ひがし、にし、主計町。熟練ガイドに聞く、金沢茶屋街の上手な歩き方
見どころがたくさんある石川県の金沢。なかでも茶屋街は鉄板の観光地です。しかし、いくら有名な場所であっても、何の情報もなく素通りするだけでは、その魅力を十分に満喫できません。
そこで今回は金沢ボランティアガイド「まいどさん」で活躍する中村信昭さん、上野雅章さんに、金沢に3つある茶屋街の見どころを教えてもらいました。
江戸時代の金沢には4つの茶屋街があった
金沢にそれほど詳しくない人に、「金沢には3つの茶屋街がある」と伝えると、たいてい「3つもあるの?」と驚かれます。
金沢は「ひがし茶屋街」が有名ですが、ほかにも「主計町(かずえまち)茶屋街」、「にし茶屋街」があり、江戸時代までさかのぼれば「北茶屋街」も存在したのだとか。つまり昔は3カ所どころか、4カ所の茶屋街が存在したのです。
そのなかでもやはり、圧倒的な知名度を誇る現存の茶屋街は「ひがし」。ほかと比べて、最もまち歩きを楽しませてくれる場所でもあります。その理由は、江戸時代のまち割りがそのまま残されているから。
金沢はお隣の富山、福井と違い、第二次世界大戦で空襲に遭っていません。それどころか、ガイドの中村信昭さんによれば金沢は430年以上、戦災に遭っていない都市なのだとか。
関ヶ原の合戦よりも前にさかのぼれるくらい戦災に遭っていない都市は、世界的に見てもスイスのチューリッヒと金沢くらいしか存在しないみたいですね。
さすがに芸妓(げいぎ)を置く茶屋の数は、往時と比べるとかなり減少しています。例えば江戸時代には「ひがし」だけで約100軒あった茶屋も、いまではわずか6軒。
現役で活躍している芸妓の数も、ひがし茶屋街には10数名しか居ないのだとか。
しかし、当時の建物は多く残されていて、一帯は「重伝建」(重要伝統的建造物群保存地区)に指定されています。
中村さんによれば、歴史ある建物を生かして、毎月2~3軒の飲食店や土産物屋が新規で誕生しているといいます。
まちは古き良き雰囲気を残しながら、最新再生を繰り返しているのです。