さよなら、JR三江線。日本の美しいローカル路線がまたひとつ廃線へ
三江線の車窓から眺める四季折々の美しい風景
ー三江線の車窓から眺められる、グッとくる風景ってどこでしょう?
潮駅あたりの江の川は上流に浜原ダムがあって、水面が静かなダム湖になっています。ダム湖に映る山は年中美しいのですが、潮駅とその周辺は桜の名所でもあり、桜の季節ともなれば満開の桜と江の川のダム湖が本当に素晴らしい。
川戸駅あたりも列車が桜のトンネルをくぐり抜けます。
作木口駅から香淀駅の辺り、明塚駅付近は建物にさえぎられることなく川の流れが楽しめます。
香淀駅のあたりは銀杏の大木があって、秋には窓から黄金色の紅葉が楽しめます。また、江の川から離れる沢谷駅付近は緑の草原や田んぼの中を通り、遠くに山がそびえていて美しいです。ここはちょっと九州の阿蘇を思わせる景色です。
山間部の割に標高が低いため冬の積雪は多くなく、うっすらと雪化粧をした山々はどこを通っても美しいです。浜原駅あたりは遠くに雪をかぶった三瓶山が見えます。
ーローカル線は地元の観光スポットも気になるところです。三江線で下車して行ける、オススメの観光スポットをおしえてください。
まず、潮駅から徒歩5分の「潮温泉 大和荘」。
源泉かけ流し、炭酸塩化物泉で名湯の多い島根県内でも屈指の炭酸含有量でぬくもります。浴室からは桜、三江線、江の川がよく見えます。昼食バイキングは870円とリーズナブルなおふくろの味が楽しめますよ。
石見川本駅から徒歩1分の「新栄寿司」は、にぎり寿司とざるそばのセット(1,000円)が人気。大将が三江線を応援していて三江線関連の本や同人誌があるほかメッセージノートも置いてあり、三江線ファンの間では有名なお店です。
作木口駅から徒歩30分で「常清滝」までハイキングできます。
落差126mの断崖にかかる滝は圧巻。
滝の周囲は落葉樹と常緑樹が混在し、夏の深緑も秋の紅葉も美しい。冬期は滝が凍り付くことでも有名。滝の手前にあるレストラン&売店「川の駅常清」では江の川の天然鮎が食べられますよ。
ー来年2018年3月末をもって全線廃止となる三江線ですが、別れを惜しみ、これから乗車する人も増えると思います。三江線の旅を計画している方たちにメッセージをお願いします。
東京・札幌・仙台から航空機で来られる場合、広島空港から三次駅前までの連絡バスが出ていて、三江線の旅に便利です。(※運行社会実験中、H29.3.31まで期間延長)【参考サイト】
広島から三江線に乗車する場合、広島駅から三次駅までの芸備線は運行本数が少ないので、三次までは広島市内から三次行きの高速バスを使うという手もあります。本数が多くて便利です。【参考サイト】
また、三江線の駅まで自家用車で行って三江線に乗車、下車駅まで車を回送し、利用料金の半額を三江線活性化協議会が負担するサービスもあります。【参考サイト】
廃線になる2018年3月31日までの1年は三江線の最後の季節。
桜、深緑、紅葉、薄雪…かけがえのない三江線の風景を、その目で確かめに行ってみてください!
やまもとのりこさんの著書『中国地方ローカル線の旅 ガイドブック ~愛しの三江線~』は三江線のほか、芸備線、木次線、山陰本線、錦川清流線、一畑電車の情報も掲載されています。ローカル線の旅に持って行くと便利なものなど、ローカル線旅ビギナーには役立つ情報もいっぱいですよ。
- 取材・文/御田けいこ
- image by:山岡亮治 / ブログ
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。