レジに並ぶのは時代遅れなのか?未来を牽引するアメリカの最新スーパーマーケット
インターネット販売大手アマゾンが、2020年にアメリカで開始した新しい販売形態のスーパーマーケット・チェーンがあります。
「Amazon Fresh Grocery Store(アマゾンフレッシュグロサリーストア)」と呼ばれるこのお店、買い物客がカートに商品を入れると、価格が自動的に計算され、支払いはあらかじめアプリに登録したクレジットカードに請求されるというシステム。
買い物の際に列に並んだり、会計をしたりする時間と手間が節約できることを前面に打ち出しています。
2021年1月現在、アメリカ全土でもまだたったの6店舗しかない生まれたてほやほやのチェーンなのですが、そのうちの2番目に古い店舗(とはいっても開店は2020年10月とごく最近のことです)が、偶然にも私が住むカリフォルニア州アーバイン市にあります。
レジに並ばないだけでなく、会計時の接触なども避けることができるためコロナ禍にとても便利なスーパーなのです。実際に買い物をしてみたので、今回はスーパーでの一部始終をご紹介します。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウィルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
一見すると普通のスーパーマーケット…だが?
「amazon fresh」の大きな看板が目印のこのお店、以前は赤ちゃん育児用品の専門量販店「Babies “R” Us」があったところに建っています。
伝統的な建物主体の販売方法のことを「ブリック・アンド・モルタル(Brick and mortar)」と呼びますが、まさにその20世紀型の代表的な量販店のひとつが、インターネットを活用した販売形態を指す「クリック・アンド・モルタル(Click and mortar)」の象徴ともいえるアマゾンに取って代わられたわけで、時代の変化を感じざるを得ません。
さて、「Amazon Fresh Grocery Store」ですが、店舗面積が約3,716メートル四方といわれてもピンと来ないかもしれませんが、大体サッカーフィールドの半分くらいの広さだと想像してください。
アメリカでは特に大きくもなく小さくもない、ごく普通のサイズのスーパーマーケットです。この付近は大規模商業施設が集まった地域ですので、こじんまりとしているようにすら見えます。
店内の様子も一見するだけでは、普通のスーパーマーケットとあまり変わりはありません。
野菜や果物が並ぶセクション、肉類や魚介類のカウンター、卵や乳製品のコーナー、お菓子や缶詰の陳列棚、トイレットペーパーなどの日用品、飲み物、そして持ち帰り用のピザなどなどです。
最新の買い物カートに商品を入れるだけ
「Amazon Fresh Grocery Store」をほかから差別化している大きな、あるいは唯一の特徴は、店の入り口付近に並べられたコンピューターパネル付きの買い物カートです。こちらは「Amazon Dash Cart(アマゾンダッシュカート)」と呼ばれています。
このカートを使うことによって、買い物客はレジの列に並ぶことなく、買い物にかかる時間を節約することができるのです。
カートを使う前に、まずはアマゾンにアカウントを持ち、スマホにアプリをインストールしておく必要があります。
お店に入ったら、まずはアプリの画面に表示してあるQRコードをカートのパネルに読み込ませる、「チェックイン」という手続きを行います。
チェックインが済んだら、買い物開始です。このカートに商品を入れると、センサーがバーコードを読み取り、前面のパネルに商品名と価格が表示されます。
カートには重量計も装備されていますので、果物などの重量単位で単価が設定されている商品も、ただカートに入れるだけで、自動的に価格を計算してくれます。
商品をカートに入れる度に小計金額がパネルに表示されますので、思わず予算をオーバーしてしまう、なんてこともありません。
買い物がすべて終了したら、レジには並ばず、ただカートを押して出口付近のアマゾンダッシュカート専用レーンを進むだけでです。
支払いはあらかじめアマゾンのアカウントに登録したクレジットカードに自動的に請求されます。レシートはメールで送られてきます。
さらにこのカートの便利な機能として、「Alexa Shopping List(アレクサショッピングリスト)」があります。
買い物メモの代わりになるものですが、アプリで前もって購買を予定する商品名(例えばコーヒー豆、バナナ、ワインなど)を入れておくと、その商品が陳列してある店内の場所を表示してくれるのです。
「アレは一体どこにあるのだろう?」と広い店内を捜し歩いた経験がある人は、この機能を活用するメリットがお分かりでしょう。