銭湯研究の第一人者・町田忍氏がこっそり教える、都内のレトロ銭湯
都内では珍しい午前6時開店「燕湯(つばめゆ)」
東京の下町・JR御徒町駅のすぐ近くにある名銭湯。かつては旧地名である、「黒門町の燕湯」と呼ばれていた。
そして都内唯一となる、国の登録有形文化財指定の貴重な銭湯でもある。外観は、北千住のタカラ湯同様に「千鳥破風」と呼ばれる三角形の宮造り(寺社風建築)だ。
さらに、この銭湯を有名にしているのは、その営業時間。都内では非常に珍しく、開店が早朝である点だ。
午前6時という開店時間にも関わらず、その前からすでに常連客が毎日並んで待っている。
場所がら、夜勤明けや早朝に東京観光へ来た旅行客、常連さんで湯船はすぐいっぱいになる。
この早朝営業だけでもポイントは高いが、さらに開店時の湯温が48度前後という都内でも有数の高温風呂がある。
この浴槽は、水でうめる(ぬるくする)ことのないように蛇口の栓が外されてしまっているのだ。江戸っ子の熱湯好きを今に伝える貴重な銭湯である。
また、男女それぞれの湯船の奥には、天井まで届きそうな高さの火山岩の岩山があり、中島盛夫絵師によるペンキ絵も描かれている。
運が良ければ、美人女将が番台で迎えてくれるから一度足を運んでみてはいかがだろうか。
燕湯
住所:台東区上野3-14-5
Tel: 03-3831-7305
定休日:月曜
営業時間:6:00-20:00
湯船に天然の木を使用「藤の湯」
環状八号戦と玉川通りの交差点からすぐの路地を入ったところに堂々と建つ宮造りの銭湯がある、それが「藤の湯」だ。
銭湯としては珍しい、正面ではなく横側が入る玄関脇には、江戸時代のものと言われている鬼瓦が保存されている。
女将さんの手作りという暖簾をくぐって中へ。木造のフロントがひときわ目を引く。ご主人は木工作家でもあることから、木には人一倍こだわりがあるという。
どうりで木彫りのフクロウなどがそこかしこに置かれているわけだ。脱衣場の天井も高く照明も純和風で、いたるところに天然の木がふんだんに使用されている贅沢な空間となっている。
浴室に入ってみると、まず目を引くのが男女境にある「東屋(あずまや)」だ。本瓦葺きで、その下にはヒバ材で作られた浴槽がある。
天然の木を使用した湯船は、都内の銭湯でもそう多くはなく、かなり豪華なもの。
さらに、正面にはカキツバタの絵が描かれたタイル絵が貼られている。ご主人によると、これらはすべて特別注文で焼いてもらったタイルだという。
まるで温泉旅館にでも遊びに来たような、立派な施設がウリの銭湯だ。
藤の湯
住所:世田谷区玉川台2-1-16
Tel: 03-3700-3920
定休日:金曜、第4木曜
営業時間:15:30-23:00