「水ようかん」は冬の名物?福井の不思議なスイーツの常識
水ようかんと言うと、いつ食べるイメージがありますか? 冷たい水ようかんは、やはり涼を求めて夏に口にするイメージがあると思います。しかし、福井では冬に、しかもきんきんに冷やした水ようかんを、こたつで温まりながら口にするという文化があります。そこで今回は北陸在住の筆者が、福井のユニークなスイーツ文化を紹介したいと思います。
冬にこたつで食べる冷たい水ようかん
福井県で最も読まれている地方紙に、福井新聞があります。その福井新聞社が出版する『福井県大百科事典』を読むと、
<水ようかんと言えば夏の冷菓かと思われがちだが、福井では冬に暖かい部屋でこたつに入って、冷やした水ようかんを食べるのが好まれる>(『福井県大百科事典』より引用)
と書かれています。上述の大百科事典でも記されているように、戦前からの文化として、福井では水ようかんを冬場に楽しんできたのですね。
同大百科事典によると、原材料は一般的に小豆のあん、寒天、ざらめ糖、黒砂糖と書かれています。確かに福井の水ようかんを食べると(特に県庁所在地のある福井市や大野市など嶺北の場合)、さらっとした糖度の低い口当たりの中に、黒砂糖の風味が感じられて、とてもおいしいです。
東尋坊などで有名な坂井市に暮らす福井県民の友人に聞くと、「ほかの県のイメージで言えば、こたつの上にミカンが置いてある感じで、福井には水ようかんがある」との話。福井の水ようかんは木べらですくって食べるのですが、iPadよりも大きいA4サイズの水ようかんを、ぺろりと1人で食べてしまうのだとか。確かに味はあっさり目なので、1人で食べてしまうと聞いても納得です。
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