アメリカ集団強盗の損失総額は約17兆円…でも現地住民からは意外な声

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2023/11/15

平和な郊外でも起きている(らしい)「組織的小売店犯罪」

アーバイン市内のターゲット店舗外観 image by:角谷剛

こうした犯罪は大都市だけで多発しているわけではありません。

私が住むカリフォルニア州アーバイン市は人口約30万人の地方都市です。正確にはロサンゼルス郡ではなくオレンジ郡に属していますが、広義のロサンゼルス経済圏内(Greater Los Angeles)の一部として考えられています。つまり、私は全米でも最悪の犯罪多発地域に住んでいる、ということになるようです。

まるで他人事のように書いたのは、私を含めて住んでいる本人たちにそうした危機感が希薄なためです。

アーバイン市の公式ウェブサイトによると、連邦捜査局(FBI)の年次報告書で、アーバイン市は人口25万以上の都市としては全米で最も安全であるとの格付けを18年連続で得ているのだそうです。それくらい、自分たちは治安の良い場所に住んでいるという意識が抜けません。

もちろん、いくらアーバインの犯罪率が低いと言っても、あくまでアメリカ内で他の都市と比較した結果に過ぎず、犯罪と無縁というわけではありません。

殺人も放火も強盗も起きます。アーバイン市警の公式Instagram(そんなものまであるのです)をフォローすると、ここでも毎日のように事件が発生していることがよくわかります。

そのなかで組織的小売店犯罪に関する記事を探してみると、後から後から出てきました。そのなかには私が普段よく利用する店舗までもが含まれています。いくつか紹介しましょう。

 
 
 
 
 
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男女数人のグループがナイキショップで大量のアパレルを持ち出して逃走。同グループは他の近隣の市でも同様の犯罪に関与していた。被害総額は11,000ドル(約165万円)以上。犯人グループは逮捕された。(アーバイン市警公式Instagramから引用)

source:irvinepolice Instagram

 
 
 
 
 
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百貨店『ターゲット』から1,000ドル(約15万円)以上の商品をショッピングカートに積んで持ち去った男女2人を指名手配中。(アーバイン市警公式Instagramから引用)

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スポーツ衣料店『ルルレモン』で7,500ドル(約113万円)相当の商品を盗んだ女性を逮捕。犯人は前週も同じ店で22,500ドル(約338万円)相当の商品を盗んだ疑いがある。(アーバイン市警公式Instagramから引用)

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覆面をした3人組が宝石店に押し入り、バールのようなもので商品ケースを破壊し、900,000ドル(約1億3,500万円)相当の商品を強奪して逃走。(アーバイン市警公式Instagramから引用)

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スーパーマーケット『ラルフズ』でアルコール飲料のケース複数を持ち出して逃走した男女3人組を指名手配中。犯人のひとりは制止しようとした店員を押しのけたため、強盗罪が適用される。(アーバイン市警公式Instagramから引用)

source:irvinepolice Instagram

犯人像も手口も被害額もさまざまですが、いずれもアーバイン市内かその近辺でここ数カ月のうちに起きた事件です。無論のこと、これらがすべてでもありません。

こうして並べると何やら恐ろしくなってきますが、前述しましたように、治安が極端に悪化しているという実感は私たち住民にはあまりありません。

被害にあった店も翌日は何事もなかったように営業していますし、警官やガードマンが増員されている様子もありません。

image by:Matt Gush/Shutterstock.com

どうして?と問われても困ってしまいますが、とにかくそうなのです。商品が盗まれているだけで、人的被害は少ないからかもしれません。アメリカでは銃乱射などのもっともっと深刻な暴力犯罪が後を絶たないのはご存じの通りです。

「アメリカでは集団万引きや集団略奪が急増している」というニュースは、ある事実を伝えているかもしれません。

しかし、だから”アメリカを旅行する際の危険度が増している”、という風には必ずしも繋がらないのではないかと個人的には考えます。

  • image by:Shutterstock.com
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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角谷剛(かくたに・ごう) アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大谷翔平を語らないで語る2018年のメジャーリーグ Kindle版』、『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。

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