京都の“逢いに行ける社寺猫たち”
「にゃん・にゃん・にゃん」の語呂合わせから「猫の日」とされている2月22日。この日を意識しちゃう猫好きさんも多いのではないでしょうか?今回は、そんな猫好きさんたちにオススメしたい、京都府内の“逢いに行ける社寺猫たち”をご紹介します。
笑顔のご利益までいただけちゃう
【宮津市】智恩寺
日本三景の一つ、天橋立から徒歩約3分の場所にある智恩寺は、日本三文殊のひとつとして有名なお寺です。その起源は神代の時代にまで遡ると伝わり、『九世戸の文殊』『切戸の文殊』などとも呼ばれ、親しまれてきました。境内には「智恵の輪灯籠」があり、この輪の中に頭を入れて3回出し入れすると智恵を授かることができるといわれています。
“黄金閣”と称される丹後地方最大の三門をくぐり、本堂の文殊堂に向かう途中、狛犬の足元に猫の姿がありました。
思わず「警備中ですか?」と尋ねてみたくなるような、凛々しいお顔で境内を見渡しています。警備中も身だしなみチェックもお忘れではありません。
ミルクと名付けられたこちらの猫は、人懐こく、とても穏やかな性格の持ち主。いつもご本尊の文殊菩薩様が祀られている文殊堂あたりにいて、参拝される方をお迎えしてくれているようです。
真剣なお顔で仏様にお参りされていた方々も、猫を見つけると思わず笑顔がこぼれるのだとか。
ここに猫たちが暮らすようになったのは、先代住職の奥さまが大変猫好きな方で、捨て猫を保護して大切に飼い始めたのがきっかけ。今では、家猫4匹と外猫4匹の計8匹がそれぞれお気に入りの場所を見つけては、のんびりと過ごしています。
壁の上や木の上など、思いがけない場所で出くわすこともあるそうです。
天気の良い日は、日当たりの良いお堂に集まることが多く、時には高欄も猫たちのお昼寝スペースに。ぽかぽか陽気の気持ちよさに、溶けちゃいそうな表情がとっても可愛いですね。
こんなに可愛い猫たちですが、ついつい、お寺の柱で爪研ぎを始めちゃうことも……。そんな時は、お寺の人たちが慌てて止めに入るそうです。
宮津といえば、冬になるとあたり一面が白銀の世界に染まるほど雪の多い地域。
白猫のシロは外の雪の様子が気になるようです。こんな日に外に出てしまうと、シロの姿が雪に紛れてしまいそう。
雪が積もっていても文殊堂に訪れるミルク。実は文殊菩薩様のことが好きで逢いに行っているのかもしれませんね。
寒い季節でもほっこりと心を温めてくれる猫たちに、笑顔のご利益までいただけちゃいそうです。
■■INFORMTION■■
智恩寺
住所:京都府宮津市字文珠466
電話:0772-22-2553
時間:拝観自由
拝観料:無料
HP:https://www.monjudo-chionji.jp/
猫好きさんは心を“ギュッ”と掴まれちゃうかも!
【京都市】梅宮大社
猫神社として有名な梅宮大社は、子授け安産と酒造りの神様をお祀りする由緒ある神社。境内には梅や桜をはじめ、花菖蒲やアジサイなどが咲き、四季折々の風景が楽しめる「神苑」や、子授けの石として信仰されてきた「またげ石」などがあり、古くから親しまれてきました。
境内に入ると、早速、社務所前で猫たちを発見!
そっと近寄ると、黒猫さんが場所を譲ってくれました。
譲ってもらった場所に座らせてもらうと、隣の椅子にいた灰虎の猫さんと黒猫さんが一緒に膝に乗ってくれました。
すると白猫さんも来て、一気に膝の上が人気のスポットに。なんとも極上のおもてなし!まさに至福のひと時です!!
