色とりどりのバルーンで舞い上がれ!震災5年、幸せの荒浜よ再び
東日本大震災をきっかけに、悲劇のまちとして全国に名が知られた地域は多くあります。宮城県仙台市の「荒浜」もそのひとつ。かつて悲しみに包まれたこの地では、願いを込めた色とりどりの風船が毎年3月11日に空を舞うそうです。荒浜の名を悲しみだけにしたくない、そんな思いを込めたプロジェクトを「マチノコト」からお届けします。
一歩踏み出すためにーー被災地で3月11日に風船を飛ばす
『HOPE FOR PROJECT』代表高山智行さんの思い
もうすぐ東日本大震災から、5年が経ちます。震災当時、宮城県仙台市に住んでいた私は、今でも震災当日の夜のことを鮮明に覚えています。家に帰れず職場に泊まることになった私は、インターネット上である情報を目にします。
「震災直後に仙台市荒浜に津波が押し寄せ、亡くなった人もたくさんいる」
仙台市に住みながらも荒浜という地名を知らなかった私にとって、荒浜はその日から悲しい出来事があった土地になっていました。
その荒浜の海岸で、『HOPE FOR PROJECT』というプロジェクトが行われていると知ったのは、2013年のこと。2012年から毎年3月11日に、花の種を入れた色とりどりの風船を飛ばしています。たくさんの人々が追悼の気持ちをこめて続けてきたこのプロジェクトは、今年の3月11日にも開催されます。
花の種の入った風船を空へ
仙台市中心部から6㎞に位置する若林区の海沿いにある荒浜は、津波によって多くの住宅が流され、数多くの方が命を落とした地域。いまだに土地の活用方法が決まっておらず、草木が生い茂り、夜になると灯りひとつない真っ暗な状態となっています。
HOPE FOR PROJECTは、亡くなった方々への哀悼の意と、散り散りになってしまった荒浜の方々が、年に一回でも郷里に集い、 少しでも思いを共有出来る時間を作れないかという思いで始まったもの。
毎年3月11日に、荒浜の海岸に慰霊祭に参列した方々と花の種を入れた風船を被災地の空へ飛ばす企画を行っています。使用されているのは、環境に配慮し、太陽光で自然分解され、落下したら土に還るエコバルーン。
当日は子どもから大人まで毎年400人近くの方が集まり、震災が起きた14時46分に黙祷を捧げたあと、「HOPE FOR」というメッセージが刻まれた風船をリリースします。
2014年からは、海岸にほど近い場所にあり、津波の被害により廃校となった荒浜小学校で、荒浜に縁のあるアーティストによるライブも行っています。