外国人に日本産「シャインマスカット」が大ブレイク、人気の理由と生の声を聞いてみた

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2024/07/31

近年、日本のフルーツがその独特の甘さと品質の高さで世界中にその名を轟かせていることをご存知でしょうか?日本産のフルーツは海外市場でも注目を集め、輸出量が急速に伸びていることが、農林水産省のデータからも明らかになっています。

2021年の青果物の輸出実績は数量ベースで7.3万トン、金額ベースで377億円と過去最高額を記録しました。このうち、金額ベースでは果実が70%、野菜が30%を占めています。

特に、品質の高いメロンや桃、ぶどうなどが人気を博しており、アジアを中心に日本のフルーツ文化が広がりつつあります。中でもここ数年勢いがあるのが日本発祥の品種として知られる「シャインマスカット」です。

日本のシャインマスカットはその粒立ちの大きさと甘さで外国人にも大きな注目を集めています。

そこで今回は日本に詳しい外国人同士でオンライン座談会を実施。日本のシャインマスカットをこよなく愛するフランス人、台湾人、タイ人が一堂に会し、彼らがどのようにして日本のフルーツと出会い、その魅力に取りつかれたのか、そしてなぜこれほどまでに海外で愛されるのかについて語り合います。彼らの生の声を通じて、日本のフルーツが世界で愛され続ける理由を探ります。

登場人物

ライター赤池。以下、赤池(編)
編集兼ライター。フルーツは好きだが皮をむくのが苦手。イチゴのヘタを取るのも面倒くさい。

台湾出身・リンさん。以下、リンさん(台)
日本在住歴5年、いまは台北に住む30代日本語教師。好きなフルーツはマンゴーと日本シャインマスカット。最近の推しアニメは『薬屋のひとりごと』。

タイ出身・タナポンさん。以下、タナポンさん(泰)
日本在住歴8年、日暮里在住。介護士。タイ人だけど「パクチーは苦手」というと笑いが取れる。推しのアニメは『NARUTO』。

フランス出身・ジャンさん。以下、ジャンさん(仏)
日本の巣鴨在住10年。国際弁護士。姉の影響で『美少女戦士セーラームーン』を観て日本のアニメにハマる。ワイン好き。


日本のシャインマスカットと出会ったきっかけは?

image by:Kangsadarn.S/Shutterstock.com

まずはみなさんお集まりいただきありがとうございます。さっそくですが日本のシャインマスカットのことが大好きということで、出会ったきっかけを教えて下さい。

リンさん(台):台北に住んでいるのですが近くのスーパーで買ったのがきっかけです。もともと名前は知っていたのですが、ちょうど日本食コーナーをやっていて。岡山産のフルーツをいくつか紹介していて、そこで「Hareh-oh(晴王)」に一目惚れしました。

赤池(編):一目惚れですか?(笑)

リンさん(台):実際には一つ試食したので一粒ぼれですかね(笑)

タナポンさん(泰):私も日本のフルーツ全般が好きです。シャインマスカットは知り合いの日本の駐在員の方から何度か頂いたことがあります。

赤池(編):産地はどこでしたか?

タナポンさん(泰)山梨産だったと思います。バンコクでも日本のフルーツフェアは大人気で、私の知り合いもそこで買っていると言っていました。

赤池(編):海外で日本のフルーツフェアみたいのをやっているんですね。知らなかったです。

タナポンさん(泰):日本のフルーツは高級品扱いですよ。中国産のブドウより値段が5,6倍はするのですが、そこはメイド・イン・ジャパンなので圧倒的な信頼があります。

リンさん(台):日本のフルーツフェアというか山梨県とか岡山県とかの県(自治体)がPR活動でやってるっぽいです。

赤池(編):そうなんですね。ジャンさんはきっかけはなんだったのですか?

ジャンさん(仏):私はいま巣鴨に住んでいるのですが、コロナ前に山梨にブドウ狩りに行ったのがきっかけです。初めはワイン目当てだったのですが。

赤池(編):ああなるほどだから山梨なんですね。

ジャンさん(仏):そうです。ブドウ狩りのときに食べ比べをしたのですが、その食感に衝撃を受けました。アリエナイです。この食感。

image by:楽天市場

赤池(編):みなさんも初めてシャインマスカットを食べた時の印象は覚えています?

リンさん(台):もちろんです。なんて肉々しくて、ジューシーで。

タナポンさん(泰):そして夢のように甘い。ほんと一粒一粒が高級スイーツ。粒が大きくて緑の宝石のように見えました。

リンさん(台):本当に驚くほど甘いですよね。皮の食感と果実の歯ごたえがたまらない。口いっぱいに果汁が広がって。あれってもはや体験だと思う。

ジャンさん(仏):私には少し甘すぎるぐらいと思いました。私個人的にはブドウでもやや酸味のあるほうが好きなので。多くのフランス人もそうだと思います。たださっき体感と言ってましたがまさにそう思います。驚くほど実が張っていて、一口噛めば口の中で弾けるように甘い果汁が広がっていくのが。

赤池(編):みなさん表現がうまいですね(笑)

ジャンさん(仏):日本人ってオノマトペを使うじゃないですか?なので私はすぐに日本人に聞いたんですよ。この食感をなんて表現するんだ?って。

赤池(編):なんて言ってました?気になる(笑)

ジャンさん(仏):「プチ」と言ってました。でもフランス語で「プチ」は小さいという意味になるのでシャインマスカットの大粒とはイメージが合わないと思いましたよ。

タナポンさん(泰):いや本当に日本のシャインマスカットは革命ですよ。私はもとから種なしブドウが大好きでしたが、このシャインマスカットは甘さも段違いで、鼻から香りが抜け出るのも素晴らしい。

ジャンさん(仏):そうそう。香りがいいんですよシャインマスカットは。

image by:楽天市場

赤池(編):ジャンさんは普通のマスカットも好きだったんですか?

