お家で旅気分。世界各国のジャーナリストが選ぶ「春の絶景」10選
メキシコ・シティ/メキシコ
再び、海外に飛びましょう。村上春樹のファンで、母国語で小説も書いているメキシコ人の女性ライターに話を聞くと、メキシコ・シティの春は、ジャカランダが自慢だと教えてくれました。ジャカランダとは聞きなれない植物の名前ですが、『広辞苑』(岩波書店)を調べると、
<熱帯アメリカ原産。ブラジル産の一種は、高さ10余メートルの落葉高木(中略)青紫色で長鐘型の美花を多数つける。熱帯地方で街路樹や庭樹として広く栽培>(広辞苑より引用)
とあります。まさにメキシコ・シティのジャカランダもブラジル産で、メキシコ・シティには街路樹として使われている様子。
見事なジャカランダ並木もあって、市民の目を大いに楽しませているみたいですね。この植樹に、日本の庭師が関係しているとの話もあるそうです。
ボン/ドイツ
ドイツの首都といわれたら、どこを思い浮かべますか?もちろんベルリンですね。ではドイツが東西に分かれていた時代、西ドイツの首都はどこだったか記憶していますか?ドイツの西部、オランダやベルギーとの国境も近いボンです。
ドイツ国内でいえば、日本人サッカー選手も活躍したドルトムントやデュッセルドルフが近くにあります。
『広辞苑』にもベートーヴェンの生家がある、ライン川沿岸などのキーワードが書かれていますが、ドイツに在住経験もある日本人のライターによれば、ボンの桜並木も一見の価値があるとの話でした。
旧市街地のへーア通りには、街路樹として八重桜が植えられており、春になると桜のトンネルが出来上がるとの話です。
ソメイヨシノではなく八重桜のため、濃艶な桜色です。石の文化であるヨーロッパの重厚なまちなみには、はっきりした色合いの桜の方がマッチするのかもしれませんね。
カステルッチョ/イタリア
たいていの都市名は、パソコンで打つとカタカナ表記の変換候補が出てきます。しかし、イタリアのカステルッチョは出てきませんでした。それだけマイナーな存在なのかもしれません。そのイタリアの山間にある高原の集落を挙げてくれる、イタリア人の服飾関係のライターがいました。
カステルッチョの雰囲気は、訪れた経験がないので予測にすぎませんが、写真を見る限り熊本の阿蘇山の中央火口丘(草千里が浜)+北海道の美瑛といった感じ。起伏のある草原の平坦地に畑が広がり、その畑が春になるとさまざまな色で彩られるのですね。
先ほどの知人によれば、イタリアでも人気の観光地のため、春は何もない平原に交通渋滞が起きるとの話です。レンズマメの花やケシの花などが、いわゆるパッチワークのような光景をつくるみたいですね。
スカジットバレー/アメリカ
最後は再びチューリップで有名なスカジットバレーを紹介します。チューリップといえば、オランダを連想します。しかし実は、アメリカのスカジットバレーも有名。球根の生産でいえば、世界で第2位という情報もあります。
位置的にはアメリカのシアトルの北。シアトルから車で約1時間ほどドライブすれば到着します。カナダのバンクーバーから見ると、南です。
スカジットバレーはワシントン州のなかでも農業で知られた存在で、1984年から「スカジットバレー・チューリップ・フェスティバル」も行われています。公式ホームページによれば、最初は2日間だけの小さなイベントだったそう。しかし、今では1カ月に及ぶ、巨大イベントに成長したと書かれていました。
このイベントでは、期間中にコンサート、ランニングイベント、バスケットボールのトーナメントなども開催されます。
新型コロナウイルス感染症の大流行が収束(終息)した段階で、農業大国の雄大さを満喫しに、シアトルやバンクーバーのサイドトリップ先として、一度訪れてみるといいかもしれませんね。ちなみに冬は渡り鳥の飛来でも知られていますよ。
以上、世界の春の絶景を紹介しました。筆者が訪れた経験のある場所に加えて、世界中に点在する友人のトラベルジャーナリストたちに教えてもらった、「春の絶景」をまとめました。2020年は写真でその雄大さを満喫して、気分だけでも世界中を旅した気持ちになりたいですね。
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