まるでハロウィンみたい。仮装して楽しむ京都の風物詩「節分おばけ」
そもそも、「節分」ってなに?
新しい年(立春)を迎える前日(立春の前日)・節分に、鬼へ豆をぶつけます。そして邪気(鬼)を払い、福を呼びこもうとしたのです。最近は昔よりも恵方巻きを節分に食べる人も増えましたが、かつて節分で食べるものは鰯(いわし)でした。
なぜいわしを食べるのか?
臭いのキツいものや先の尖ったものは、昔から厄払いに用いられていました。そのため、鬼の嫌いなものは「臭い鰯(いわし)の頭」と「トゲが鋭い柊(ひいらぎ)」といわれてきたのです。
京都ではいまでも鰯の頭を焼いて柊の枝に刺し、家の戸口に置いて鬼の侵入を防ぐという風習があります。最近ではだいぶこの光景も減ったようですが、いわしの塩焼きが節分の食卓に上がる家庭もあるそうです。
節分の行事「追儺式(おにやらいしき)」
そして、京都の寺社仏閣で行われるのが「追儺(おにやらい)式・会」です。邪気を追い払うために、節分には古くから豆まきの行事が行われてきました。
平安初期、宇多天皇の時代に鞍馬山から鬼が出てきて都を荒らしたと伝えられています。すぐさま鬼が出てきた穴を封じ、大豆で鬼の目を打ちつぶし、災厄を逃れたそうです。このときの故事伝説が鬼の始まりだとされているようです。
そして豆は、語呂合わせで「魔目(豆・まめ)」とし、鬼の目に投げつけて鬼を滅する。また「魔滅」に通じ、鬼に豆をぶつけることにより、「魔」を「滅する」と、いずれにせよ邪気を払い、一年の無病息災を願うという意味があります。
豆をまき、まかれた豆を自分の年齢(数え年)の数だけ食べる。また、自分の年の数よりひとつ多い数を食べると、体が丈夫になり、風邪をひかないともいいますね。
さて、先ほど少し触れましたが、鬼の肌の色は全部で5色あります。赤鬼、青鬼、黄鬼、緑鬼、黒鬼です。鬼の色はそれぞれ違った意味を持ちます。
- 赤鬼:貪欲ですべての悪心の象徴で、豆をぶつけることで自分のなかの悪い心が取り除かれます
- 青鬼:怒りや短気な心を表し、自分自身に豆をぶつけることで、徳を呼びこみます
- 黄鬼:ワガママで、自己中心的な甘えの象徴で己を反省し、豆をぶつけます
- 緑鬼:不健康を表し不摂生を反省し、健康を願って豆をぶつけます
- 黒鬼:愚痴で自らの卑しい気持ちを追い払い、豆をぶつけて平穏を願います
節分の鬼はこのように、われわれ人間の内なる邪悪な性質や考えなどを「鬼は外」と追い出すものなのです。今年はそのようなことをしっかりと理解した上で節分を迎え、「豆まき」をしてみてください。
- image by:photolibrary(京都・廬山寺)
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。