師走が魅せる、京都の街並み。古都で歴史ある「冬の風物詩」を学ぶ
吉例顔見世(きちれいかおみせ)興行

東西の歌舞伎役者が一堂に会する年に一度の大イベントがこの「吉例顔見世興行」です。毎年12月に1カ月間、京都南座で開催されます。南座は祇園のランドマークです。桃山時代の建築様式で破風造りの劇場建築が遠くからでも目を引きます。
近年、修復工事を終えたばかりで、夜はライトアップされた白壁が光り輝いています。
約400年前、江戸時代初期に四条河原東側に7つの櫓(座)を開くことが認可されました。しかし、幕末には南座と北座の2座になり、1893(明治26)年には南座だけとなり、現在にいたっています。

毎年11月25日前後の吉日に、顔見世興行に出演する役者の名前を書いた「まねき」看板が南座の正面の入口の上の方に上がります。
江戸時代、歌舞伎役者の契約は年俸制で、旧暦11月から翌年10月までの1年契約でした。そのため、毎年11月初めに各座の新たな顔ぶれが舞台で口上を述べることを「顔見世」というようになったといいます。これが現在の顔見世興行の始まりで今以上に華やかで賑やかなものだったよう。
まねきは厚さ1寸(約3cm)、長さ1間(約1.8m)、幅1尺(約30.3cm)のヒノキの板看板です。そこに勘亭流(かんていりゅう)という書体の文字で役者の名前が書かれています。

勘亭流は江戸時代から興行などで使われる独特の書体です。とても太い字で余白を埋め尽くすような字体で黒々しています。「大入りになるように」と縁起を担ぎ、筆太に隙間なく内側に向かってはねるように書いているのです。
勘亭流の文字はジャンルによって書体が異なり、劇場によっても変わります。ただ、南座のまねきは原則として南座でしか使われません。12月の南座にまねきが上がると祇園の街は師走の表情に変わります。
今回はほんの一部でしたが、京都の師走らしい冬の風物詩をご紹介しました。みなさんも12月に京都に訪れるときは、ぜひこのような普段とは表情の違う暮れならではの京都らしさを味わってみてくださいね。
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