健康美肌を手に入れたい東京OLが、マンゴーの生産農家を直撃したら
宮崎県産マンゴーはなぜ高い?
まつこ:そういえば小林市滞在中に宮崎県産マンゴーのドライフルーツを見つけたんです。便秘予防や美肌効果をと思って購入したのですが、とても値段が高くて驚きました!
松田さん:加工品の中でもドライフルーツついては、市販されているほぼ100%が外国産です。国産ではとてもじゃないですが単価が合わないんですよ。だから日本のマンゴーは完全に販売の住み分けができていて、加工は輸入物、生果は国産となっています。購入された宮崎県産マンゴーのドライフルーツと同じ値段を出したら、外国産が1kgくらい買えるんじゃないですかね。
まつこ:宮崎県産マンゴーが高価にも関わらず人気が高い理由、味はもちろんですが他に理由はあるんでしょうか?
松田さん:
美味しさはやはり育つ環境によるところが大きいですね。ひとつは、小林市のマンゴーが霧島連峰の豊かな水で育っていること。また宮崎県のマンゴーは収穫の時にはさみを使いません。完熟になる頃にネットをかぶせて自然と実が落ちるまで待ちます。また、マンゴーは他の果実のハウス栽培に比べて費用がかかることもありますね。温室にするための暖房費だけで他の果物の2倍〜3倍はかかります。
まつこ:宮崎県マンゴーのブランドと言えば「太陽のタマゴ」がありますが、ここにある全てのマンゴーが「太陽のタマゴ」になるんですか?
松田さん:「太陽のタマゴ」は重さ350g以上、糖度15度以上、そして赤身が全体の1/2以上で色が美しいものと規格で決まっています。規格に合うのはこのハウス全体の2割に満たないですね。ブランドで認められたものは値段が全然違いますよ。大きく甘く美しく育つように、小さなうちからよく陽にあたるように吊って育てます。
まつこ:2007年頃に宮崎県産マンゴーブームが起こりましたが、価格がぐっと上がったのはこの頃からなのでしょうか。
松田さん:ブームの時期は市場卸値で1kgで5000円もの値がつくこともあるほど高騰していましたね。実はブーム以前から、宮崎マンゴーは全国比でも高めの3500円ほどの価格で売れていました。ブームが引くとともに値段がおちていった時は困りましたが、現在は改めて正しく価値を評価していただき、値段も回復してきました。昨年度の初競では2玉で30万円もの値がついたものもあるんですよ! ブームをきっかけに宮崎県の知名度が上がったので、今は地道に良いものを作っていくのみです。
マンゴーの花は、想像以上に強烈な匂いだった
ところでマンゴーの花を見たことがある方は少ないはず。今回特別にマンゴーの花も見せていただくことになりました。先ほどの果実のなっているハウスに比べて低めの温度に設定されたハウスに足を踏み入れると、マンゴーの花独特の匂いが充満しています。
ハウスに入った瞬間は甘くていい匂いと思いきや、息を吸い直すとこれは強烈。まさに「言葉にできない」匂いで、ツンとした刺激臭と強烈な甘い香りがミックスしたような、息がしにくい程の匂いの濃さを感じます。
ハウス内では養蜂場から借りたミツバチを離し、受粉をさせています。1つの枝にこれだけたくさんの花がついていても、実際に受粉して結実するのは10%ほど。そこから実るのはほんの1%くらいなのだそうです。
松田さん:この時期から徐々に間引きを始めます。これくらいの時期ならこうやって揺らせば弱い実は落ちていきますよ。
受粉後に花が落ち、青いちいさな実がなった枝をバサバサと弾いて実を落とす松田さん。高価な果物だからと緊張しながら木々の間を通る私達を横目に豪快な間引き!