国内移動が約4倍に。コロナ禍の2020年夏、旅はどのように変化したのか?
新型コロナウイルスの感染拡大により、未曽有の緊急事態となった2020年。移動がともなう旅行業界も、大きなダメージを受けました。
外出自粛により多くの人が旅行を控えるなか、現在、旅行というもののあり方自体が変化を迎えています。
この度、世界最大級の宿泊予約サイト「ブッキング・ドットコム」が日本在住者の予約データを分析、「夏の旅行動向」調査を発表しました。
新型コロナウイルスの収束が見えないなか、少しずつ経済が動き出していた2020年の夏、一体どのような傾向が見られたのでしょうか。
移動距離は縮まり、宿泊はホテルから民泊へ
今回の調査では、2020年6月~8月にブッキング・ドットコムを通じて旅行を行った人の傾向を分析。
はじめに、予約地点から宿泊ホテルなどの施設までの距離を見たところ、2019年と比較して一気に縮んでいるということがわかりました。
昨年は平均1,575kmだった距離は、今年平均543kmまでに減少。旅行において遠方に出かけるという選択肢が激減し、近くで楽しむ人が増えていることがわかります。
同じ期間で「どこへ旅をしていたか」を見てみると、国内移動が89%という結果に。2019年の同時期の国内移動は23%しかなく、ほとんどの人が夏休みは海外旅行に行くことが当然でした。
新型コロナウイルスの流行により、緊急事態宣言を経て外出自粛が当たり前となっていたことや、都道府県境をまたいでの旅行で自分自身が感染させてしまう可能性もあるなど、まだまだ油断できないのが現状だといえます。
とはいえ、身近な観光スポットの良さを再発見できたり、自分の生まれ育った地を見直す機会になったりと、思わぬ副産物も生まれています。
海外旅行はまだまだ難しいものの、国内旅行や近い場所へのお出かけであっても、大いに楽しめるということがわかった人もいるかもしれませんね。
続いて、再び2019年の同時期と比較して「最も予約数の多かった日本の目的地」をチェックしたところ、静岡県下田市・静岡県伊東市・北海道富良野市・神奈川県鎌倉市・東京都立川市が浮上しました。
国内旅行へ出かける場合、多くの人が「温泉」を目的に出かけることもあり、静岡県に代表される温泉の名所はやはり人気が高まっています。
さらに、富良野で楽しめる大自然などは、感染予防対策の観点から見ても安心して過ごせる方法だといえます。
立川市は、東京都下でも開発が進んでいる駅のひとつであり、駅付近は映画館やショッピング施設、IKEAなどの大型モールも大いに充実。
次々と新しい施設も誕生している一方で、国営昭和記念公園などの自然豊かなスポットもあり、ちょっと足を伸ばして過ごすのにぴったりなのかもしれません。
都市で見てみると、夏に予約数が多くなったのは東京・大阪・京都・福岡・名古屋という、日本を代表する都市の数々でした。通常時も人気の高い国内スポットは、より一層高い人気を博す傾向にあるようです。
「宿泊施設のタイプ」を見てみると、さまざまな種類があるなかでも「別荘」「ヴィラ」「旅館」に人気が集中。
ホテルなどは大きなロビーや朝食・夕食会場など、多くの人が集う場合なども多く、避ける人が増えている可能性があることから、やはり新型コロナウイルスの感染予防対策のひとつ「ソーシャルディスタンス」が保てる施設の支持が高まっていることがわかります。
民泊施設のなかには、タブレット操作のみなど無人のチェックインを取り入れている施設も。また、小さめの施設だからこそ消毒や掃除、換気などの感染予防対策が行き届いている安心感なども支持に繋がっていると考えられます。
別荘やヴィラなどの民泊施設は、2019年末の調査では「利用したい」人は16%に留まっていたとのこと。76%は「ホテル」を支持していたことから、今回のコロナ禍でいかに旅行への考え方が変化したかが、如実に表れているといえそうです。
実際に数字を通して見てみると、新型コロナウイルスの感染拡大により旅行スタイルが劇的変化したことがわかる2020年。
「GoToトラベルキャンペーン」のスタートにより、さらに国内旅行者が増加している現在、年末に向けてどのような動きが見られるのか、注目が集まっています。
- source:PR TIMES
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