国内で1カ所だけ。縄文人も愛した翡翠を拾える富山「ヒスイ海岸」

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2018/11/24

専門家が教えるヒスイの上手な拾い方

ヒスイテラスにディスプレイされる巨大なヒスイの原石 筆者撮影

ヒスイの原石を砂利浜で拾い上げようとしても、ある程度の知識と経験が必要になります。先日、ヒスイテラスのオープンを機に再訪した海岸で地元の人と話す機会がありましたが、近所に住んで毎日のように子どもを海岸で遊ばせながらも、その方は今までに一度しかヒスイを拾った経験がないと語っていました。もちろん地元民だからこそ、かえって熱心に探していないとも語っていましたが、難しさの要因として、

  1. ヒスイの見分けが容易ではない
  2. ヒスイを拾おうとしているライバルが多い

という点があるからですね。ヒスイは緑色という印象があります。しかし、最も純粋なヒスイは白色で、他にもなどと色彩は多彩です。また、似たような緑色の石として、蛇紋岩、ネフライト、ロディン岩、透閃石岩なども海岸には落ちています。

ヒスイ海岸の砂利浜。この中にヒスイの原石が混交する 筆者撮影

また、海岸に行けば分かるように、熱心にヒスイを探そうとする人たちの姿が容易に見て取れます。中には長靴を履いて、ヒスイを拾いやすいと言われる波打ち際から、さらに浅瀬にまで入って探している人も居ます。秋冬の浅瀬の海中であれば、「ライバル」が少ないからですね。

今回の来訪では、専門家の方にヒスイを拾うポイントを教えてもらいました。

  • 消しゴムくらいのサイズの小石を狙う
  • 白っぽくて透明感のある石を狙う
  • 表面が滑らかでも、全体的には角ばった石を狙う
  • キラキラと輝く結晶が混じった石を狙う
  • 持った感じ、重たい石を狙う

と、ヒスイを発見できるチャンスが高まるのだとか。似たような石と迷ったら、

<見かけが似ている蛇紋岩などと区別するとき、手に持って重く感じ、頬に当てれば冷たく感じる>(『玉とヒスイ 環日本海の交流をめぐって』より引用)

という話も広く知られています。また、拾い始める前に、ヒスイの原石とはどのような石なのか、実物を確かめる必要もあります。その点、あいの風とやま鉄道の越中宮崎駅とヒスイ海岸に挟まれる場所にオープンしたヒスイテラスに、ヒスイの実物が置いてあります。まずは参考までに本物を見てから、砂利浜に繰り出してみるといいはずですよ。

朝日はタラ汁もおいしい

ヒスイテラスの外観。近所にはタラ汁の食堂もある 筆者撮影

上述したように、ヒスイ海岸には砂利浜に面してヒスイテラスも完成しました。休日になればイベントなども開催されますし、展望テラスが設けられていますので、ヒスイ海岸の眺望を自由に楽しめます。ヒスイ探しの休憩に立ち寄るには最適のスペースですし、テラスの隣には『お食事処 結』のような食事をできる場所もあります。

また、海岸のある朝日町はタラの身に野菜や昆布などを加えたタラ汁が有名で、食べれば潮風で冷えた体を芯から温めてくれます。ヒスイ探しの楽しさを、さらに盛り上げてくれるような環境が海岸の周囲に整ってきました。北陸に雪が目立ち始める12月になる前に、ヒスイを目指して秋晴れの海岸を訪れてみてはいかがですか?

  • 参考
  • 藤田富士夫著『環日本海の交流をめぐって』(同朋舎出版)
  • 『ひすい ―地中からのメッセージ―』(富山県埋蔵文化財センター)
  • あさひいしころマニアックス(朝日町観光協会)
  • ヒスイ海岸(朝日町役場(商工観光課)・朝日町観光協会

※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。


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翻訳家・ライター・編集者。成城大学文芸学部芸術学科卒。富山在住。主な訳書『クールジャパン一般常識』、新著(共著)『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』。北陸のWebメディア『HOKUROKU』創刊編集長。WebsiteTwitter 

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