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美しき舞にうっとり。京都の春の風物詩「都をどり」と「京おどり」

祇園東「京おどり」

image by:KeraKera55 / CC BY-SA

京おどり」は宮川町歌舞練場で毎年4月前半に開催される若柳(わかやぎ)流の舞踊公演です。京都5花街で行われるほかの舞踊公演は、旧字体の(を)で「をどり」と表記されます。

でも京おどりだけは、新字体の(お)が用いられています。昔、日本では旧字体が一般的でほかの花街ではその名残もあって表記をそのまま「をどり」としています。

平仮名の(を)は50音の最後の文字。そのため芸の上達のために日々精進している芸舞妓さんにとって、謙虚さを表しているともいわれています。

宮川町は南座のすぐ南側の祇園界隈にあるので、もともと芝居小屋との縁が深い街として栄えました。花街だけではなく多くの人にも親しみやすく感じてもらえるようにと、新字体の(お)を表記するようになったともいわれています。

祇園東 宮川町の歴史

宮川町は江戸初期から歌舞伎の祖、出雲阿国(いずものおくに)の小屋をはじめ、数々の芝居小屋が建ち並ぶ場所でした。

そしてそこに出演する役者や、観劇する客のための宿が増えていったことが現在の宮川町の礎となっています。そのため宮川町は歌舞伎発祥の地ともいわれています。

image by:Nacho Such / Shutterstock.com

宮川町の紋章は三つ輪です。芸妓育成機関の女紅場が府立になったときに寺社、町家、花街の3つが合流して学校施設になった記念とされています。

いろいろな人たちから支えられ親しまれてきた歴史が、三つ輪の紋章や新字体を使った「京おどり」という仮名づかいに表れているようです。

艶やかさあふれる「京おどり」の魅力

演目は毎年八景の物語や景色がその都度変わるのですが、最後の第九景の感動のフィナーレは「宮川音頭」です。ほかの花街のをどりと同じく、一等の茶券付きの観覧チケットを購入すると、目の前で舞妓さんによるお点前を見ることができます。


舞妓さんが椅子に座ってテーブルの上でお点前をする立礼式(りゅうれいしき)のようすを見ながら、お菓子と抹茶をいただくことができ、宮川町のお饅頭は、鶴屋吉信さんのものが運ばれてきます。

京おどりのハイライトは何といってもフィナーレの総踊り「宮川音頭」。この世にこれ以上の光景はないといった感じです。

祇園甲部の華やかな都をどりも美しさや華やかさでは引けを取らないですが、宮川町の京おどりには艶やかさがあり、情緒を感じます。

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目の前で観てしまうと、その日は何もできなくなってしまうぐらい残像が残って感傷的になってしまいます。観に行くときは覚悟が必要なくらいです。

「宮川音頭」は5番まであるのですが、最後の5番だけは芸舞妓さん全員が歌い、舞います。途中から舞の動きが曲が転調したあとに早くなるのですが、色とりどりの艶やかな着物が動く姿がひときわキレイなのです。

色とりどりの西陣織の帯や京友禅の着物の中に織り込まれている金糸銀糸が照明に照らされて輝いて見えます。

前列で並んで舞う舞妓さんの振袖とだらりの帯が、隣り同士でバタバタと音を立ててぶつかるのが前の席だと聞こえてきます。

か弱い少女が数十kgの重さの衣装を身にまとい一生懸命舞う姿。その姿は厳しい稽古を積んできた努力の証を感じる年に一度の光景でもあります。

そして舞のスピードの変化もさることながら、5番の歌詞がとても心に響くものとなっています。

4番までは宮川町やすぐ近くを流れる鴨川など、京都の景色や花街のようすを歌っていますが、5番は、全国から京おどりを観にきた観客へ向けて歌っているのです。

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