避難所としても期待!京都・妙心寺が最新総合防災システムを導入!潜入レポ

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2020/09/27

災害時の避難所としての妙心寺!住民からの期待も

―――境内全域、電線地中化で以前よりも増して素敵な景観になりましたね。電線を地中化すると落雷、台風、浸水、地震、火事、竜巻などの影響を受けづらくなるというメリットもあるそうですね。

はい、そうなんです。妙心寺は地域住民の方々の避難場所としての役割も持っています。立命館大学の学生さんによる有事のアンケートによって思いのほか住民の方々が頼りにしてくださっていることを知り、驚きました。

image by:妙心寺 配管工事のようす

―――近隣住民の方々は避難所としての可能性を期待されているんですね。避難所といえば一般的に小学校とか公民館のイメージが強いので、大寺院が多い京都ならでは感がありますね。

本坊は京都市の避難所に指定されています。避難所想定見取り図を作成したところ、最低でも556畳のスペースを提供できることがわかったんです。

また、井戸があるので断水したときでもトイレやお風呂に入っていただけますし、井戸水を沸かせば飲めるかもしれない。禅寺なので竈がありますから炊き出しもできます。

―――えええ⁉すごい。

そういったことまではまだあまり住民の方々もご存じないと思うので、今後は積極的に周知していきたいですね。ただ、常備食の確保などが不十分なので、京都府や京都市などにも協力をしていただけるとありがたいです。

誤報であっても警報が鳴ったら隊員を防災センターと現場に振り分け、火災表示現場まで無線機、消火器を携え急行。目視で火の手、煙、においを確認し、事務所まで報告。塔頭寺院でも同様に対応

誰もが文化財を守ることができる環境が大切

―――令和元年度は4月にはフランス・ノートルダム大聖堂、10月には沖縄・首里城の火災が発生するなど文化財についての防火や防災対策への関心が一層高まっていますね。

妙心寺では、火災だと気づいたかたがどなたでも消火活動や延焼防止していただけるように、起動ボタンを押したらすぐポンプが起動する防水ポンプや延焼防止の放水銃を設置しています。とはいえ水をかけることによる文化財の損害もありますから、本当に有事の非常手段ではあります。


高さ約20mの法堂、堂内天井に「雲龍図」が描かれる

―――早期発見、初期消火、延焼防止、この3つがポイントだとおっしゃっていましたもんね。もう、覚えました~!

その通り、初動が大事ですね。首里城のすぐ近くにある臨済宗寺院のご住職から聞いたのですが、パチパチと20~30cmもある大きな火の粉が飛んでいたそうなんです。

たまたま風向きが逆だったことで難を逃れたそうですが、ここまで燃え盛ると瓦葺屋根だったとしてもひとたまりもない。そこまで延焼が進まないようどれだけ初期段階で鎮火できるかにかかっています。

境内全域に約87の消火器を設置、わかりやすい場所に置くのが鉄則

―――妙心寺は京都市消防局の消防団協力事業所として認定されているそうですね。

はい。現在、私を含めて3名が地元の消防団で活動しています。文化財を預かる身として、防災の理解を深めて積極的に行動する立場だと考えており、今後も消防団を通じて地域の方々と交流を深めていけたらと。

コロナの影響で防災訓練が延期になってしまい、今年はまだ1度もできていません。いざというとき人間も機械もすぐに動けるように、年に2回定期的に訓練を行えるよう今後しっかりと計画していきたいと考えています。

多様な文化財を未来へ!京都府独自「京都府暫定登録文化財」を創設

京都府 教育庁 指導部 文化財保護課HPより

―――最後に京都府文化財保護課の職員さんにおうかがいしたいのですが、文化財の保護について京都府の取り組みについて教えてください。

府職員 近年の大規模災害でも多くの文化財の被害が報告されています。それら文化財の中には国や地方自治体から指定されてなくとも価値の高いものが多数あり、これらが失われてしまわないよう平成29年度に「京都府暫定登録文化財制度」を創設しました。当制度で地域の文化財を早期に保護する仕組みを整え、破損や流出などの防止を図っています。

初期鎮火するための消火栓。開けるとホースが入っている。だれでも使えるように操作方法の解説も

―――京都府文化財保護課のHPでは京都府暫定登録文化財の一覧表を見ることができますね。自分の住んでいる地域での登録状況がわかりました。

府職員 府内各地で多様な文化財が守り伝えられてきましたが、その一方で個々の文化財はそれぞれに異なった状況や課題を抱えています。分野ごとに地域の特色を踏まえた対策を府と市町村で協力し合って対策していくことはこれからも大切だと考えています。

―――今回、歴史ある妙心寺が避難所としての顔もあることがわかりました。また、京都府内はいたるところに文化財があるので、府民一人一人が防災意識を高めることが文化財を守ることにも繋がっていると感じました。本日はありがとうございました!!

■■INFORMATION■■

妙心寺

住所:京都府京都市右京区花園妙心寺町1

電話:075-466-5381(参拝課)

時間:9:00~17:00

アクセス:JR「花園駅」から徒歩5分

京都府文化財保護課

  • source:KYOTO SIDE
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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