不可能を可能にするんだ。明治の最新技術の結晶、世界遺産「韮山反射炉」

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2020/03/28

不可能を可能にした加熱炉の構造

反射炉の仕組みなどの説明もされています。image by:梅原慎治

当時、加熱の燃料とされていた炭や石炭の燃焼温度は、炭が1,000℃程度、石炭でもせいぜい1,200℃程度でした。

これに対して鉄の溶解温度は1,500℃以上です。普通に考えると、炭や石炭を燃料として鉄を溶かすことは不可能に思えるのですが、韮山反射炉ではなぜ、燃焼温度の低い燃料で鉄を溶かすことができたのでしょうか。

当時の大砲に使用された砲弾。image by:梅原慎治

それは、断面形状をアーチ型(ドーム型)とした韮山反射炉の炉内形状に起因します。このアーチ型の天井が熱や炎を反射した際、その熱が炉内床面の1点(1直線上)に集中することとなるように設計されていたのです。

反射炉の燃料投入口(右)と、銑鉄投入口(左)image by:梅原慎治
反射炉のなかの様子。天井がアーチ状になっているのがわかります。image by:梅原慎治

熱を集中させる」といっても、それだけで数百度以上温度を上げることができるのか?と疑問に思いますよね。

そんなときは、小学生のころに行った虫メガネで太陽光を1点に集中させるという実験を思い出してみてください。普段は人間が普通に浴びている太陽光ですが、それを1点に集めただけで紙が燃える温度(200℃から300℃程度)にまで上昇していました。このように熱を集めるという仕組みは、想像以上の効果を生み出すのです。

ちなみに現在では燃料にコークス(燃焼温度2,000度以上)などを用いることにより、熱の反射を用いなくとも容易に鉄を溶解させられるようになっています。

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