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日本産は次元が違う…海外でも絶賛された日本ウイスキーの聖地を巡る

坂本 正敬
坂本 正敬
2018/11/10

うまい酒は旅をしない」という言葉がありますよね。世界的な作家の村上春樹さんも著書の中でこの言葉を紹介し、お酒が育まれた環境を離れると、輸送や気候の変化、あるいは飲む側の心理的な問題で味わいやアロマに変化が生まれるのではないかと書いています。なるほど、日本各地に蔵元がある日本酒は現地で飲む方がおいしく感じますし、国内生産が盛り上がりを見せるワインも産地で飲む方が味わいは増す気がしますよね。もちろん、ウイスキーも一緒のはず。

特に日本のウイスキーは海外でも絶賛されていて、多くの賞を受賞しています。なかには品薄になってプレミアム価格で取引されている銘柄も。そこで今回は、現役のバーテンダーの方にウイスキービギナーが訪れておきたい日本の蒸溜所を5つ挙げていただいたので、ウイスキーの産地を巡る旅を紹介していきます。

お話を聞いたのは、東京ステーションホテルなどのホテルでバーテンダー業務を15年以上行い、現在は埼玉県川越市に『Bar Hoskey』を構えるオーナーの小久保直人さん。大人のたしなみとしてはもちろん、蒸留所見学に興味のある方はぜひ参考にしてみてくださいね。

蒸留所を巡る旅その1:北海道「余市蒸溜所」

余市蒸溜所 image by: アサヒビール

ウイスキーのビギナーが訪れたい、日本の蒸溜所を小久保さんに聞く前に、簡単にウイスキーの歴史をおさらいしておきましょう。

そもそも日本に、いつウイスキーが入ってきたのでしょうか。そのあたりの経緯は井上宗和著『世界の酒6 日本のウイスキー』(角川書店)など数々の書籍に詳しく、ざっくりと言って明治維新以後。最初はスコットランドのウイスキーと安いアルコールを混ぜた混成ウイスキーなども飲まれましたが、やがて日本産のウイスキーが誕生します。その歴史的な背景には2人の偉人が大きな役割を果たしており、そのうちの1人、連続テレビ小説『マッサン』(NHK)でも描かれた竹鶴政孝の作った蒸留所が、ニッカウヰスキーの余市蒸溜所になります。

「余市?」

と北海道の地理に詳しくない人は、場所がピンとこないと思いますが、余市(よいち)とは札幌の西、小樽を越えて国道5号線をさらに西に進むと到着する海浜の港町です。

余市のえびす岩 image by: tkyszk / Shutterstock.com

ニセコ積丹小樽海岸国定公園にも指定される積丹半島の根元で、国道沿いに南下すると、倶知安町にたどり着きます。筆者も取材などで繰り返し訪れていますが、空の色、海の色、風の吹き方などが、確かにスコットランドのハイランド地方に似ていると言えば、似ている気がしますよね。その余市の自然環境を気に入り、

<良いウイスキーは自然が造る>(『世界の酒6 日本のウイスキー』より引用)

と語った竹鶴政孝が立ち上げたウイスキー工場が、北海道余市原酒工場になります。『Bar Hoskey』のオーナー・小久保さんによれば、余市の厳しい自然環境からも類推できるように、

「力強く、骨太な味わい」

が余市のウイスキーにはあると言います。ウイスキーの味わいは、当然商品としての味の方向性を決定するブレンダーなど人の影響も極めて大きいと小久保さんは考えるそうですが、やはり余市の自然が作るウイスキーは、はっきりとした風土の個性が味わいに出ていると言います。

ニッカウヰスキーの公式ホームページによると、余市蒸溜所の見学ツアーでは試飲できるお酒として、『シングルモルト余市』があるといいます。

<それぞれにきりっとしたパーソナリティーがあり、アロマによって生産地が特定できるというのも、シングル・モルトの素敵な特徴のひとつ>(村上春樹『もし僕らのことばがウイスキーであったなら』より引用)

と言われるように、シングル・モルトは風味の個性が強く、風味のマイルドなグレーンウイスキーを混ぜていない押しの強いお酒。蒸留所ごとの特徴が最も出るウイスキーとも言えますから、余市蒸溜所に訪れたら、口にしてみたいですね。

観光地情報

翻訳家/ライター。1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の紙媒体、WEB媒体に日本語と英語で執筆する。 主な訳書に『クールジャパン一般常識』(クールジャパン講師会)。

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