないとわからない“宝物”にたくさん出会えるのも、旅行の醍醐味です。
都心部から高速ジェット船で1時間45分で訪れることができる、豊かな自然と文化に触れられる大島に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
- 伊豆大島アンコ文化保存会(取材・撮影協力)
- 公式サイト
PR:東京都
- ※取材時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
- ※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。