富山名物「入善ジャンボ西瓜」の過酷過ぎる収穫事情

僕が厄介になっている入善町の「株式会社Stay gold てらだファーム」(以下「てらだファーム」)でも、去年の試験栽培を経て今年から本格的に栽培をはじめました。
5月に苗を植えてからほぼ毎日世話を焼いてきたおかげで、ようやく7月24日に収穫初日を迎えることができました。

待ちに待った収穫初日の光景。 とにかく重い!
待ちに待った収穫初日の光景。 とにかく重い!

てらだファームは水稲を主にして野菜も年間で50品種以上栽培していますが、この入善ジャンボ西瓜ほど手間ヒマのかかるものはありません。というのも、ウリ科の蔓性植物であるスイカはほうっておけば1株に何玉も実がつきますが、入善ジャンボ西瓜の場合は1株に最大で2玉しか実をつけません。 いや、正確にいうとほかのスイカ同様ほうっておけば野放図に蔓が伸び、実もたくさんつけます。

それをあえて不要な蔓を切り、小さい実のうちに摘果して上質なものを2玉だけ残し、栄養と旨味をその2玉に凝縮させるのです。 そのための細かい作業を連日施さなければ栄養と旨味はほかの実に流れてしまい、それだけ無駄が生じます。 炎天下の作業で熱中症になる従業員が出るほど過酷なんですよ。

それほど手塩にかけて育ててきた入善ジャンボ西瓜がほぼ計画どおりに成長し、収穫初日を迎えたときは興奮しました。 なにしろ重いので両手に抱えて持ち上げたとき重量感がひしひしと伝わり、よくぞここまで大きく育ってくれたもんだと、実感もひとしおです。

収穫した西瓜は傷防止のため藁で編んだ「さんだわら」を上下に縛りつける
収穫したスイカは傷防止のため藁で編んだ「さんだわら」を上下に縛りつける
1時間に初心者は4個、熟練者は10個を縛れるとのこと。 僕は5個か
1時間に初心者は4個、熟練者は10個を縛れるとのこと。 僕は5個か

しかしそんな入善町の特産である入善ジャンボ西瓜にも試練の時が訪れています 生産者の高齢化と後継者不足による廃業。 

農業人口そのものが劇的に減っている昨今、入善ジャンボ西瓜も例外ではありませんが、ただ、巨大作物ゆえの固有な理由もあります。 上述したようにとにかく重いんです。 収穫作業は重量挙げに匹敵し、さらにそれを集荷車の場所まで抱えて運ばなければなりません。

毎年1000玉を収穫する生産者たちはほぼ腰痛に悩まされギックリ腰や脱腸を防ぐために数万円もする腰痛ベルトを装着して収穫するほど。 70歳や80歳の高齢者の手に負える作業ではないんですね。

そんな理由から年々廃業が続き、今年の生産者数はわずか14。 それもそのうち2戸は今年から本格的にスタートさせた新参者で、僕が世話になっているてらだファームはそのうちの2戸のうちの1戸です。


とりあえず初年の今年は155株を植え付けました。 1株につき収穫できるのは最大で2玉ですから、仮にすべて順調に2玉ずつ育ってもたかだか300玉です。 14の全生産者が加入する出荷組合全体の今年の出荷数は約9000玉とのことで、300玉など吹けば飛ぶような個数ですが、精魂込めて育ててきたスイカであることに変わりありません。

多くが地元農協のJAみな穂を経由して百貨店やスーパーの店頭に並ぶことになりますが、一部はそれより安く、1キロあたり310円で直売もしているので、もしよろしければ僕のまぐまぐ専用メールか、てらだファームのホームページからお問い合わせいただければ幸いです。

ただし大きすぎてそのままでは家庭用の冷蔵庫に収まりません。 2つ割りにするか、井戸水または業務用冷蔵庫で冷やしてお召し上がりくださいませ。なお日持ちは常温で1週間、冷蔵保存で10日ほどです。

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  • image by:あるきすと平田
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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1962年4月13日富山県魚津市生まれ。横浜市立大学卒。大学1年で横浜から富山まで東海道・北陸道経由で18日間歩き、3年のとき東京深川から山形県鶴岡市まで23日間かけて奥の細道を歩いたことで、徒歩旅行の魅力にハマる。卒業後は中国専門商社マン、週刊誌記者を経て、ユーラシア大陸を徒歩で旅しようと、1991年ポルトガルのロカ岬を出発。おもに海沿いの国道を歩きつづけ、路銀が尽きると帰国してひと稼ぎし、また現地へ戻る生活を約20年間つづけている。

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