大正13年の洋風古民家で、ひたすら読書に没頭できる私設図書館
会員制をやめて、誰でもワンコインで利用できる図書館へ
この趣ある「読書空間みかも」が開設されたのは、2006年のこと。 自由が丘で古書店を経営していた女性がこのお宅を気に入り、賃貸契約を結んで私設図書館としてオープン。会員制ということもあり、利用できる人は限られていた。
当時の体制から新体制になったのは2016年4月のこと。 現代表の上神千波弥さんが開設者である古書店主から運営を引き継いだのだ。
こうしてみかもは、誰でも利用できる読書空間(入館料500円、飲み物付き)やレンタルスペースとして貸し出されることになり、「開けた」空間に。
すると「以前からみかものことが気になっていて一度来てみたかった、というお客さんが近所からも遠方からも訪れるようになりました。なかには、みかもについて書かれた新聞記事の切り抜きをずっと持っていたという方もいらっしゃいました」と上神さんは振り返る。
ここでは展示会や講座、イベントも開催される。土佐和紙やオーダーメイドランジェリーの展示会をはじめ、読書会や気功、風水の講座が行われるほか、時には中森じゅあんさんのお話会や古今亭文菊さんの寄席なども。
開設当時からボランティアとして運営に関わってきた渡辺和子さんは現在、みかもでの活動は行っていないが、あたたかい目で見守り続けている。実は私にみかもを紹介してくださった方でもある。ご自身で聞き書きのボランティアを行うほか、聞き書きの養成講座も開催するなど精力的に活動されている。
「みかもは人と人の交差点のように思います。私自身、みかもに関わったことで、普段出会えないような人と知り合うことができました。自分にとって財産ですよね」と渡辺さん。
かつて、みかもで「子育て支援」や「おしゃべりサロン」などを主宰していた渡辺さんは上神さんとこれからのみかもについて意見を交わすこともある。
現在は上神さんを含め4人のスタッフがほぼボランティアで運営している。 経営面がなかなか追いつかないのが現状だ。
「なんとかスタッフの人件費を確保できるよう、アイデアを練っています。夜(18〜22時)の時間帯を打ち合わせスペースとして貸し出すことも考えています。また、これからカフェやお菓子屋さんを開きたい方に腕試しの場として使っていただくのも良いかもしれません」(上神さん)
住宅街という環境上、大きな音は出せないといった制約はあるが、仕事帰りにここで静かに勉強したり、フリーランスで仕事をしている人たちが集まってミーティングの場として活用することも可能だ。
自由が丘や奥沢界隈で静かな環境を探している人にはとっておきの隠れ家になるのではないだろうか。
帰り際、「私への1冊」が記されている「本のおみくじ」をひいてみた。 これはSEの仕事をされている女性が制作されたもの。
オススメの本は高橋源一郎の『さよなら、クリストファー・ロビン』だった。
ちょうど氏の『私生活』を読み終えたばかりだったので、ちょっとビックリ。
読書空間みかも
住所: 東京都世田谷区奥沢2-33-2
Tel: 03-3718-2011
- image by:御田けいこ
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