<梅雨到来>京都大学防災研究所で水害体験!いざという時の対策を学ぶ
体験その1:「雨水流出実験」大雨が降るとどうなるのか!?
まずは、第1実験棟で行われる雨水流出実験に参加しました!貸出用の胴長(オールインワンの作業着と長靴が一体化したもの)&アウターに衣装チェンジし、早速豪雨の中へ。
激しい雨音&視界不良
さっきまでの静けさが一変し、話し声が聞こえにくくなるほどの轟音です。もちろん離れていても飛沫を感じます。
近年のゲリラ豪雨で、同じような体験をしたことがある方も多いかもしれませんが、傘と地面を打つ雨音が激しく、カメラマンの声は全く聞こえません。
実験ということでウォータープルーフの衣装に長靴を履いていたので気になりませんでしたが、いつも着ている自分の服であれば、もちろんビショ濡れ&不快感MAXになること間違いなし!視界も悪くなるので、歩行者、ドライバーともに危険な状況です。
教えて!川池教授〜防災研Q&A その1〜
川池教授に、気になったことをあれこれ聞いてみました。
Q:こちらの実験はどういったことを目的としているんですか?
川池教授:たとえば山に大雨が降った時に、雨水がどのように移動し、川の中をどのくらいの流量で流れていくのか。あるいは斜面を作って、そこに雨が降った時に、どういった条件でどういった仕組みで斜面が崩れていくのか……といったことを実験する施設になっています。
ちなみに当施設の実験用の水は、地下にある大きな水槽に地下水を汲み上げて、その水をぐるぐると循環させて使用しています。でないと水道代が嵩みますから(笑)
Q:どの程度の雨を降らせていますか?
川池教授:この実験では200 mm/h相当の雨を降らせています。「どしゃ降り」とよばれる雨はおよそ30mm/hなので、それを大幅に上回る雨量です。
日本で観測記録に残っている1時間の最大雨量が187mmですので、1時間この雨量が降り続くような雨は今のところ記録されていません。ただ、1分、2分といった瞬間的に見ると、稀にですが、この雨に匹敵するような雨が観測されています。
Q:200 mm/h相当の雨の危険性は?
川池教授:この規模の雨が降ると、側溝から水が溢れ出るなど、いわゆる内水氾濫といったことが起こる可能性があります。この装置では最大300mm/h相当の強度の雨を降らせることができますが、その強度になると、かなりの視界の悪さと音も激しくなります。ここ数年、これまで経験したことのないような雨の降り方が各地で観測されていますので、京都でも警戒する必要があります。
Q:手前と奥の2カ所の装置で雨の降りかたが違うようですが?
川池教授:用途の違う実験ができるように、奥の方は雨粒が小さい霧雨のような雨が降ってくるような状態になっています。一方、手前の方はもう少し大きなスケールの実験ができるように、比較的大きい雨粒が降ってくるようになっています。
Q:天井部分に設置されている簾にはどういう意図があるんですか?
川池教授:雨粒が大きいといっても、実際の雨粒に比べるとまだ小さいので、なるべく雨粒がまとまって降ってくるようにと、簾や葦簀(よしず)を使っています。
実際の雨ですと、1000m、2000mといった距離を落ちてくるので、もっとスピードも速いので。それを再現するのはなかなか難しいので、いろいろ試行錯誤しながら研究しています。
Q:実験用の模型は実在の場所を再現しているんですか?
川池教授:地形自体は滋賀県北部の高時川流域(写真)を1/1,500の縮尺で再現しています。模型はコンクリートむき出しなので水は全て流れていきますけど、実際は土で覆われていますので、その中に染み込んでいきます。この模型の目的は、あえて表面の被覆を変えた状態で実験できるようにしています。
Q:地質が異なると、どのようなことが想定されるんですか?
川池教授:土の場合は地中に染み込んだ雨水がゆっくり流れて、ゆっくり川に集まって流れていくんですけど、この模型のようなコンクリートの状態だと一気に水が集まって、大量の水を一気に流さないといけないんですよね。川の周りに人が沢山住むようになると、アスファルトの部分が多くなったり、家の屋根の面積が増えて、雨水が染み込む土地の面積が少なくなることによって水害が増えるんです。
Q:どういった対策がとられていますか?
川池教授:降った雨がすぐに出てこないように、別の場所に逃がすように遊水池などを作ったりはしているんですけど、費用がかさむこともあって、なかなか追いついていないのが現状です。
京都府の川の整備率は全国的に見て決して高いとはいえないので、しっかりと個人個人、家族単位で防災意識を高めることが大事だと思います。そのためにも、ハザードマップなどのソフトを活用してもらうために、我々の研究を活かしていければと思っています。
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