ジャンさん(仏):実はわたしはマスカット・リキュールは母国で飲んだことあります。でもフランスでの「ブドウ」はワインの原料のためであって食べたことはなかったんです。

赤池(編):そうだったんですね。

ジャンさん(仏):私も無類のワイン好きですがこのブドウをワインにするのはそれこそ「モッタイナイ」と思いますよ。

image by:ふるさとプレミアム

日本のフルーツってそんなに知られているの?

image by:Princess_Anmitsu/Shutterstock.com

赤池(編):そもそも日本のフルーツにも詳しいのですか?

リンさん(台):正直、日本に「フルーツ」のイメージはなかったです。強いて言うならイチゴが有名でした。値段が高くてなんかこうお金持ちが買うイメージ?でした。

タナポンさん(泰):そうそう。私も日本って言えば、ラーメン、寿司、スキヤキのイメージで。ここにさらにフルーツも加わるなんて。日本のグルメはすごいなと思う。

ジャンさん(仏):フランスではあまりみかけなかったけど、日本に住むようになってから色々気になって買い漁ってます。ただね、欧米ではフルーツは量り売りで気軽に買えるんですよ。でも日本だと箱詰めされてたりパックされてたりで少し戸惑いました。

タナポンさん(泰):確かにそれはありますね。コンビニでバナナが一本だけパックされて売ってたりするのが冗談かと思いました(笑)

ジャンさん(仏):私もブドウ狩りに言った時驚いたことがあったんですよ。そこだけかもしれないですが、シャインマスカットの房のひとつひとつに紙の傘のようなものがかぶせられていて。話を聞いたら雨と日差しから守るものだと言われて、日本人アリエナイと思いました。ひとつひとつの房にこんなに手間をかけるのかと。これだけのものを作るのにいったいどれだけの労力をかけているんだと。

赤池(編):フランス人でも驚くほどなんですね。

ジャンさん(仏):しかもそれが食べ放題なんて。ほんとアリエナイ。

リンさん(台):さっきタナポンさんも言ってましたが、日本のグルメって本当に世界を席巻していますよね。台湾も「日式」が多くて。そこにフルーツが加わりつつある。

image by:楽天市場

タナポンさん(泰):でもシャインマスカットって最近流行り出したんですよね?

赤池(編):2015年ぐらいに流行った気がします。贈り物やふるさと納税とかでも大人気で。

リンさん(台):もとのきっかけはなんだったのですか?

赤池(編):私も詳しくは知らないのですが、調べてみるともとは巨峰系のブドウとマスカット系の品種を交配して誕生したもので、研究開発に30年以上かかったそうです。

リンさん(台):やっぱり日本人って魔改造が好きなのね。

赤池(編):魔改造言うな(笑)。品種改良!そんな日本語どこで覚えた。でも皮ごと食べられるっていいですよね。

ジャンさん(仏):昔、日本人の彼女に「外国人はなんでも皮ごと食べる」ってバカにされてたんですよ。ブドウも桃もリンゴもね。

赤池(編):確かにズボンでゴシゴシこすって食べるイメージ(笑)

ジャンさん(仏):その時の彼女がいまの奥さんなんですよ。

赤池(編):それは聞いてないです(笑)。

リンさん(台):最近、日本産以外のシャインマスカットがアジアで出回ってるじゃないですか。

タナポンさん(泰):スーパーでも見かけるようになりましたね。

リンさん(台):私、一度日本産以外のを食べたことあるんですけどあれはまったく別物ですよ。

赤池(編):そうなんですか?

リンさん(台):甘さも食感もまったく違う別物。私にはそう感じました。確かに値段は安かったけど。

タナポンさん(泰):やはりメイド・イン・ジャパンでないとね。

リンさん(台):そうそう。確かに値段は高いけど、私が求めてるのは最初に感動したあの体験を再現したいんだって思ったの。

赤池(編):なるほど。

リンさん(台):だから日本人は羨ましいなって。こんな宝石みたいなフルーツが気軽に食べられるなんて。

赤池(編):気軽でもないですけどね。

リンさん(台):ふるさと納税でも買えるじゃないですか?ずるいですよね。

赤池(編):そこですか(笑)

ジャンさん(仏):では赤池さんに買っていただいて夏にでもまたシャインマスカットパーティやりましょう。

赤池(編):いいですね。みなさんのシャインマスカット愛が聞けて楽しかったです。ありがとうございました。

image by:楽天市場

 

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大学時代にドイツへ1年間留学。卒業後は旅行・グルメ・恋愛系のライターとして活動中。大好きなハンバーガーとビールのために、休日はボルダリングとヨガで汗を流す。

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