秘境が秘境であるうちに。世界遺産の街、ラオス「ルアンパバーン」
ルアンパバーンの「早朝の托鉢」
「早朝の托鉢(たくはつ)」はルアンパバーンの代名詞といえるでしょう。
太陽が顔をのぞかせ始めるころ、黄衣をまとった托鉢僧の列がどこからともなく現れると、心に静けさが宿ります。
最近では観光客がたくさん押しかけ、托鉢に参加したり、写真を撮影するので、早朝の托鉢は観光化されつつある、と聞いていました。
そこで滞在中は毎日どこかの托鉢風景を見に行ってみましたが、目抜き通り以外は地元の人だけがゴザを敷き、お布施するもち米を用意し、僧侶たちに喜捨していました。
ところで、ラオスの人々が僧侶に渡すお布施は「先祖へ届けてもらうもの」だとか。なお、托鉢だけでなく、さらに仏教の信仰にふれたいなら、夕方からお寺で行われる僧侶たちの読経を聞くのも心が安らぎますよ。
托鉢を見学した後は、早朝から開いているカフェでコーヒーを飲むのもよいですが、せっかくなのでラオス人の台所である「朝市」へ。
国立博物館西側の路地にズラリと並ぶのは果物、野菜、締めたばかりの鳥、豚、水牛などの肉や獲れたての魚、ハチの子など。
早起きをして眠い目をこすりながら托鉢を見学した後だから、朝市に来るとそれなりにお腹も減っているはず。空腹のお腹に何か入れたい人は、ここでお粥や麺を食すのもおすすめです。
ちなみに私は朝市でお惣菜を2〜3品ほど調達して、メコン川の流れを眺めながら朝食の時間を過ごしました。
エメラルドグリーンが美しい「クアンシーの滝」
町中の散策以外ではルアンパバーン市内中心部から約30km離れた場所にある「クアンシーの滝」へ行くのもよいですよ。
この滝はメコン川支流のひとつで、豊かな清流が流れ落ちています。エメラルドグリーンの滝の近くでは微細な飛沫にまみれるように無数の蝶が飛び交う場所があり、この世の楽園と思えるほど。
いまだかつて、あれほど多くの蝶が集まっていた場所は見たことがありませんでした。ちなみにこの滝では泳ぐこともできるので、クールダウンしたい人は水着の持参をおすすめします。
ローカルフードもフレンチも楽しめる
地元の食事ではピリ辛のルアンパバーンソーセージやカオソーイ(肉味噌と香草をのせた麺)など、ローカルフードも楽しみましたが、フランス植民地時代の名残りで、フレンチもなかなかのお味。本格的なメニューがリーズナブルに味わえます。
東京では、そう頻繁に本格的なフランス料理店には足を運びにくいですが、ここでは気軽に1日の締めくくりをフレンチで、という気分に。
箱庭のような町、ルアンパバーンではお気に入りのカフェを探すほか、朝市や古刹めぐり、雄大なメコン川を目の前にして黄昏る時間が待っています。
アジア最後の秘境といわれて久しいルアンパバーンですが、観光客をはじめとする人の気配は多くあるものの、不思議なぐらい静けさがたなびく、のんびりとした気に満ちた町でした。
これは小さな古都の魔力なのでしょうか。ずっとアジアの「秘境」でいてほしいです。
- image by:御田けいこ
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