変わらない景色なんてないんだ。水中写真が写した海の中の現実

うだるような猛暑が続く今年の夏。夏休み真っ只中ということもあって、きっと全国各地の海水浴場は賑わいを見せていることでしょう。

多くの海水浴客がマナーを守って楽しい時間を過ごす一方、一部の人によるモラルのない行動が、度々問題となっています。

そこで今回は、水中写真家・鍵井靖章さんが、ご自身が撮影した写真を通して語る「海洋ゴミ問題」について紹介。普段は見ることのできない、海の中の現実を学ぶいい機会になるのではないでしょうか。

こんなんじゃなかった。うつり変わる海の景色

撮影地 久米島 image by:鍵井靖章

無事に久米島に渡れてフォトセミナーを開始。自分のカメラは持たずにゲストのカメラで撮影して、「皆さんのカメラではこんな写真が撮影できるのですよ!」って。

どんなメーカーのカメラでも、コンデジでもミラーレスでも一眼でも撮影して、短時間でみんなが「ウォー!」って思ってくれる写真を撮影する。

スライドを使っての講義もそうだけど、きっと私のフォトセミナーの魅力はそこにあると思う。できる限りみんなの環境に寄り添って何よりも水中写真を撮影する喜びを共有できるようにする。

ダイブを重ねるたびにみんな写真を撮るのがみるみる上手になっていく…。

ダイビング後はずっとカメラモニターで画像確認を楽しくしてる。これが何よりも嬉しい。

撮影地 久米島 image by:鍵井靖章

久米島の東海岸へ行くと、海岸線にはたくさんの漂着ごみが…。憧れの沖縄としてはこれまで露出されていなかった光景。実際に足を運んでみることでその事実を知り、違和感を覚えると思う。


そんな海洋ゴミがある海の中を潜るとどんなことになっているのだろう…と潜ってみたけど、意外とゴミはなく、やっぱりプラごみとかの多くは表層を流れ、海岸線に着くのが多いのだと。海中で、ほとんどゴミを見かけることはなかった。

ゴミを撮影するためにエントリーしたけど、ないはないで、それは納得。

知ることが大切。

でも、1箇所だけ穴の中はすごいことになっていた。地層に組み込まれるようなゴミの堆積。気持ち良い写真ではないですが見てください。

撮影地 支笏湖 image by:鍵井靖章

支笏湖でダイビング。1本目に潜ると海草とかの海の泥のようなものがたくさん被っていて、美しくない。それを手で全部、払い始めて…。

最初は、自分の撮影のためだったんですが、途中からこの時一緒してくれていた仲間が誕生日だったり、600本、200本の記念ダイブだったりしたので、もうその方々のために掃除を始めたら、止まらなくなって…。いつも一緒に潜ってくれて感謝の気持ちで。

2ダイブ目も同じところに潜るので、そのころにはもう海草は綺麗になっているだろうと、1時間かけて一面を綺麗にした。で、自分の撮影にはそれほど集中できず…何してるんやろ…俺…。

撮影地 阿嘉島 image by:鍵井靖章

ある日の朝、ナベヤギリというポイントに潜った。阿嘉島での大好きなポイントで、コロナ以降、本当にみんなでたくさん潜った。

大きなテーブルサンゴに青いお魚が群れる素晴らしい場所があって、みんなで夢中で撮影した。いや、撮影もだったけどみんなその夢のような景色に酔いしれていた。

その大きなテーブルサンゴに近づくと、青いお魚たちが少ない?そんな季節なのかな?と思っていたけど、どうやら、そのテーブルサンゴの真ん中が大きく死滅しかけていてそれが原因のようなのだ…。その死滅している部分は大きくて痛々しい。

去年出版した写真集、『にほんの海』の表紙もここで撮影したものだった。

ずっと変わらない景色なんてないなと痛感した。

あんな幸せな景色がずっとあるなんて思っていた私が甘かったのか…。この日は、残念で写真も撮影できなかった。

撮影地 阿嘉島 image by:鍵井靖章

阿嘉島に前浜ビーチという浜がある。宿泊していた「シーサー阿嘉島」の近くにあって行きやすく、先日ゴミ拾いに行った。

前浜ビーチは家族で遊んだこともあるし、撮影したことあるし、たくさんの海の仲間と楽しい時間を過ごした場所。そんな場所に海洋ゴミなんてないよね…と思って行ったら、意外とあるのでびっくり。

興味や視点なんだと思った。ゴミ拾いに行くまでは本当に気付いてなかった…。面白いものだ。

 

  • image by:鍵井靖章
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