昭和レトロな横丁でディープなグルメ。冬こそ食べたい「静岡おでん」
静岡市ならではの郷土料理、そのひとつが「静岡おでん」です。
牛すじや黒はんぺん、練り物などの具材を串に刺し、黒色のだし汁で煮込み、青のりや魚のだし粉をかけて食べるのが特徴。しかも、おでんが駄菓子屋で売られているのも、静岡おでんならでは。
大正時代から食べられていたという静岡おでんを味わいたいなら、JR静岡駅の西側にある「青葉横丁」「青葉おでん街」がおすすめ。
昔ながらの赤ちょうちんがともる横丁に、おでん屋が軒を連ねています。なかには創業90年という老舗おでん屋も。
静岡を代表する食文化として、実はかなり奥が深い静岡おでんの世界。今回は、その歴史や由来、食べ方や保存への取り組みなどをご紹介します。
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始まりは大正時代から。おでんの具材に「練り物」が多いのは…
まずは、静岡おでんの歴史から。そのルーツは大正時代にさかのぼります。
当時、廃棄処分されていた牛すじ、豚もつなどを捨てずに煮込みの材料としたのが、静岡おでんの始まりとされています。
静岡市の近くに焼津や由比などの漁港があり、練り製品の産地だったことから、黒はんぺんなどの練り物も具材に使われるようになったそうです。
戦後、静岡市役所前の青葉公園およびその周辺には、約200台ものおでん屋台が軒を連ね、仕事帰りの人々で連夜にぎわいました。
しかし、1957年の静岡国体※を機に、市街地の都市開発が始まり、ほとんどの屋台が撤去(※国民体育大会)。一部の店舗は移転し、現在の「青葉横丁」「青葉おでん街」などで営業を続けています。
これが今も変わらず親しまれている、静岡おでんの立ち寄りスポットです。
「静岡おでんの五ヶ条」と、子どもから大人まで親しまれている理由
静岡おでんには、5つの「ルール」が存在します。
- その1 黒いスープ
- その2 串に刺してある
- その3 黒はんぺんが入っている
- その4 青海苔、だし粉をかける
- その5 駄菓子屋にもある
具には必ず黒はんぺん、そしてスープは黒色。具材はすべて串刺しで、青のりやだし粉をかけて味わいます。
おでんのだしは、どのおでん屋でも継ぎ足しながら毎日煮込みます。継ぎ足しのスープで味が濃縮され、濃口しょう油を使うことで全国的にもめずらしい“黒色”をしているのです。
静岡の小学生は学校帰りに、駄菓子屋でおでんを「おやつ」としてつついていたとのこと。そのため、大人になってもおでんは身近な存在で、居酒屋で「酒の肴」として静岡では欠かせない存在となっています。
レトロな「青葉横丁」とフォトジェニックな「青葉おでん街」
青葉横丁
JR静岡駅から徒歩10分ほど。かつておでん屋台がずらりと並んでいた青葉公園からほど近い「青葉横丁」は、通りがやや暗くて狭く、まさに横丁という界隈。昭和レトロのノスタルジックな雰囲気が漂っています。
最も有名なのが、青葉横丁の入口にある「三河屋」です。
キリンビールのCMでモデルになったこともあるという有名店。国産や旬にこだわった静岡おでんの具材とそのおいしさにはリピーターも多く、平日でもほぼ満席の時間が続く人気ぶりです。
- 青葉横丁
- 静岡市葵区常磐町1-8-7
- JR静岡駅から徒歩約10分
- 定休日:水曜(水曜以外は店舗により異なる)
- 営業時間:16:30~翌朝1:00(店舗により異なる)
- 備考:日曜日休みのお店が多い
青葉おでん街
一方、通りを挟んだ場所にある「青葉おでん街」は、赤ちょうちんや天井まで色鮮やかな赤で統一されているのがとてもフォトジェニック。
にぎやかだったころのおでん屋が並ぶ昭和時代にタイムスリップした気分になるかもしれません。
どのおでん屋も、カウンターのみ10名前後というお店がほとんど。狭い空間ではあるものの、煮込んだおでんを目の前に、店主らと気軽に話もでき、静岡の夜がいっそう楽しくなること間違いありません。
- 青葉おでん街
- 静岡市葵区常磐町2-3-6
- JR静岡駅から徒歩約10分
- 定休日:水曜(水曜以外は店舗により異なる)
- 営業時間:16:30~翌朝1:00(店舗により異なる)
地元静岡では「しぞーかおでん」と親しみを込めて呼ばれるソウルフード。
静岡おでんは大きく、昼の「駄菓子屋系」と夜の「居酒屋系」に分けられ、今でも子どもから大人まで親しまれています。
もちろん、静岡を訪れた旅行者が店に訪れても、歓迎されて温かいおもてなしに魅了されるでしょう。静岡おでん独特の味わいと文化など、ぜひ体験してみてはいかがでしょうか。
- 静岡おでんの会ホームページ
- image by:シカマアキ
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