文化が見える「トイレ事情」、訪日ムスリム旅行者はどうしてる?
2010年時点で、イスラム教徒(ムスリム)の人口は世界人口の23%を占める16億人と、キリスト教の21.7億人に次ぐ規模に。割合・人数ともにほかの宗教にくらべ大きな伸びが予想されています。
そこで今回、TOTO株式会社が“訪日ムスリム旅行者”にターゲットを絞った「訪日ムスリム旅行者のトイレ利用調査」を実施しました。日本ではまだ広く知られていないムスリムのトイレ利用の実態と、水まわりにおけるムスリム配慮の方向性について、早速ご紹介します。
トイレ利用後に必ず洗う?我慢する人は0%に
ムスリムの旅行市場規模(国内・海外)は2015年時点で世界市場の11.2%(1510億ドル)を占めると推測されており、2021年には2,430億ドルに拡大すると予想されています。
イスラム教には生活全般についての規範があるため、受入環境の整備を進めることも大切です。訪日ムスリム旅行者が増えるなか「ハラル食」などが注目されていますが、「豚肉やアルコールを口にしてはならない」規範と同じように、「排泄後は排泄部位を水で洗わなければならない」という規範があるのです。
「自国では排泄のあと排泄部位をどうやってきれいにするのがあなたにとって一般的ですか?」という質問では、ムスリムは自国ではトイレ個室内に設置されているハンドシャワーを使って洗う習慣があり、約7割の人がハンドシャワーを使用しています。
そのほかでも「温水洗浄便座を使う」が23%、「濡らしたティッシュペーパーで拭う」が17%あることから、ほとんどの人が規範に則り水またはそれに近い状態での洗浄を行っていることがわかります。
続いて訪日ムスリム旅行者の方に「あなたは温水洗浄便座を使ったことがありますか?」という質問をすると、温水洗浄便座を「あれば必ず使う」と答えた方が82%にのぼり、「たまに使う」と答えた方も含めると95%が使ったことがあるという結果でした。
認知度にいたっては99%とほぼ全員が温水洗浄便座を認知しており、ムスリムの皆さんにとって温水洗浄便座が大きな意味を持つことがうかがえる結果となりました。
「日本の公共トイレでは排泄のあと排泄部位をどうやってきれいにしていますか?」という質問では、来日した際にはハンドシャワーの代用品として80%が温水洗浄便座を使用している実態が判明。
また、温水洗浄便座が無い場合のために「ペットボトル」を持ち歩く人など、ハンドシャワーの代用を各々の方法で実践していることがわかりました。一方、「洗うことを我慢する」人は0%となっています。