文豪ヘミングウェイが愛した地。アメリカ最南端の街「キーウエスト」の魅力

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2023/11/08

世界中には著名人の出身地や著名人が愛した街として知られる場所が多く存在します。有名なところからあまり知られていない穴場とされているところも。

今回ご紹介したいのは、世界的に有名な作家アーネスト・ヘミングウェイが愛したフロリダ州にある「キーウエスト」。アメリカの最南端に位置し、情熱溢れる街です。一体どのような街が広がっているのでしょうか。

ヘミングウェイが愛したアメリカ最南端の街「キーウエスト」

image by:角谷剛

キーウエストは米国本土50州で最南端に位置する都市です。メキシコ湾の東側、半島のように突き出たフロリダ州の南端に見えるマイアミから、さらに車で約4時間かかります。

道のりのほとんどを占めるオーバーシーズ・ハイウェイは、キーズ諸島の島から島へと渡る橋をいくつも通り、左右にはサンゴ礁の海が広がる光景で有名です。

地図で見ると、ハイウェイが真っ青な海の中をまるで1本の線を描いたように走っています。これほど想像力をかき立てるドライブルート地図を私は他に知りません。

キーウエストには空港もありますが、ぜひ車で向かわれるようにおすすめします。運転しながら写真を撮ることはできないのはまことに残念ではありますが。

image by:Shutterstock.com

そのハイウェイが途切れるところ、もうここから先には海しかない。キーウエストはそんな場所にある小さな街です。面積は約11平方キロメートル、2020年度米国国勢調査によると人口は約2万6,000人とのことです。

しかし、それよりはるかに多くの人々がキーウエストを訪れます。正確な数字を把握することは困難でしょうが、年間あたりの訪問客は約400万人だと言われているほどです。

情熱溢れるカリブ海を感じる街

image by:Shutterstock.com

マイアミやキーウエストは熱帯エリアのような土地です。夏はひどく暑く、冬でもとても暖かい日が続きます。


とても暖かいとはつまり、晴れていたら思わず海に飛び込みたくなる気候だということです。ハワイのような南国の島を連想されても、さほどかけ離れてはいないと思います。

アメリカ本土最南端ブイ image by:角谷剛

キーウエストにある観光スポットのひとつ、アメリカ本土最南端ブイには「キューバまで90マイル(約145km)」の表示があります。マイアミまでは160マイル(約257km)ですので、むしろキューバの方により近いのです。

ポリネシアの文化がハワイに独特の雰囲気を生み出しているように、キーウエストの風土と人々にはカリブ海のイメージが色濃く感じられます。それはつまりアメリカ本土の主流とは異質のものであり、もちろん日本とも随分違います。

街中は狭く混雑していて、交通マナーは(あくまで個人的主観では)かなりワイルドです。カオス、と呼ぶ人もいるかもしれません。

端から端までせいぜい数kmの広さですので、元気のある人は歩いて回った方が楽しいでしょう。水着姿で自転車に乗っている人もめずらしくありません。

image by:角谷剛

キューバ料理の店が多く、地元従業員のほとんどはスペイン語を話しているようです。英語を話しているのは観光客だけではないか。そんな気さえしてきます。

ジェームズ・ボンドが「武器よさらば」と言ったわけ

ジェームズ・ボンド・シリーズの傑作、1989年公開の映画『007/消されたライセンス』はキーウエストが主要舞台のひとつになっています。

イギリス情報局秘密情報部(MI6)部長“M”の命令を拒否したため、拳銃を手渡すように迫られたボンドが口にしたセリフ「A Farewell to Arms(武器よさらば)」は多くの人をニヤリとさせました。

なぜなら、このシーンが行われた場所はかつて作家アーネスト・ヘミングウェイが住んでいた邸宅なのです。言うまでもありませんが、『武器よさらば』はヘミングウェイの代表作のひとつです。

ヘミングウェイ・ハウス外観 image by:Shutterstock.com

この邸宅は博物館になっていて、「ヘミングウェイ・ハウス」という名で一般に公開されています。

ヘミングウェイ・ハウス内部 image by:Robert Hoetink/Shutterstock.com

その荒々しい文体や男性的なイメージからすると意外に感じるかもしれませんが、ヘミングウェイは大変な猫好きだったことでも知られています。

映画の中でも邸宅中を数えきれないほど多くの猫が自由に歩き回っていました。博物館になった現在も同様です。

image by:travelview/Shutterstock.com

ヘミングウェイがキーウエストに住んでいた1930年代は、この文豪のキャリアからすると空白期間にあたりました。

初期の代表作を『日はまた昇る』(1926年)と『武器よさらば』(1929年)とするならば、『誰がために鐘は鳴る』(1940年)までの約10年間は刊行された作品の数がぐっと少なくなりますし、有名なものもありません。

ただ、キーウエストとキューバを舞台にした『持つと持たぬと』(1937年)は、個人的には惹かれる長編です。

その理由が何であったのかは分かりませんが、ヘミングウェイは1930年代をもっぱら夏はワイオミングで狩猟に興じ、冬の間はキーウエストで釣りを楽しむ日々を送っていたようです。


ヘミングウェイとお酒

ヘミングウェイの名を冠した酒場 image by:角谷剛

そしてヘミングウェイはお酒が大好きでした。お酒に関する名言を数多く残していますが、なかでも、酔っ払うまでは、男という生き物は存在しない(筆者訳:原文は “A man does not exist until he is drunk.”)が筆者のお気に入りです。

お酒に関するウンチクを好む人なら、ヘミングウェイと聞けば「モヒート」を連想するかもしれません。ラムをベースに、ミントの葉を潰して混ぜた、鮮やかな緑色をした涼しげなカクテルです。

ヘミングウェイはこのお酒をこよなく愛していたということです。おそらくそれはパリでも、スペインでも、キリマンジャロでもなく、キーウエストで出会ったお酒なのでしょう。

キーウエストに惹かれる文学者たち

イリノイ州で生まれ育ったヘミングウェイの他にも、テネシー・ウィリアムズ(ミシシッピ州)、シェル・シルヴァスタイン(イリノイ州)、トルーマン・カポーティ(ルイジアナ州)など、アメリカの他地方に生まれた多くの文学者がキーウエストに居を定めました。

彼らをこの小さな街に引き寄せたものは何だったのか。日本からは少し遠い場所にありますが、機会があればぜひ訪ねてみて、その空気を肌で感じてほしいと思います。

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角谷剛(かくたに・ごう) アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大谷翔平を語らないで語る2018年のメジャーリーグ Kindle版』、『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。

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