これ知ってる?情緒あふれる、美しい「雨の呼び名」10選
第3位 翠雨(すいう)
第3位の「翠雨」は、木々の青葉に降る雨をさし、「翠」はこの場合緑色を意味しているため、「緑雨」ともいいます。
「翠」はもともと鳥のカワセミ(緑色の羽が鮮やか)の雌を、また「翡」は雄のことをさし、それらがセットになった「翡翠」という言葉は、カワセミをさすだけではなく、グリーンが美しい宝石の一種の名称としても有名です。
「翠雨」には「美しい黒髪に降る雨」をさす場合もあるようで、この場合、黒々としたつやのある美しい髪を「緑の黒髪」と表現することが関係しているようです。
第2位 紅雨(こうう)
第2位の「紅雨」は、本来ならば春の花に降りそそぐ雨をさします。このほかにも、赤い花の散るようすを雨にたとえていう場合にも使われたりします。
第3位の「翠雨」とは、緑と赤、葉と花という対比になっていますね。緑と赤は大雑把にいうと補色の関係でもあり、赤いものを見つめたあと白い紙を見ると緑色の残像が感じられたり、その逆の現象もあります。
第1位 虎が雨(とらがあめ)
そしてこのランキングで第1位になったのは、「虎が雨」でした。この「虎」というのは、鎌倉時代初期の女性の名前です。
当時の女性をさす場合にありがちなように、「御前」をつけて(静御前や巴御前なんかが有名ですね)、「虎御前」と呼ばれる例が多いようです。
この女性は1193(建久4)年5月28日、かねてより父親の仇討ちを狙っていて宿願をはたし有名になった、曾我兄弟の兄・曾我祐成の恋人で、もともとは遊女でした。
この仇討ちの際、曾我祐成は仇である工藤祐経(くどうすけつね)を討ちはたしながらも、別の人物に切られて落命。当日は雨が降っていたともいわれ、恋人を失った虎御前の悲しみをしのぶ雨として「虎が雨」という言葉が残りました。
現在では曾我兄弟が宿願をはたした旧暦5月28日(新暦6月後半)に降る雨のことをさすため、ちょうど梅雨の時期の雨ですね。
カッコ良い呼び名の雨の由来を見て見ると、いろいろな背景があることがわかります。第1位になった「虎が雨」など、意外なストーリーがあったりと、読み解くだけでも楽しくなりますね。
気分が下がりがちな雨降りの日でも、そのときに適した雨の名前の由来を知っておけば、少しは気が晴れるかもしれません。