ニッポンの古民家を守りたい。京へ向かう宿場町「福住」が始めたイマドキな再生事業
日本の歴史や伝統文化を身近で感じられる古民家への注目が集まっていることをご存知ですか? 地方では古き良き古民家を宿泊施設として再活用し、訪日外国人誘致やクラウドファンディングに力を入れています。
観光庁が発表した2017年度の「宿泊旅行統計調査」によると、外国人の宿泊数はのべ7,800万人で前年比+12.4%、特に地方部での訪日外国人は+22.7%も増加しており、都市圏よりも地方部への関心が高まっているようです。
モノよりコト消費で体験型が人気
現代では「モノよりコト消費」と言われるようになってきました。一昔前までは、商品に対して価値を見出す「モノ消費」が一般的でしたが、サービスや体験を通じて価値を見出す「コト消費」に変化しているのです。物質的な豊かさではなく、精神的な豊かさを求める意識がコト消費という意識へ繋がっているのかもしれませんね。
古民家も例外ではありません。古民家とは、昭和初期までに建てられた日本伝統の建築構造の家で、釘を使わず、木組みで作られています。最近では耐久性が高く評価され、取り壊すのではなく、古民家を再生する活動が全国で活発になってきました。
そんな古民家では「日本の歴史や伝統文化を身近で感じられる」ため、体験型の観光として注目を集めています。特に宿泊するだけでなく、周辺の城下町を観光したり、地元の人に触れ合ったり、職人技を間近で体験したりできる歴史ある宿場町が人気のようですね。なかでも兵庫県篠山市は訪日外国人が増えている地方の一つで、丹波焼、篠山城、ぼたん鍋など、観光も工芸も料理も楽しむことができる街として注目を集めています。
日本六古窯の一つ「丹波焼」
丹波焼は兵庫県篠山市今田地区付近で焼かれている陶器で、起源は平安時代から鎌倉時代まで遡ると言われています。日本六古窯の一つで、2017年には日本遺産に選ばれました。土作りから焼く工程までのすべてを一貫して手がけることにより、窯元それぞれの個性と温かみを感じる陶器に仕上がります。陶芸体験もできますよ。
家康によって築城された「篠山城」
篠山城は江戸時代に徳川家康の命を受けて築城されました。一度は焼失したものの、2000年に大書院が再建。高台に位置しているので見晴らしがよく、春になると外堀沿いにある1000本の桜の木が美しく咲き誇り、多くの花見客で賑わっています。2006年には日本100名城に数えられました。
篠山発祥の名物「ぼたん鍋」
名物ぼたん鍋。篠山市発祥と言われており、イノシシを使った郷土料理で、牡丹(ボタン)の花に見立てて盛り付けられることから由来しているとか。お肉は煮込むほどに柔らかくなり、あっさりしていて深いコクを感じられます。猪肉はビタミンも豊富で体にやさしいと言われています。個性豊かなだしで食べるぼたん鍋は篠山でしか食べれない逸品です。
江戸時代の町並みがのこる「福住」
丹波の山々や田園風景が残る福住(ふくすみ)は、江戸時代の宿場町の面影を感じられるレトロな町です。商家が数多く残っており、町を歩くだけでまるでタイムスリップしたような雰囲気を味わえます。独特な重厚感のある屋根は、丹波地方ならではの特徴なんだとか。
福住は江戸時代から丹波と京都を結ぶ約3.2kmの街道で、当時は京街道と呼ばれていました。現在では、かやぶき屋根の町家が立ち並ぶ宿場町として伝統的建造物群保存地区に認定されています。
当時は農家と兼業で宿場町で旅籠屋(はたごや)を営む方が多く、現在でも昔の人の暮らし方を伺える町並みが残されています。京都方面へ向かうと、かやぶき町家の立ち並ぶレトロな宿場町から、1軒ごとの間隔が広い豊かな農村風景へと景色が変化していきます。
現代となっては珍しい町並みの中、より魅力あるまちづくりの一つとして福住に輝きを取り戻す再生事業に力を入れています。
それが今話題のコト消費。「古民家再生ワークショップ」では職人さんと一緒にワークショップ形式で作業を行い、間近で古民家の再生現場を体験できます。これまでのワークショップでは古民家がカフェやギャラリー、住宅へと再生されています。再生された古民家を見学するだけでなく、ワークショップで実際に体験することによって特別な時間を過ごすことができるのです。
実際に、地域に眠る伝統的な建物の再生や保存に取り組んでいるのが、NPO法人 町なみ屋なみ研究所です。クラウドファンディングで支援を集めて古民家の再生活動を行なっています。
応援するとどんなことを体験できるの?
クラウドファンディングのリターンとして、2018年10月現在、現地に訪れて福住を体感するツアーを行なっています。日頃から町なみ再生に取り組んでいる現地ガイドが2日間にわたり福住の町を案内。実際に、古民家の再生改修の様子を見れて、新しい取り組みを始めた現地のお店や体験に参加することもできます。また、茅葺職人によるトークセッションも用意されています。
宿泊先は築100年以上の古民家宿。昔ながらの古民家宿には囲炉裏やかやぶき屋根を裏側から見れる屋根裏部屋もあります。そして古民家レストランにて土地の食材を使った料理を堪能。さらに地域の人々の取り組みだしたお店を訪問したりサイクリングツアーにも参加可能です。
福住は、古き良き日本の文化を残しつつ、新しい宿場町として外国人だけでなく日本人も訪れる町へと生まれ変わっています。その地域ならではの風景や町並みを未来へ残していくことが、新しい体験に繋がるのではないでしょうか。この機会に、再び人が暮らす家に再生するプロジェクトを応援してみませんか?
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