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「水ようかん」は冬の名物?福井の不思議なスイーツの常識

坂本 正敬
坂本 正敬
2018/10/07

実は全国的に冬の食べ物だった水ようかん

では、どうして水ようかんが福井では、冬場に食べられるようになったのでしょうか。『広辞苑』(岩波書店)を見ると、水ようかんは夏の季語とも書かれています。やはり普通は、夏のイメージがありますよね。

しかし全国には、福井以外でも冬場に水ようかんを食べる地域があります。比較的有名な例で言えば、栃木県の日光市ですね。日光にある湯沢屋という和菓子店のホームページ上には、

<水羊羹も日光の特産品の一つで、昔は日光の各店鋪も冬しか製造しておりませんでしたが、近年になって冷蔵技術の発達によりそのみずみずしい美味しさを通年味わえるようになりました>(湯沢屋のホームページより引用)

とあります。この文章を見ても分かるように、糖度が低く水分の多い水ようかんは微生物が繁殖しやすく、冬にしか製造できない和菓子だったのですね。そうなると発想の転換が必要で、傷みやすい水ようかんはそもそも冬の食べ物、冷蔵技術の発達とともに夏場に食べられるようになって、逆に夏の食べ物といったイメージが全国に定着していったのかもしれません。

福井県が作成した『平成29年家計調査概要福井市の家計』によれば、平成29年から過去3年の平均で福井市民のようかんの消費支出金額は、全国で1位となっています。防腐剤を使わずに傷みやすい、昔ながらの水ようかんを片っ端から買って食べてくれる市民の存在があるからこそ、冷蔵技術が発達した今でも、福井の和菓子屋は昔のままの手法で水ようかんを作れるのかもしれませんね。

結果として福井に「冬に食べる水ようかん文化」が生き残り、ほかの都道府県の人からは変わった習慣として見られていると考えられます。

えがわの『水羊かん』は定番中の定番商品

えがわの『水羊かん』

これから秋が深まり、冬が始まります。そうなると福井では水ようかんの時期が始まります。旅行者として福井に訪れ、水ようかんを現地で食べようと思ったら、どこへ行けばいいのでしょうか?

その筆頭はやはり、福井銘菓『水羊かん』を出す「えがわ」ですね。複数の福井県民に聞けば、水ようかんと言えば大定番はえがわ(福井市)という印象があるようで、えがわでは工場見学を要予約で受け付けています。

<お刺身等と同じく生ものになります!お早く召し上がりください>(えがわのホームページより引用) 

とあるように、防腐剤を一切使用していない「生もの」の水ようかんを作る製造工程を見学できるプログラムです。えがわは県庁所在地の福井市にあり、店舗の隣に工場があります。例えば冬の福井旅行でえがわに訪れ、製造工程を眺めた後で、水ようかんを口にしてみるなどはいかがでしょうか。

もちろん、密封容器の登場で、東京にある福井のアンテナショップ食の國 福井館』でも、えがわの『水羊かん』は購入できるようになりました。しかし、せっかくなら福井まで足を運んで、温かい場所を陣取り、冬の雪景色を窓の外に眺めながら冷たい水ようかんを口にしたいですね。


観光地情報
観光地情報
  • 食の國 福井館
  • 東京都中央区銀座1-3-3 銀座西ビル 1F
  • 03-5524-0291
  • 銀座/有楽町
  • 月〜土 10:30〜20:00 /日・祝 10:30〜19:00
  • https://fukui.291ma.jp/ginza/

image by:福井県観光連盟

翻訳家/ライター。1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の紙媒体、WEB媒体に日本語と英語で執筆する。 主な訳書に『クールジャパン一般常識』(クールジャパン講師会)。

「水ようかん」は冬の名物?福井の不思議なスイーツの常識
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