アメリカの「人工肉」はブームで終わるか、米国の食習慣を変えるか?

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2020/01/26

牛肉にそっくりだけど、実は人工肉

ここ数年で、植物由来のお肉がアメリカで話題になっています。

前回、見た目も味もほぼ牛肉なのに、植物で作られている「インポッシブル・バーガー(Impossible Burger)」について、バーガーキングで販売されているハンバーガーとともにご紹介しました。

最近のアメリカでは、バーガーキングだけでなく、大手ファストフードチェーン店でも続々と植物ベースのメニューが展開されています。そこで今回は、現地で話題を集めるまるで本物のようなハンバーガーを食べ比べてみましたので、ご紹介していきたいと思います。

アメリカでは植物ベースの食品が広がっている

「インポッシブルワッパー(Impossible Whopper)」image by:角谷剛

前回の記事で紹介したバーガーキングの新メニュー「インポッシブルワッパー」。

看板メニュー「ワッパー」のパティ部分を肉にそっくりな植物ベース食品に替えただけのものですが、2019年4月に全米の店に登場して以来、ずっと高い人気を保ったままです。

同チェーンを経営するレストラン・ブランズ(Restaurant Brands International Inc.)は、バーガーキングの四半期の売り上げが前年比10%増になったと報告しています。最近になってバーガーキングは植物ベース食品メニューをさらに増やし、現在は4種類を展開。

このバーガーキングの成功に続いて、最近ではいくつもの大手ファストフードチェーンが次々と植物ベース食品を使ったメニューを追加していて、ハンバーガーだけではなく、あらゆる種類のファストフードにこの植物ベース食品が広がってきています

そのなかにはデニーズダンキンドーナッツカールス・ジュニアデル・タコなど、日本でも有名なチェーンも数多く含まれています。


アメリカで人気を集める、植物でできた「肉」

image by:Steve Heap / Shutterstock.com

現在のところ、これらのファストフードチェーンに植物ベースの材料を提供しているのは「インポッシブルフーズ(Impossible Foods)」と「ビヨンドミート(Beyond Meat)」の2大食品会社です。

インポッシブルフーズは、主に大豆、ヘム、ジャガイモのタンパク質源に使用し、ビヨンドミートは主にエンドウ豆を使用しているそうです。どちらも製造が需要の急増に追い付かず、2019年の前半には品切れになるほどでした。

長い間ファストフードは不健康な食品の代名詞とされ、アメリカで大きな社会問題になっている肥満の元凶だと非難され続けてきました。

マクドナルドのハンバーガーだけを1カ月間食べ続けるといかに不健康になるかをいう実験を記録したドキュメンタリー映画『スーパーサイズ・ミー』(2004年)は世界的にも有名になった映画です。

植物ベース食品メニューが定着すれば、こうしたファストフードのイメージは大きく変わるかもしれません。

image by:角谷剛

今回は、これらのお店を回り、それぞれの植物ベース食品メニューを食べ比べてみました。価格は実際に単体で購入した金額、カロリーはそれぞれのチェーンの公式ホームページに記載してある数字です。

100%ワッパー、だけどビーフ0%?/バーガーキング

image by:角谷剛
  • メニュー名:インポッシブルワッパー
  • 主要成分:インポッシブルフーズ
  • 価格:5.59ドル(3.49ドル)
  • カロリー:630(660)
  • *()内の数値は通常のワッパーのもの

前回も紹介しました通り、植物ベース食品ブームの火付け役となったインポッシブルワッパーは、まさにあり得ないほどにワッパーそのものです。ただ注意したいのは、このハンバーガーには牛肉は使われていませんが、マヨネーズで味付けはしてあります。

マヨネーズの原料は卵。つまり、決してベジタリアンでもビーガンでもないということです。さらにいえば、カロリーも通常のワッパーとほぼ同じくらいありますので、特にダイエット食品というわけでもありません

インポッシブルワッパーをマヨネーズ抜きで注文することはできますが、それでも通常のワッパーと同じ鉄板で焼いているので、外側に肉の成分が付いてきます。

それにもかかわらず、植物ベースという名前で呼ぶのは不当であり混乱を招くとバーガーキングに対して訴訟を起こしたベジタリアンの人もいます。バーガーキングの謳い文句は「100%ワッパー、だけどビーフ0%」。それなのに厳密にはビーフ0%じゃないぞ、という主張ですね。

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