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秘湯、だけど気軽さが自慢。富山にある混浴の天然洞窟露天風呂

坂本 正敬
坂本 正敬
2019/09/15

熱心な温泉ファンでなくても、「秘湯」という言葉には独特の好ましい響きがありますよね。

ただ、本当の秘湯となってしまうと、温泉に行くまでに大変な道のりが待っていたり、そもそも温泉に更衣室が設けられていなかったりで、かなりハードルが上がってしまいます。

だからこそ、秘湯といいながら、ある程度はきちんと整備された清潔な「秘湯」が理想的という人も少なくないと思います。

特に綺麗好きな人を連れて行くとなると、その辺の行きやすさ、清潔さはとても重要です。そこで今回は辺境、秘境の趣きが十分にありながら、一方で気持ちよく清潔に入浴できる富山県の「秘湯」を紹介します。

「美肌の湯」を気軽に楽しめる富山の穴場「秘湯」

小川温泉元湯「ホテル おがわ」 image by:坂本正敬

富山県と新潟県の県境に、朝日町という自治体があります。海岸線にはTRiP EDiTORの過去記事「国内で1カ所だけ。縄文人も愛した翡翠を拾える富山「ヒスイ海岸」」でも取り上げた、ヒスイの拾える海岸もある場所です。

その海岸から一転して、小川という二級河川をさかのぼった北アルプスの奥地に、今回の「秘湯」があります。それが開湯400年以上の歴史を誇る、小川温泉元湯「ホテル おがわ」の敷地内にある「天然洞窟露天風呂」です。

江戸時代に村人が小川の上流で見つけた天然湯で、泉質は炭酸水素塩泉になります。炭酸水素塩泉はいわゆる「美肌の湯」ともいわれています。

その炭酸水素塩泉が岩間から自噴しており、源泉かけ流しの52℃のお湯が天然洞窟にたまっているのです。

image by:坂本正敬

洞くつは急斜面のがけを背にしており、山の斜面は川原に向けて口を開いています。川岸には広い河川敷が広がっており、その平地には更衣室とホテルからの遊歩道が設けられているのです。


つまり、天然洞窟露天風呂は行きも帰りも遊歩道を歩いて、更衣室で着替えをしてから楽しめる便利な「秘湯」、というわけです。

「秘湯」の天然洞窟露天風呂

トンネルを抜けた先にホテルがある image by:坂本正敬

安全に清潔に楽しめる便利な「秘湯」と書くと、あるいは「本当に秘湯なの?」という疑義が生まれてくるかもしれません。

しかし、同施設にある天然洞窟露天風呂は、秘湯と分類しても異論はなかなか出てこないと予想されます。

まず、ホテルが位置する朝日町自体が富山県の辺境にあり、新潟県との県境には交通の難所で知られる親不知の絶壁が続いています。

小川温泉元湯はその朝日町の山奥にあり、平野部から山深いエリアに自動車を走らせるほど、車窓の景観は厳しい自然の色合いが深まっていくのです。

ホテルから露天風呂へと遊歩道の橋 image by:坂本正敬

さらに同施設に行く手前では、1,316mのトンネルをくぐり抜けなければいけません。トンネルの手前には朝日小川ダムがあり、トンネルの中は天井から水がしたたり落ちていて路面がぬれています。

その暗いトンネルの先は、北又キャンプ場などへ抜ける道もありますが、基本的には行き止まり。

まさに北アルプスの大自然と人間社会の境界線のような場所に、同施設とその温泉があるのです。

翻訳家/ライター。1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の紙媒体、WEB媒体に日本語と英語で執筆する。 主な訳書に『クールジャパン一般常識』(クールジャパン講師会)。

秘湯、だけど気軽さが自慢。富山にある混浴の天然洞窟露天風呂
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