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本に囲まれ、暮らすように過ごす。静ひつを楽しむ「箱根本箱」とは

岡田すみえ
岡田すみえ
2019/04/18

昨今「本離れ」が進むといわれているなか、本を通じて新しいライフスタイルを提案し、本の文化を未来につないでいく「本との出会いの空間」を作りたい。

そんな思いで作られた場所が、2018年8月に神奈川県箱根町の強羅温泉エリアでオープンした、本をメインコンセプトとした新しい複合施設「箱根本箱」です。

興味をそそるコンセプトはもちろん、写真映えもする新感覚のホテルは、箱根の新名所になりつつあります。今回はそんな箱根本箱の魅力をご紹介します。

本と向き合い、心満たされる時間「箱根本箱」

「本との出会い」「本のある暮らし」をテーマにしたブックホテル「箱根本箱」。手がけたのは、書籍流通大手の日本出版販売(以下、日販)で、施設内には日販のブックディレクションブランド「YOURS BOOK STORE」がセレクトした、国内はじめ海外の良書が約1.2万冊も置かれ、自由に読むことができ、すべての本が購入可能になっています。

この「箱根本館」は、日販が箱根強羅温泉に所有していた保養所「あしかり」を全面リノベーションしたもの。ブックホテルを中心に、ブックストア、レストラン&カフェ、ショップ、コワーキングスペースなどを備えた複合施設になっています。

観光地として名高い箱根・強羅は、東京近郊にありながら豊かな自然を有しており、そのなかでもほかのホテルや保養所とは一線を画す、本に囲まれてゆったりと過ごせる空間を作り出しています。

施設全体の監修は、雑誌「自遊人」を発刊し、新潟県南魚沼市のライフスタイル提案型複合施設「里山十帖」を手がける自遊人が担当していることも、期待を高める要因のひとつですね。それでは、まずはメインのブックホテルから見ていきましょう。

本に囲まれて「暮らす」ように滞在する

「箱根本箱」があるのは、箱根登山鉄道ケーブルカー「中強羅」駅から徒歩約4分のところ。中強羅は無人駅で、辺りには企業の保養所と宿泊施設のみという、箱根の温泉地のなかでも閑静なエリアになっています。

ホテルの外観は樹木に覆われていますが、シンプルでスタイリッシュなエントランスが見えてきたら、迷うことなくブックホテルの世界へ足を踏み込みましょう。木製の自動ドアが開くと、目の前に開放感満点の吹き抜けのブックラウンジがあらわれます。2階まで本棚が連なり、その本の数に圧倒されることでしょう。


いたるところに「本」がある、本ずくめホテル


宿泊者専用のスペースになっているホテルは、「本のある暮らし」を提案してくれます。書斎をイメージしたという客室にはオリジナルの本棚を設置しており、自宅のリビングルームでくつろぐように、思い思いの時間を過ごすことが可能です。

また、18室ある客室すべてに温泉露天風呂を備えており、半数以上の客室からは大文字焼で有名な明星ヶ岳や金時山などの箱根外輪山を望むことができます。

本が置いてあるのは先ほどのブックラウンジだけではありません。ホテル内を歩くと、廊下や大浴場の湯上り所まで、いたるところに本棚があり、本で埋め尽くされているのです。さらに、すぐ手に取って読めるようにと、本棚のそばには椅子も置かれているほどな。

もちろん、すべてデザインが異なるという客室にもそれぞれ本棚が置かれており、ベッドには大きなヘッドレスト付き。また、テラスには本を読むのにぴったりのハンモックが設置されている部屋もあるそうなので、天気の良い日など、ポカポカ陽気の中で読書に没頭するなど、本好きにはたまらない仕掛けがたくさん用意されています。

本好きなら気になる蔵書のジャンルは幅広く、「食」関係の本は、手に取りやすい写真集や食エッセイなどが中心です。このほか、文学作品も多数ラインアップしています。実際に見てまわってみても、書店ではあまり見かけない本が多く取りそろえられている印象を受けました。

というのも、一般の書店では新刊が出るたびに入れ替え作業をするために、どこでも同じような本が並んでいます。しかし同施設にある本は新旧多ジャンルの本を幅広く置いているので、出版されてから時間が経過している本でも初めて見る本が多く、新品同様で手に取ることができるのです。

また、各界の第一線で活躍する著名人がセレクトした「あの人の本箱」も設置されています。誰がどの本をセレクトしたのかは、選んだ人物の名が記されたしおりと選書のポイントについて記した冊子で分かる仕組みになっています。客室を中心としたさまざまな場所にさりげなく置かれているので、宿泊したお部屋にどんなお宝があるか探す楽しみも用意されているのです。

施設内にあるブックストアは、日帰りでの利用も可能です(レストランは不可)。場所を問わず「本のある暮らし」を提案しているので、ブックストアだけでなく、レストランやショップなどにも本を設置。訪れた人は、いたるところで本を手にし、購入することができるのです。

意外にも宿泊者の本の購入率が高いそうで、10冊以上もまとめ買いしていく人が多いのだとか。日常を離れて気持ちにゆとりが生まれてくると、普段は手に取らない本でも、旅先で普段とは違う感情を抱くことで読みたくなってしまうのかもしれませんね。

本を通じて新しいライフスタイルを提案 し、未来へと文化を紡ぐ「本との出会いの空間」 を作ろう。そんな思いが詰まった「本箱」のようなホテル。駅前の本屋のように気軽に本を手に取れる空間、本と生活が密着した心地よい空間で、「暮らす」ように滞在しながら本を読む楽しさ、本と向き合う楽しさを存分に味わってほしいものですね。

旅をこよなく愛する編集者。情報誌やエンタテインメント誌、ビジネス誌などで編集・ライターとして経験を積み、中国上海、カンボジア・プノンペンでの在住経験も有。2015年に帰国してからフリーライターとしてワークスタイルを確立。幅広いジャンルのテーマで執筆している。

本に囲まれ、暮らすように過ごす。静ひつを楽しむ「箱根本箱」とは
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