梅宮大社で猫が飼われるようになったのは、猫好きだった宮司さんが体調不良の際、心を和らげる為に一匹の雄猫を飼い始めたのがきっかけだそうです。その後、保護した雌猫が体質上避妊手術に耐えられないことが判明し、子孫が増えていきました。大半は里子に出されたそうですが、現在はその猫の子孫5匹と保護した迷い猫5匹の計10匹が神社で暮らしています。
白猫のソラは最初の保護猫の最後の忘れ形見。綺麗な空色の目をしており、狩りが得意なんだそうです。
三角ばった目が特徴の灰虎のツキは6~7年前にやってきた迷い猫。来たばかりの頃にNHKの番組に出演したことで一躍有名猫に!とっても人懐こい性格で、ツキに逢いに訪れる参拝者もいるそうですよ。
もっちりボディが可愛い黒猫のマコは、まーるいお尻にボブテイルが特徴。訪れた日が寒かったせいか、椅子に座る度に膝に乗ってくれるような人懐こさがありました。
ちらっと顔を出してくれたキジトラのトラヤは、昨年来たばかりの新顔さん。この子もとっても人懐こく、宮司さんのお気に入りなのだとか。
猫たちは基本放し飼いなので、思い思いに境内で過ごしています。社務所の縁側には猫用ベッドが並べられており、そこや休憩用の長椅子で寝ていることが多いそうですよ。
時々、屋内に入りたがる猫もいて、受付の窓口が来客対応のために開いた隙を狙って室内に飛び込んでくるので、繁忙期などは大変なのだとか。猫たちが窓口でのんびり過ごしていても、猫が苦手な参拝者さんの要望で横にどかされちゃうこともあるそうです。
それでも、やっぱりたくさんの猫好きさんが訪れる梅宮大社。
この日も休憩所に腰掛けた参拝者さんのもとにトコトコと駆け寄り、すとんと膝におさまった猫たち。そのあまりの速さに驚いたので声を掛けさせてもらったところ、こちらの猫たちのファンで度々通われている方たちでした。
猫たちのこともよくご存じで、「この子(手前の猫)はドゥちゃんといって、膝から下ろすとちょっと拗ねちゃうんです」などの猫情報を教えていただきました。そして「この可愛さが離れがたく、帰るタイミングが難しい」と優しい笑顔で話してくれたのがとても印象的でした。
たくさんの猫好きさんの心をギュッと掴んでしまう梅宮大社の猫たち。この可愛さは癖になってしまいそうです。
■■INFORMTION■■
梅宮大社
住所:京都府京都市右京区梅津フケノ川町30
電話:075-861-2730
時間:夏期6:30〜18:00/冬季6:00〜17:30
神苑9:00〜17:00
拝観料:無料(神苑は大人:600円・小人:400円)
HP:http://www.umenomiya.or.jp/
たくさんの猫たちに癒される♡
【木津川市】浄瑠璃寺
京都府の最南端にある浄瑠璃寺は、本堂に九体の阿弥陀如来坐像を安置することから、九体寺(くたいじ)とも呼ばれています。平安時代、京都を中心に九体の阿弥陀如来を安置する阿弥陀堂が競うように建立されましたが、唯一現存しているのは浄瑠璃寺だけです。
山門前で1匹の猫が姿を現すと、くるりと背を向けて中に案内してくれました。
行き先は本堂の受付。
するとここにも猫たちの姿が! 屋根の上にも集まっています。
お寺の周辺にはたくさんの地域猫がいて、それぞれのグループでお世話をされている方たちがいるそうです。
浄瑠璃寺でも現在15匹ほどをお世話されていて、猫たちは本堂受付や庫裡周辺を中心に、境内や山の中で遊んだりしながら自由に過ごしています。
子猫の姿を見つけたのでしゃがんで手を出してみると、少し警戒しながらもトコトコと近寄って来てくれました。
ちょっと困ったような表情が可愛いですね。
受付のカウンターも猫たちの憩いの場所。
時々、お寺の方が参拝者に説明などをしている最中に目の前を横切ったりして、視線や関心を持っていっちゃうこともあるのだとか。
そして受付の中にもちょこんと行儀良く座っている猫がいました。
この子はマルといって性格は控えめ。もとは違う町の地域猫としてお世話されていましたが、今は浄瑠璃寺の受付を担当しています。普段からここで過ごしていることが多いそうで、とても穏やかな表情で迎えてくれました。
こちらは自由な性格のテン(左)と甘えん坊のゴマ(右)。ゴマはテンの子どもで、テンのことが大好きなのだとか。
あまりにも好き過ぎて、テンの後を追いかけては傍に寄り添っていることが多いそうです。なんだか微笑ましいですね。
本堂の阿弥陀堂入り口にはこんな注意書きも。
本堂に祀られている国宝・九体阿弥陀如来坐像は、昨年の春に5年の歳月をかけて行われていた保存修理が終わり、その後、特別展などを経て、約6年ぶりに全てが本堂にお戻りになりました。
静謐なお堂に九体そろった圧巻の情景を、ぜひご覧くださいね。
境内で猫の姿を探しながら散策していると、どこからか鳴き声が聞こえてきました。辺りを見回すと、山から降りてくる猫を発見。遊んでいたのかな? と思ったら、体に見覚えのある斑点模様がありました。
この子はきっとゴマ……。もしかしたらテンを探しているのかもしれませんね。
落ち着いた佇まいの境内と自由に過ごす猫たちの姿にすっかり癒され、また浄瑠璃寺の猫たちに逢いにきてしまいそうです。
■浄瑠璃寺ついて詳しい記事はこちら(修復前に取材した記事です)↓
■■INFORMTION■■
浄瑠璃寺
住所:京都府木津川市加茂町西小札場40
電話:0774-76-2390
時間:9:00~17:00(12月~2月は10:00~16:00)
拝観料:400円(2024年4月1日より500円)
社寺に住む猫たちはいかがでしたか?
ご紹介した猫たちは社寺で大切にお世話されている猫たちです。無断で餌やりなどをせず、猫のペースに合わせて優しく接しながら楽しい時間を過ごしてくださいね。
- source:KYOTO SIDE
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