「子どもと学ぶ」をきっかけに人が動けば、まちの知は地域の外へ広がる
――参加者の世代も幅広く、教育のターゲットを子どもたちから全ての世代へ広げようとする意図も感じられます。
平林さん:「大人たちも集まって、子どもの手助けをしたり、一緒に関わったりすることで学びを得ているようです。学校では学べない自然や環境のことを楽しく学ぶ機会を多く作ることがこれまでの活動のモチベーションでしたが、農村から学べることをもっとみんなで学んでいく形に広がってきましたね」。
――農村クリエイティブラボの参加者に、岩村から持って帰ってほしい学びはありますか。
平林さん:「子どもたちの教育のためにと動いてきた結果、各地から岩村に人が出入りするようになり、今までに繋がりを持たなかった人たちとつながって、地域に来てもらって、新しいものを生んだり、岩村で消費をしてもらったりすることが出来るようになりました。『子どもと建築のリノベーションを考えたいんで手伝ってください』と言うと、子どものためだったらと力を貸してくれる。岩村は小さい町ですが、農村と都市の間で『子ども』を共通項に交流が生まれ、新たな繋がり、学びが生まれていく。『地域活性化』が目的であれば、この流れは生まれなかったと思います。何か目的があって活性が生まれる。学びを大切にする考え方は、持って帰ってもらいたいですね」。
――農村クリエイティブラボの今後のビジョンを教えてください。
平林さん:「子どもの教育が目的なので、岩村で終わることなく、全国、そして世界にいる子供たちのために、事例を広めていきたいと思います。いろんな地域の子どもたちに合った学びのプログラムを展開していきたいです」。
地の歴史を魅力へと変換し発信する循環
土地に根付く歴史からプロジェクトを立ち上げ、自らの繋がりから地域の未来を作りだしていく。
生まれ育った環境の可能性を引き出すことは、地域で暮らす子供、そしてまだ魅力を探しだせていない大人たちが、その土地の深みを知るきっかけに繋がります。
「何もない」ように見える場所の資源をどう活用すれば、魅力ある地域へと変化し、その情報が地域内外に発信されていくのか。
岩村の農村クリエイティブラボの取り組みは、どの地域でも応用可能な先行事例となりそうです。
「農村クリエイティブラボ」クラウドファンディング実施中
現在、農村クリエイティブラボは、活動への共感者から資金の寄付を募るクラウドファンディングを行っています。
集まったお金は、農村クリエイティブラボの拠点づくりとして、築100年の昔ながらの工法で作られた小屋のリノベーションのために活用されるそうです。
寄付の額によっては、リノベーションやイベントへの参加権、茅の宿への宿泊など、農村クリエイティブラボや岩村の暮らしを体験することも出来ます。興味を持った方は、こちらからどうぞ。
岩村で始まった学びの循環が、全国各地にどのように広がっていくのか、今後の展開が楽しみですね。
自分の町ではどんな資源が魅力として発信できるのか、考えてみることから、始めてみませんか。
ライター:えぐちはると
三重大4年。93年6月生まれ三重県桑名市在住。インタビュー団体「Lien」や『マチノコト』、名古屋シティガイド『IDENTITY名古屋』など、いくつかの媒体で記事を書いています。
- 記事提供:マチノコト
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