四季を感じに日本へ。増えゆく訪日ベトナム人観光客はどこへゆく?
多くの国からたくさんの観光客が訪れる日本ですが、日本政府観光局(JNTO)が発表している2018 年1月から12月の数値をみると、ベトナムからの訪日観光客は前年から比べて26.0%増の約38.9万人(+8.0万人)にも達しています。
この数字は、観光庁で調査している国と地域のなかでも、最も高い伸び率を記録しているとのこと。
また観光庁による現地旅行会社に向けた取り組みもあって、ベトナムからの初回訪日者が増えている一方、リピーター割合は減少傾向にあるという調査結果もあります。
そんななか、この度「アウンコンサルティング株式会社」が、訪日ベトナム人の検索数から訪日動向を調査しました。早速、その内容をご紹介します。
主要観光地は訪問率の高さに比例して検索数も高数値
ベトナムからの旅行客は、日本を訪れる海外諸国の全体と比較すると、団体旅行の利用者が多いことが特徴となっています。
ベトナムの旅行サイトでは「東京~静岡・山梨(富士山)~名古屋~大阪・神戸・京都」のように、日本の観光ゴールデンルートに沿ったツアーが多く紹介されているとのこと。そのため、主要観光都市への訪問率が高くなっているようです。
ちなみに、東北経由の「福島~茨城~東京~静岡~名古屋」をめぐるツアーのなかでは、福島の猪苗代湖や茨城の牛久大仏が紹介されています。
さらに九州周遊ツアーのなかでは大分の地獄温泉が紹介されるなど、主要観光地に加えて、まだ少数ながらも地方の観光地を紹介するツアーなども見受けられるようです。
ベトナムからの検索数が多い地域をまとめてみると、まず「日本旅行(Du lich Nhat Ban)」の検索数が前年に比べて+94.0%と高い数値を記録しています。
また「東京(Tokyo)」、「大阪(Osaka)」、「京都(Kyoto)」などは、訪問率の高さに比例して検索数も多い傾向にあるようです。
このことから、初めて日本を訪れるという旅行者が多いベトナムでは、主要観光地への関心が高いことがわかります。

また、本来の地域の意味とは別の要因で検索数が高いと推測できるキーワードも多く上がっています。
日本の漫画『ワンパンマン』の主人公「サイタマ」の影響による「埼玉(Saitama)」、漫画『黒子のバスケ』のキャラクター「赤司」からの「明石(Akashi)」など、日本のアニメのキャラクターをきっかけとした地方都市の検索数も上昇。
さらにフィギアスケートのザギトワ選手の影響で話題になった秋田犬などからの「秋田(Akita)」などが検索されており、日本の文化がきっかけで日本旅行に興味を持つ人が増えているのかもしれませんね。
そんななか、「栃木(Tochigi)」の2018年の年間検索数は6,120と低数値ながら、「日光(Nikko)」は2万100と栃木を大きく上回り、検索数は上昇傾向にある様子。
YouTubeのプロモーション動画が多く閲覧されていることが、ひとつの要因となっているようです。
続いて、訪問率の低さに対して年間の検索数や上昇率が高く、関心が高いことがわかるのが「北海道(Hokkaido)」です。
ベトナムは雪が降らない気候であることから、雪やウィンタースポーツへの憧れを持っている人が多く、実際に日本国内で歴史ある建造物が立ち並ぶ寒冷地である「白川郷(Shirakawa-go)」の検索数も上昇傾向にあるそうです。
しかしベトナムの冬の長期休暇であるテト休暇(旧正月)は、里帰りをして家族や親戚と過ごすのが一般的で、海外旅行をするという風習がないため、2018年2月の訪日客数は2.3万人と1年間で最も低くなっています。
このことから、冬の観光地への関心はありながらも訪問数は少ないということがわかります。
また2018年12月に急上昇したのが「原宿(Harajuku)」の検索数です。
これは、日本のドラマを原作にした映画『パパと娘の7日間(ベトナム版)』が12月28日に公開され、父親の役柄が原宿ファッションのファンであることから、検索数が急激に増えたのではと推測されています。
ベトナムの海外旅行のピークは夏ですが、ほとんど四季がなく自国では見ることのできない景色を求めて旅行する人が多いためか、訪日シーズンは桜ツアーのある4月と紅葉ツアーのある10月に集中しています。雪や桜、紅葉のシーズンは旅行需要が高い状況にありますね。
今後は、冬に日本を訪れる人も増えていくと予測されているベトナムからの旅行者たち。リピーターも増えていくよう、日本の魅力がさらに伝わる発信も求められそうです。
source:PR TIMES
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