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減塩に糖質カット。山梨発「いちやまマート」のブレない信念

TRiP EDiTOR編集部
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2017/06/08

生き残りをかけて~地方スーパーの戦略

人口が減る中、地方のスーパーはどうやって生き残っていけばいいのか。その答えを出すべく三科が開いている勉強会がある。「美味安心」情報交換会。全国から「美味安心」の取引先スーパーが集まり、それぞれの成功した取り組みを情報交換する。こうした会を年に3回開き、生き残り策を共有しているのだ。

例えばこの日、ある人は年末商戦で役立つアイデアを発表した。年越しそばで大量に用意しなければいけないかき揚げを、なんとボウルごと揚げてしまう。これで油の中で具が広がらず、効率アップ。実際、このスーパーでは販売個数が3割増しになったと言う。

参加者のひとり、「東武」(北海道)の太田雅之専務は「すぐモデリングするのが大前提。私たちもそういう形で実践させていただいています」と言う。太田さんのスーパーは、北海道・中標津にある。いちやま流をどんな風に実践しているのか。

「東武サウスヒルズ」の売り場には、地元で揚がったサケや有機栽培のジャガイモなどが並ぶ。そして「美味安心」も。このスーパーでは200アイテムを揃えている。

「私どもでも、体に悪いものは基本、販売しないということをひとつのコンセプトにしています」(太田専務)

この店ではタール系色素を含む食品をできる限り販売中止にしている。

さらに「いちやま流」はこんなところにも。事務所のデスクの横には大量のカラーペン。簡単レシピのポップを作っていた。

「お客様は細かい説明文は読まないんです。完結して短く分かりやすくお伝えする。お客様に寄り添った、『料理が苦手な人でも美味しく作れます』とか」(滝本寛子店長)

いい商品でも、その良さが伝わらなければ買ってもらえない。これもいちやまの影響だ。


スーパーの情報交換はいちやまマートのためでもある。三科は、参考になりそうな取り組みを行う店があれば自ら出かけて行く。

視察に訪れた中標津の「東武サウスヒルズ」で三科が注目したのは「七分づき米」のお弁当。「七分づき米」とは、玄米を七分ついて精米したお米。白米より栄養価が高く、しかも食べやすい。しかし水につける時間が長く必要になるなど、作るのに手間がかかる。それでもこの店は「客に健康が提供できる」と、「七分づき米弁当」の導入を決めたのだ。こうした地方の新たな試みは、三科にとって生きた情報源となる。

次に見つけたのは、子供が作った学校新聞。そこには子供が書いた美味安心の記事が載っていた。このスーパーは、地域の小学生を招き、食品の見学会を定期的に開催。安心な食とは何かを、地道に伝え続けている。

「本気になって地域のお客様の健康を考えた活動をされている。ものを売るのではなく考え方心を売るのが一番大事だと思います」(三科)

スタジオで地方スーパーの現状について問われた三科は、次のように答えている。

いいスーパーと悪いスーパーがはっきりしてきた時代です。どっちの方向に行こうか、自分で決められないところが多い。そういう中で『地域のお客様に健康で奉仕したい』『今はいいけど将来は不安がある』というスーパーには、我々はお手伝いできる」

地方のスーパーができることを考えいい取り組みは共有するそれこそが生き残る術だと三科は考えている。

~村上龍の編集後記~

本来「ローカル」には「田舎」というニュアンスは含まれない。

「その地域特有の」というポジティブな意味合いを持つ言葉であり、まさに「いちやまマート」にふさわしい。

三科さんは、誇りと自信を持ってローカルを自称する戦略家だ。

「美味安心ブランド」は全国に浸透しつつあり、無添加の価値を啓蒙するが、目線は庶民に合わせてある

不味いものはオーガニックでも売らない。ナショナルブランドも売っているし、ディスカウントストアの攻勢も受けて立つ。

柔軟でしかもぶれがない。わたしは「風林火山」という軍旗の文字を思い出した。

 

<出演者略歴>

三科雅嗣(みしな・まさし)1952年、山梨県生まれ。1975年、慶應義塾大学商学部卒業後、加商(商社)入社。1978年、いちやまマート入社。1991年、社長就任。2008年、PBの「美味安心」販売開始。

source:テレビ東京「カンブリア宮殿」

※本記事はMAG2 NEWSに掲載された記事です(2016年12月8日)

 

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