ひがし、にし、主計町。熟練ガイドに聞く、金沢茶屋街の上手な歩き方
小規模な「にし」でも芸妓と遭遇できるかも!?
金沢にもうひとつあるにし茶屋街については、上野雅章さんにガイドしてもらいました。こちらはひがし、主計町と違って、残念ながら1880(明治13)年に、大火で焼失してしまった歴史があるそう。
始まりの時期こそひがし茶屋街と同じで、1820年(江戸時代)に誕生した歴史を持ちます。しかし、1880年(明治13年)に大火で焼失し再建された歴史があるため、「重伝建」の保存地区には指定されていないのだとか。
さらに1956年(昭和31年)には法律も変わり、電気屋など普通の商店が建ち並び始めます。茶屋街のまちなみは、一時期消え去りつつあったのですね。それでも平成になってから金沢市が主導で20年かけて、茶屋街の雰囲気を復活させようと整備を行います。
今でもこぢんまりとはしていますが、上野さんによると、意外にも現役の芸妓は「にし」が最も多く、現状で営業中の茶屋が4軒、近く5軒目が誕生するといいます。
筆者が訪れると、まさに新しい茶屋づくりの真っ最中でした。茶屋街の中には現役の芸妓さんたちが食べにくる「桜桃」などの飲食店もあって、小さい茶屋街でありながら舞妓さんや芸妓さんと遭遇できるチャンスは大いにあるのですね。
金沢ボランティアガイド「まいどさん」が待機する西茶屋街資料館の2階には、茶屋の室内を再現した見学場所もあります。
資料館の隣にある西検番事務所は1922年(大正11年)に建てられた国の登録文化財で、金沢の3茶屋街の検番事務所(芸妓の芸能事務所のような場所)のなかでも、最も立派な舞台があります。公演があるときは、入場料を払えば観覧もできるのだとか。
甘納豆で有名な「かわむら」、「中谷豆腐店」が出すソフトクリームなど、若い女性に人気のスポットもこのエリアには点在します。
混雑が苦手で、落ち着いた雰囲気のなかで茶屋街の風情を楽しみたい場合は、にし茶屋街も狙い目ですね。
以上が金沢のガイドの方々と歩いて教えてもらった、3茶屋街の見どころになります。実際に詳しい方と歩くと、まちの見方が深くなり、興味関心も広がっていきます。
ボランティア大学校で1年学んだ正式なガイドと金沢を一緒に歩ける「まいどさん」は現在、26期生までが存在し、最高齢は93歳の方が業務にあたっているのだとか。
1週間前までに予約すれば無料でガイドサービスを提供してくれます。地元の人との交流を深める機会にもなりますので、金沢旅行ではガイドツアーを頼んでみてはいかがでしょう。
- 観光ボランティアガイド「まいどさん」
- 公式サイト
- image by:坂本正敬
- ※掲載時点の情報です。内容は変更になる可能性があります。