関東大震災から100年、災害時の非常持ち出し品8割が「足りていない」現実

9月1日は「防災の日」。そして今年は、東京・神奈川を中心とする南関東で大きな被害を出した「関東大震災」から100年を迎える年です。

多くのかたが亡くなった大震災ですが、時代を経て、その日にどんなことが起こったのか知らない層も増えてきているようです。

日本で暮らすわたしたちにとって、「地震」は避けられない問題。

しかし、対策次第で「震災」は防ぐことができます。そこで今回は、オレンジページが実施したアンケートをもとに、すぐにできる「災害対策」を考えていきましょう。

関東大震災の被害を忘れてはならない

1923年(大正12年)9月1日に発生した「関東大震災」。この地震での死者は10万人を超え、近代日本の首都圏に未曾有の被害をもたらしました。

1960年(昭和35年)6月の閣議では、関東大震災が発生した9月1日を「防災の日」とすることを了解。1982年(昭和57年)からは、防災の日を含む一週間を「防災週間」と定め、防災に関するさまざまな行事や訓練に取り組むようになりました。

「防災の日」を知っている人、制定された理由を知る人は約3割

BIGLOBEが2023年8月8日(火)~9日(水)に実施した「防災に関する意識調査」によると、防災の日が何月何日であるか知っている人は3割強、制定された理由を知っている人は3割ほどということがわかりました。

防災の日が何月何日であるか知っているか image by:@Press

詳しく見ていくと、「知っている」と回答した人の割合は34.1%。年代別に見ると、若い年代ほど「知っている」と回答した人の割合が少なく、20代はたったの24.8%ということがわかります。

さらに「防災の日が9月1日に制定された理由を知っているか」と質問したところ、31.2%の人が「知っている」と回答。この質問も若い年代ほど「知っている」と回答した人の割合が少ないという結果になりました。


防災の日が9月1日に制定された理由を知っているか image by:@Press

過去の災害状況を知ると、いずれ起こるかもしれない地震への不安や、今できる「防災対策」が気になってくるもの。

「今年は関東大震災が発生してから100年となるが、改めて防災に対する意識を高めたいと思うか」との質問に、「思う」「やや思う」と回答した人の割合は77.7%と、約8割の人が防災意識を高めたいと答えました。

関東大震災100年を機に防災意識を高めたいか image by:@Press

自然災害に対する備えができている人はわずか1.3%

また、2023年6月9日(金)~16日(金)にオレンジページが実施した読者アンケートによると、98.2%の人が「自然災害が増えている」と感じているとの結果が。

特に危険を感じる災害は、地震が94.4%でもっとも多く、ついで豪雨が73.6%に。近年たびたび耳にする、線状降水帯による豪雨被害の印象が強まっていることからも、98.7%の人が災害対策を「重要」と回答しています。

自然災害に対する備えについての気持ち image by:@Press

自然災害に対する備えについて「充分にできている」と答えたのは、わずか1.3%であることがわかりました。「やれる範囲でできている」と合わせても、41.2%と半数以下どまりという結果になりました。

ふだんから自然対策に対する備えができているかimage by:@Press

対策ができていない理由については、「つい先延ばしにしてしまう」が64.3%とトップ。「本当に必要かわからない」「自分のまわりは災害の危険性は低いと思う」も約3割いて、まだまだ災害対策を人ごとに感じている人も少なくないようです。

防災対策をしたい気持ちはあっても、いざ行動に移せる人はかなり少数であることがわかりますね。

具体的な対策としては「食料や水の備蓄」が84.5%と高く、「非常持ち出し品の備え」は71.2%、「ハザードマップの確認」が60.8%となりました。

自然災害への備えとして大切だと思うこと image by:@Press

自宅の非常持ち出し品、「足りていない」と感じている人は77.9%

防災対策が必要なこととはわかっていても、実際に非常持ち出し品を備えている人は54.4%と、ここでも意識と実態にかなりのギャップが見られます。

もし災害が起こったら、自分の家の「非常持ち出し品」は足りると思うか image by:@Press

持ち出し品の内容は、懐中電灯、軍手や厚手の手袋、救急用品といった「定番」の防災グッズに加え、「生理用品」「メガネやコンタクトレンズの予備」など、自分にとって欠かせないものを挙げる人もいます。

なかには、毎年のように起きる大規模災害を前に、どれだけ備えても足りない気がするという人も多いようですまた、「自分の判断で備えているけど、本当に必要なものや量を教えてほしい」「赤ちゃんの防災グッズがどんなものがあって、どのくらい必要なのかわからない」など、適正な量や内容がわからないことへの不安の声も目立ちました。

「ローリングストック」が防災対策の常識に

そこで提案するのが「ローリングストック」です。

「ローリングストック」とは、ふだんから多めに食材を常備し、使った分を補充していくことで、日常生活で消費しながら備蓄する方法として、近年注目を集めている防災対策のひとつです。

「ローリングストック」という言葉を知っているか image by:@Press

今回の調査委でも言葉の認知度は76.0%と高く、昨年の調査より10ポイント、一昨年の調査より30ポイントアップしたのだそう。

自分は「ローリングストック」を実践してると思うか image by:@Press

実践している人も54.6%と半数以上にのぼり、この2~3年でかなり定着してきていることがわかりました。

災害時の飲料水のストックは、1人につき1日どれくらい必要だと思うか image by:@Press

ただし、実際にストックしている水の量をきいたところ、適正量は1人「3リットル」なのに対し、「2リットル」と回答した人が56.4%でもっとも多く、正解は24.6%と3割に満たない結果に。食品を備蓄している人のうち水を常備している人は75.3%もいるのに、必要量をきちんと把握できている人は1/4以下と、意外に少ない実態が明らかになりました。

今年も全国各地で災害が起きており、自分や家族の身に、いつ災害が起きてもおかしくありません。今回の調査では、対策が重要と感じつつも充分に実践できていない実態や、「何をどこまですればいいかわからない」という不安が見えました。

農林水産省のホームページでは、ローリングストック法等による日頃の活用方法や備蓄に適した食品の選び方、災害時に役立つ簡単レシピなどの実践的な内容を取りまとめた「災害時に備えた食品ストックガイド」を公開しています。

正しい知識を持って、最適な分量のストックを準備しておくことが、今できる対策のひとつであると言えます。「防災の日」には日頃できる対策についての情報を得て、有事に備えていきましょう。

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