美しき舞にうっとり。京都の春の風物詩「都をどり」と「京おどり」

「宮川音頭」の5番の歌詞に隠された意味

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5番の歌詞に登場する「都紅」はかつて、京都でしか売っていなかったぐらい貴重な口紅です。「納豆」は大徳寺納豆で納豆を乾燥させた京都の特産品。

そして「八つ橋」は、江戸時代の琴の名士・八橋検校(けんぎょう)の墓所・金戒光明寺の門前菓子屋が琴の形をとって作った有名なお菓子です。

「みすや針」は、御所内で御簾(みす)の内側で秘密裏に作るようにとまでいわれた精巧な針。いまでも三条河原町にある老舗針店「みすや」の針です。

昔は服は女性が夜なべして作るもので、それには良質な針が欠かせない時代でした。良質な針が唯一手に入るのが織物が発達した京都だったそうです。

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「すぐき」は上賀茂で栽培されるカブの一種で、しばづけ、千枚漬けと合わせて京都の三大漬物のひとつです。「五色豆」は色とりどりのお豆さんで、夷(えびす)川にある老舗豆政の由緒ある御菓子です。

短い歌詞のなかで、京都には高級品から美味しいものまでたくさんのお土産があることをこれでもかというぐらい紹介しています。

でも歌の最後には、それにも増して地元に帰ったらぜひ身内の人たちに聞かせてあげてほしいと強調している「みやげばなし」は、「京おどり」だと強調しているのです。目の前で観ないとその感動は伝わらないので無理がありますが、その想いも込めて一生懸命に舞う彼女たちの姿がとても感動的なのです。

この感動的なフィナーレ「宮川音頭」の動画がYouTubeで見ることもできるので、雰囲気だけでも感じてみてください。初めは地味に静かに始まるのですが、最後になるほどとても豪華です。

宮川町の地名の由来

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さて、鴨川沿いのこの辺りの地名を宮川町にしたことには由来があります。毎年恒例の7月10日に行われる祇園祭の神事のひとつの「神輿洗(みこしあらい)式」というのがあります。


八坂神社の神様たちの魂が神幸祭の巡行のときに祀られる神輿を清めるため、毎年7月10日と28日に四条大橋の上で行われます。 神幸祭は7月17日夕刻から夜にかけて、神輿三基が八坂神社から四条寺町の御旅所へ渡御する重要な祭礼儀式です。

また、還幸祭はその1週間後の7月24日、御旅所から神泉苑や三条又旅社(またたびしゃ)等を経て八坂神社に還幸する儀式。

これらの神事の前後である7月10日と28日に、御祭神を乗せる神輿を洗い清めるため、行われる神事が神輿洗式です。

神輿洗式当日の7月10日の朝には、四条大橋に斎竹(いみたけ)が立てられ、鴨川から水が汲み上げられます。そしてその後、その場所でお祓いをし、清められた水が夜の神輿洗に使われるのです。 

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このことから神事が行われる四条大橋から松原橋までの間のほんの200~300mほどの鴨川流域のことを「宮川」と呼ぶのです。宮川町はこの四条大橋から松原橋までの間を鴨川と並行に南北に走る道で鴨川より東に一筋入った通りです。

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宮とは祇園社(八坂神社)のことを指し、古来から祇園祭の時期に八坂神社の神輿を洗い清めたことに由来すると伝えられています。それが現在も「宮川町」という地名を残し、花街として栄え続けている所以なのです。

今年中にとはいわないまでも、一生のうちに一度は観にいってみてください。日本人として生まれてきたことをどれほど幸せに感じることかと思います。

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