入館無料で歴史と文化を体感。神奈川「藤澤浮世絵館」でタイムトリップ
無料、さらに撮影もOK。じっくり浮世絵を体験

今回訪れた藤澤浮世絵館がある藤沢市は、日本橋から数えて6つ目の宿場町であり、現在の神奈川県内に位置していた宿場町としては、小田原宿、神奈川宿に次ぐ人口を誇る宿場町でした(藤沢市ふじさわ宿交流館調べ)。
このため浮世絵としても当時のさまざまな風景や文化が多く描かれており、浮世絵を通じて当時のようすを伺い知ることができるのです。

なかでも、「清浄光寺(しょうじょうこうじ/通称:遊行寺)」や「江の島」の白旗神社などは、浮世絵に描かれた面影を現在でも見ることができる場所として有名です。

前述の通り、藤澤浮世絵館は浮世絵などの美術資料を展示しながらも、郷土資料館としても成り立っており、全館無料での見学が可能な施設。しかも、写真撮影もOKなのです(浮世絵の色が褪せてしまうため、フラッシュ撮影は禁止です)。当時の大衆文化と気軽に触れあうという意味でも、素晴らしい施設ですよね。

同館では、歌川国貞(後の三代目歌川豊国)作である、東海道五十三次の各宿の風景をバックに美人画を描いた作品『美人東海道』を主体として、藤沢宿や江の島を描いた浮世絵作品や、一風変わった浮世絵の企画展示などが行われています。

なお同館では作品の美しい色を守るため、美人東海道(袋絵も含めて57作品)を含む所蔵資料を3期に分けて展示しています。ちなみに訪れた日は、江尻(18番目の宿場)から赤阪(36番目の宿場)までの19作品が展示されていました。
すべて見るためには再訪が必要ですが、郷土資料や企画展示など、何度訪れても深く歴史と文化に触れられる作りになっているところも、嬉しいポイントですね。
国貞の美人東海道は、バックの風景画の構図を歌川広重の東海道五十三次における保永堂版(東海道五十三次は、歌川広重の作品だけでも複数存在します)に似せているのも特長です。
当時人気のあった風景画と、やはり人気のあった美人画を掛け合わせたハイブリッドな作品なので、いまでいうインスタ映えスポットに、人気アイドルが立っている構図の写真集のようなものですね。当時は相当な人気を博したのではないでしょうか。