トンネルを抜けると別天地…天王山の南麓にある美しい洋館「アサヒグループ大山崎山荘美術館」

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2023/08/25

加賀氏の別荘に招かれた気分でお茶を

夫妻の寝室だった2階の部屋は現在、喫茶室になっています。外には有名な大テラスがあり、天気が良ければ木津・宇治・桂の三川と対岸の男山、さらに奈良の山々まで雄大な景色を眺めることができます。

もちろんテラスでもアサヒビールや、企画展にあわせてリーガロイヤルホテル京都が考案した特製スイーツがいただけますよ。

現在は、『受贈記念:没後10年 舩木倭帆展』に合わせたスイーツを提供中(企画展詳細は文末)。写真は、舩木氏のガラス作品を通る光を彷彿させる「透きとおる青」(スイーツ・ドリンクセット1,200円)。

ブルーキュラソーのゼリーにオレンジシロップをたっぷり浸み込ませたサヴァラン風ケーキを浮かばせた爽やかな一品。

目の前の大パノラマを見ながらケーキと紅茶を楽しんでいると、加賀氏の家に招かれて、お茶を楽しんでいる気分になってきます。

モネの《睡蓮》や民藝をはじめとしたコレクションの数々

こちらにはさまざまなコレクションがありますが、絵画ではアメデオ・モディリアーニ《少女の肖像(ジャンヌ・ユゲット)》(1918年)やジョアン・ミロ《窓辺の人物》(1935年)などに加え、加賀氏監修の植物図譜《蘭花譜(らんかふ)》(1946年)などを所蔵しています。

山荘は、かつて加賀氏が育てていた洋蘭栽培の一大拠点として名を馳せていました。『蘭花譜』は、その蘭を描いた木版画83点、カラー図版14点、単色写真図版7点で構成した植物図譜。美しい色彩や技法は美術的・学術的にも優れた資料として高い評価を得ています。

1階の食堂横から続く写真の廊下は、その温室へと続いていました。今はもう温室はありませんが、大きく取られた窓と南国を思わせるエメラルドグリーンの窓枠がさわやかな印象です。

『受贈記念:没後10年 舩木倭帆展』

現在、廊下の先には2012年、安藤忠雄氏の設計により建てられた山手館「夢の箱」があります。こちらは展覧会に合わせた作品が展示され、内容によって部屋の雰囲気が変わるのも魅力です。


また、1階の食堂にはテラスがあり、ここから眺める風景も素敵なんです。池には睡蓮が浮かび、まるでクロード・モネの《睡蓮》のような景色が広がります。

そう、アサヒグループ大山崎山荘美術館の主な所蔵品といえば、印象派の巨匠クロード・モネの《睡蓮》の連作があります。

《睡蓮》は安藤忠雄氏設計の地中館「地中の宝石箱」に展示されています。緑豊かな周囲の景観との調和をはかるため半地下構造で設計されてるので、この階段を降りて向かいます。

「地中の宝石箱」は円柱形になっているのが特徴。椅子も置かれているので、思い存分《睡蓮》を鑑賞することができますよ。

もう一つ、所蔵品で有名なのが、アサヒビール初代会長・山本爲三郎氏による民藝コレクションです。山本氏は柳宗悦らが提唱した「民藝運動」の良き理解者であり、支援を行っていました。

コレクションには、そのような民藝運動に参加した作家の中から、陶芸家の河井寬次郎(かわいかんじろう)、濱田庄司(はまだしょうじ)、バーナード・リーチ、染色家の芹沢啓介(せりざわけいすけ)、漆芸・木工家の黒田辰秋(くろだたつあき)らの作品をはじめ、国内外の民藝・工芸の名品が所蔵されています。

ところで、この美術館がユニークなのは、年数回催される企画展の内容に合わせた所蔵作品を紹介するだけでなく、年数回催される企画展の内容に合わせて所蔵作品をセレクトし、各部屋に展示されていること。

なので展覧会を訪れる度、今回はどんな民藝作品や画が展示されているのかなと楽しみになります。

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