日本遺産の第1号に選ばれた熊本県「人吉球磨地域」の歴史と注目スポット

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2021/12/09

世界中が注目する「世界遺産」のように、日本にはその文化と伝統を讃え、文化庁が制定する「日本遺産」があるのをご存じでしょうか。それぞれに歴史的なバックグラウンドとストーリーを持つ、珠玉の注目のスポットがズラリとそろっています。

そんな日本遺産の栄えある第1号に選出されたのが熊本県の「人吉球磨地域」です。700年の歴史が語るこの地域でいま行くべきスポットと、現在も伝えられている「遊び文化」についてご紹介します。

※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。

700年の歴史。悠久の文化が伝承される日本遺産

image by:PR TIMES

文化庁が認定し登録・指定することで、その文化遺産にまつわる「ストーリー」を地域活性化に繋げることを大きな目的としている「日本遺産」。地域の風土に受け継がれる伝承や風習、特色などの歴史的な魅力を、海外に向けても発信しています。

全国の17地区が日本遺産の第1号として認定されるなか、熊本県から選ばれたのが「人吉球磨地域」。なんと、遡ること鎌倉時代に始まり明治維新に至るまで、領主である相良氏がおよそ700年間という長期間統治を行ったという稀有な地域です。

「相良700年」と呼ばれるその長きに渡り、周囲が九州山地という「地の利」をフル活用して外敵の侵入を阻止。領主と民衆が共に「まちづくり」を行い、新技術を取り入れながらも古くからの民衆文化も絶やさずに紡がれてきました。

高い歴史的・文化的価値を持つ社寺や仏像の維持など「保守と進取の文化」と絶賛される人吉球磨地域は、かの文豪・司馬遼太郎が「日本でもっとも豊かな隠れ里」と著作に記したほど、魅力あふれる場所としていまも存在しています。

スポット1.青井阿蘇神社(あおいあそじんじゃ)

image by:PR TIMES

806年、大同元年に創建されたといわれる「青井阿蘇神社」。阿蘇市の「阿蘇神社」で祭神に掲げられている12柱から、「建磐龍命」「阿蘇津媛命」「国造速甕玉神」の3柱を祀っています。

本殿に廊、幣殿と拝殿、楼門が2008年に国宝となり、国内における国宝建築物として最南端に位置する存在に。県内では国宝指定を受けた初の現存文化財となりました。地域の人々に「青井さん」と呼ばれ、愛され続けている神社です。

スポット2.球磨川くだり

image by:PR TIMES

最上川・富士川と並ぶ「日本三大急流」のひとつであり、熊本県内において最大の川である「球磨川」を舞台に、激流を下る「球磨川くだり」。100年を超える歴史的なアクティビティであり、あの西郷隆盛も西南戦争時に川下りを行い、熊本入りしたと言われています。


その後も詩人・与謝野晶子夫妻をはじめ、多くの著名人が体験した貴重な川下り。現在の「球磨川くだり」は木船に乗って下るものと、ゴム製ボートで水流に挑戦する「球磨川ラフティング」から選ぶことができます。

スポット3.くま川鉄道

くま川鉄道湯前線 image by:E235Rapid, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

1989(平成元)年に運行が開始された、地域のローカル鉄道「くま川鉄道」。人吉球磨にある市町村に加え、民間からも出資が行われて誕生しました。その利用客はほとんどが高校生で、趣のあふれる通学列車として活躍しています。

車窓からは、人吉球磨の美しい田園地帯をはじめ、四季それぞれの絶景を堪能することが可能。熊本豪雨で大きな被害に見舞われながらも、現在も運航再開が順次行われています。鉄道ファンの間からも密かな人気を集めている鉄道です。

※2020年7月豪雨で甚大な被害があり、現在は運行休止。2021年11月ごろから一部区間(肥後西村駅~湯前駅)にて部分運行再開予定。

スポット4.球泉洞(きゅうせんどう)

image by:PR TIMES

その誕生はおよそ3億年前という、途方もない年月を重ねて誕生した九州でも最大の鍾乳洞「球泉洞」。洞内の全長はおよそ4,800mに渡り、幻想的な非日常空間を体感することができます。

見学時には、約500mの「観光コース」と、階段で40mの縦穴を下るなどの昇り降りが楽しめる「探検コース」の2種からコースを選ぶことが可能。現在も成長を続けている神秘的な石柱や石筍などに悠久の歴史を感じられる、見どころが詰まったスポットです。

遊び文化1.県無形民俗文化財「ウンスンカルタ」

image by:Outlookxp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

16世紀の半頃、ポルトガル人の船員たちが渡来時に伝えたと言われる南蛮カルタ「ウンスンカルタ」。江戸時代の中期に「寛政の改革」により禁じられて弾圧の対象になるも、全国で唯一、人吉球磨の中だけでは残りました。

現在では県無形民俗文化財に指定され、貴重な文化として受け継がれているこの一品。今に伝える拠点として「ウンスンカルタの家」には、そのカラフルなカルタの数々が展示されています。

遊び文化2.「球磨拳」

0から5までの形を手で表し、同時に出して「ひとつ上の数字」を出した方が勝ちというルールの「球磨拳」。全国的な文化として広まっている「じゃんけん」のルーツともいわれている手遊びです。

その歴史は江戸時代にさかのぼり、参勤交代が開始されたころから見られているそう。負けると、おちょこで焼酎を飲まなければいけないというちょっと大人のルールもあります。毎年10月には世界大会も開催されているという、現在も現役で熱い遊び文化です。

大自然が育んだ地形の妙により独自の文化を重ねてきた、熊本県の人吉球磨地域。日本遺産への認定により、注目度が上がり続けているスポットで、歴史を感じてみてはいかがでしょうか。

  • source:PR TIMES
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美容師・ヘアメイクを経て映画業界に転身。フリーの記者カメラマンとして国内外のレッドカーペット取材や俳優インタビューを行いながら、来日イベントの企画運営・PR、記者会見や舞台挨拶のMCなど洋画をメインに活動。現在は育児のため仕事をセーブし、ライターとして幅広いジャンルの記事を執筆中。

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